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黒澤明監督の選んだ名作映画たち


黒澤監督は、1998年に亡くなられましたが、その翌年1999年「文藝春秋」四月号に黒澤監督が選んだ100本の映画が掲載され、その後、同種の文が「夢は天才である」 等に再録。娘さんの黒澤和子さんが父から聞いたことを添加し、各作品のストーリー、データを付け加え、さらにスチール写真も新たに加え、黒澤明が選んだ100本の映画 (文春新書)が刊行。


1:1919年~1950年の映画(28作品)  
2:1951年~1970年(34作品)   
3:1971年~1997年(38作品) 

●映画一覧
散り行く花 D.W.グリフィス
カリガリ博士 ローベルト・ヴーィネ/カール・マイヤー/フリッツ・ラング
ドクトル・マブゼ フリッツ・ラング
黄金狂時代 チャールズ・チャップリン
アッシャー家の末裔 ジャン・エプスタン/ルイス・ブニュエル
アンダルシアの犬 ルイス・ブニュエル/サルバドール・ダリ
モロッコ ジョセフ・フォン・スタンバーグ
会議は踊る エリック・シャレル
三文オペラ G.W.パプスト
未完成交響楽 ヴィリ・フォルスト

影なき男 W.S.ヴァン・ダイク
隣の八重ちゃん 島津保次郎
丹下左膳余話 百萬両の壺 山中貞雄
赤西蠣太 伊丹万作
大いなる幻影 ジャン・ルノワール/ジャック・ベッケル/エリッヒ・フォン・シュトロハイム…戦争
ステラ・ダラス キング・ヴィダー…恋愛
綴方教室 山本嘉次郎/三村明/黒澤明
土 内田吐夢
ニノチカ エルンスト・ルビッチ/ビリー・ワイルダー
イワン雷帝 セルゲイ・エイゼンシュテイン

限りなき前進 内田吐夢/小津安二郎



※「丹下左膳余話 百萬両の壺」は戦後にGHQの検閲で一部欠落、その後2004年に一部が発見されDVDに再録

※「赤西蠣太」は大部分が現存・一部欠落

※「土」は現在クライマックス部分が欠落

荒野の決闘 ジョン・フォード
素晴らしき哉、人生! フランク・キャプラ
三つ数えろ ハワード・ホークス
自転車泥棒 ヴィットリオ・デ・シーカ
青い山脈 今井正/中井朝一/井手俊郎
第三の男 キャロル・リード/オーソン・ウェルズ/ロバート・クラスカー/アレクサンダー・コルダ/デヴィッド・O・セルズニック/ガイ・ハミルトン
晩春 小津安二郎
オルフェ ジャン・コクトー
カルメン故郷に帰る 木下惠介/楠田浩之
欲望という名の電車 エリア・カザン/ハリー・ストラドリング

007シリーズ テレンス・ヤング/ガイ・ハミルトン他



※小津安二郎は「姿三四郎」制作時に審査に立ち会った一人。作品にOKを出し、検閲官と揉めていた黒澤を励ましてくれたそうです。小津がいなかったら検閲官に椅子をブン投げていたかも知れなかったとか

嘆きのテレーズ マルセル・カルネ
西鶴一代女 溝口健二
イタリア旅行 ロベルト・ロッセリーニ…ゴダールの本作に対する言及を引用しながらコメントを残す
ゴジラ 本多猪四郎/円谷英二/玉井正夫
道 フェデリコ・フェリーニ
浮雲 成瀬巳喜男/岡本喜八/玉井正夫…雨
大地のうた サタジット・レイ…雨
足ながおじさん ジーン・ネグレスコ
誇り高き男 ロバート・D・ウェッブ/ルシアン・バラード
幕末太陽傳 川島雄三/今村昌平

天井桟敷の人々 マルセル・カルネ/ジャック・プレヴェール
大河のうた サタジット・レイ


若き獅子たち エドワード・ドミトリク
いとこ同志 クロード・シャブロル/アンリ・ドカエ
大人は判ってくれない フランソワ・トリュフォー/ジャック・ドゥミ/アンリ・ドカエ他
勝手にしやがれ ジャン=リュック・ゴダール
ベン・ハー ウィリアム・ワイラー
おとうと 市川崑/宮川一夫
かくも長き不在 アンリ・コルピ/マルグリット・デュラス
素晴らしい風船旅行 アルベール・ラモリス
太陽がいっぱい ルネ・クレマン/アンリ・ドカエ
地下鉄のザジ ルイ・マル

刑事キャレラ-血の絆(血塗られた構図) クロード・シャブロル
赤い風船 アルベール・ラモリス
東京オリンピック 市川崑
さよなら子供たち ルイ・マル
五月のミル ルイ・マル




去年マリエンバードで アラン・レネ/アンリ・コルピ/アラン・ロブ=グリエ
何がジェーンに起こったか? ロバート・アルドリッチ
アラビアのロレンス デヴィッド・リーン/フレディ・ヤング/アンドレ・ド・トス/サム・スピーゲル他
地下室のメロディ アンリ・ヴェルヌイユ
鳥 アルフレッド・ヒッチコック
赤い砂漠 ミケランジェロ・アントニオーニ
バージニア・ウルフなんかこわくない マイク・ニコルズ/ハスケル・ウェクスラー
ボニー&クライド-俺たちに明日はない アーサー・ペン/ロバート・ベントン
夜の熱気の中で(夜の大捜査線) ノーマン・ジュイソン/ハスケル・ウェクスラー/ハル・アシュビー
遥かなる戦場 トニー・リチャードソン

