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カートの網も噛み破るビビリのために本気で方向転換~ビビリの元保護犬はなが教えてくれたレッスン③
<はじめましての方はまずこちらを読んでくださいね>
家のドアを開けた瞬間にガタブルに震えて固まってしまう。
外の世界は恐怖に満ち満ちている。
歩けないったら、歩けない。
やがて、家族との関係が築かれてきて、少しずつ少しずつ奇跡が広がっていく。
散歩の工夫によって、ニコニコがどんどんと増えていく。
今は天使となった世界一可愛い我が家の愛犬はなさん(親バカはこれぐらいじゃないとあきまへん)。
ペットロスを乗り越えて、彼女のことを以前よりもゆっくりとほっこりと思い出せるようになった今だからこそ、びびり犬との向き合い方い悩んでいる飼い主さん、世の主流のしつけやトレーニングの常識にどうもすんなり頷けずに悩んでいる飼い主さんたちに、何かお伝えできないか、何か喜んでもらえないか、との思いで記事を書き始めました。
メインの先生はあくまでも「はな」さんです。ワタクシ、なばな円盤(はなの母=里親)がたまにはずっこけながらも、失敗や反省を繰り返しながらも、はなという犬から学んだこと、ヒトとして感じたことをお伝えします。必ずしも時系列的に記事が並ぶことはないかもしれませんので、その点はご容赦下さい。
応援・シェアをしていただけたらとても嬉しいです(イラストもななば円盤本人が描いたものです。えへへ)。
(過去にnoteの投稿企画ではなとの物語を書いて受賞した作品のkindle版はこちらでっす。他のクリエーターさんの作品もぎゅっと詰まってますのでよかったら見てみてくださいね↓)
どうぞよろしくお願いします。では行ってみよー。
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何これ!? アタチをどこへ運ぶ気?
犬のビビリについて、シコーサクゴを繰り返していたママは、ようやくアタチの願ったとおりに「ストレスマネジメント」という言葉にたどり着きました。
いくつかの方法を試しても、早朝散歩以外はアタチはぶるぶる震えて足がすくむ状態が続いてたから、ママはやり方を変えることにしたの。ママはいろんな人のブログを読んだりトレーナーさん達のHPを見たりして、その中から自分自身がしっくりくる道を見つけ始めたみたい。(しつけやツールやトレーニングとかはひとまず脇に置いといて、ビビリを生み出している心に気長にしっかりと寄り添うという方法です。少数派のやり方かもしれませんが、自分のハートが一番それを自然に受け入れていることに気づきました[母より])。
犬に寄り添うというポリシーを徹底していた元動物看護師のペットシッターさんと出会うことができて、ママはほっとしてたみたい。アタチもそのお姉ちゃんが来てくれたときは、すぐに大好きになっちゃって嬉しくて嬉しくてペロペロし過ぎちゃった。お姉ちゃん(以降、ペットシッターさんを「お姉ちゃん」と呼びます[母])は、「ありが…と」、「わかっ…」と少し顔を逸らしながら答えてくれたよ。息ができなかったのかなぁ。ごめんなさい(笑)。
お姉ちゃんは、アタチを抱っこして歩きましょう、とママに言ったの。ストレスの要因となるものは消えるわけではないけど、抱っこすると少しは安心して通過していけるって。ママも納得して、そうすることにしたの。お姉ちゃんとママとアタチの三人で静かな時間帯を狙っての昼間のお散歩の練習スタート。アタチは試しにちょっと歩いてみるけど、やっぱりダメ。