ミッキー・ワン(Mickey One) アーサー・ペン
イヴの総て ジョセフ・L・マンキーウィッツ
黒蘭の女 ウィリアム・ワイラー

真夜中のカウボーイ(カーボーイ) ジョン・シュレシンジャー
M☆A☆S☆H(マッシュ) ロバート・アルトマン
ジョニーは戦場へ行った ダルトン・トランボ
フレンチ・コネクション ウィリアム・フリードキン/ハワード・ホークス
ミツバチのささやき ビクトル・エリセ
惑星ソラリス アンドレイ・タルコフスキー
ジャッカルの日 フレッド・ジンネマン/ジャン・トゥルニエ
家族の肖像 ルキノ・ヴィスコンティ
ゴッドファーザーPartⅡ フランシス・フォード・コッポラ
サンダカン八番娼館 望郷 熊井啓/金宇満司

カッコーの巣の上で ミロス・フォアマン/ハスケル・ウェクスラー
旅芸人の記録 テオ・アンゲロプロス
バリー・リンドン スタンリー・キューブリック
大地の子守唄 増村保造
アニー・ホール ウディ・アレン
機械仕掛けのピアノのための未完成の戯曲 ニキータ・ミハルコフ/パーヴェル・レーベシェフ
父-パードレ・パドローネ パオロ・タヴィアーニ/ヴィットリオ・タヴィアーニ
グロリア ジョン・カサヴェテス
遥かなる山の呼び声 山田洋次/高羽哲夫
トラヴィアータ-1985・椿姫 フランコ・ゼフィレッリ/エンニオ・グァルニエリ

アメリカの影 ジョン・カサヴェテス
黒い瞳 ニキータ・ミハルコフ
男はつらいよ 山田洋次/森崎東
幸福の黄色いハンカチ 山田洋次/高羽哲夫

ファニーとアレクサンデル イングマール・ベルイマン
フィツカラルド ヴェルナー・ヘルツォーク
キング・オブ・コメディ マーティン・スコセッシ/ジェリー・ルイス
戦場のメリークリスマス 大島渚/北野武/ジェレミー・トーマス
キリング・フィールド ローランド・ジョフィ/ブルース・ロビンソン
ストレンジャー・ザン・パラダイス ジム・ジャームッシュ
冬冬の夏休み ホウ・シャオシェン
パリ・テキサス ヴィム・ヴェンダース/ベルンハルト・ヴィッキ
刑事ジョン・ブック-目撃者 ピーター・ウィアー
バウンティフルへの旅 ピーター・マスターソン/ホートン・フート/ジョー・ジョンストン

野いちご イングマール・ベルイマン/ヴィクトル・シェストレム
処女の泉 イングマール・ベルイマン
非情城市 ホウ・シャオシェン
ピクニックatハンギング・ロック ピーター・ウィアー

パパは、出張中! エミール・クストリッツァ
ザ・デッド(ザ・デッド-「ダブリン市民」より) ジョン・ヒューストン
友だちのうちはどこ? アッバス・キアロスタミ
バグダッド・カフェ パーシー・アドロン
八月の鯨 リンゼイ・アンダーソン
旅立ちの時 シドニー・ルメット/ジェリー・フィッシャー…ルメットの作品はTVドラマ時代も好きだとか
となりのトトロ 宮崎駿
あ・うん 降旗康男/木村大作
美しき諍い女 ジャック・リヴェット
HANA-BI 北野武

if もしも... リンゼイ・アンダーソン
魔女の宅急便 宮崎駿/高畑勲/片渕須直 他
その男、凶暴につき 北野武






巨匠・黒澤明は生前、自分の好きな映画を100本選んだことがあります。
そのリストをもとに、娘の黒澤和子さんが新たに構成したものが本書です。
和子さんが明氏と一緒に映画館に行き、帰りの喫茶店の中で語り合ったこと。インタビュー中に明氏が語っていることを傍らで聞き、覚えていたこと。テレビやビデオを父と並んで見ながら話し合ったこと――。その時々の明氏の感想を、具体的に再現します。

たとえば「チャップリンの黄金狂時代」については、「チャンプリンは俳優としても才能があって、喜劇というのは一番難しいんだ、泣かせるのは楽だけどね。監督としても才能があって、音楽にも精通していて、本当に才能あふれた人だったと思う。何か、ビートたけしってそういう所があると思うよ」。その北野武監督の「HANA-BI」については、「『その男、凶暴につき』を見たときから、才能あると思ったね。出てる人の一人一人の存在感がしっかり出ている所がすばらしいね」。宮崎駿監督の「となりのトトロ」については、「アニメだけれど、ボクとても感激しちゃってね。ネコバスなんてすごく気に入った。だって、思いつかないでしょ。『魔女の宅急便』は泣いちゃった」。それぞれ大絶賛しています。
ほかにも、「モロッコ」「会議は踊る」「三文オペラ」「赤西蠣太」「荒野の決闘」「自転車泥棒」「青い山脈」「「ゴジラ」「幕末太陽傳」「勝手にしやがれ」「太陽がいっぱい」「鳥」「ゴッドファーザー パート2」など古今東西の名画を、〝世界のクロサワ〟ならではの視点で楽しめます。





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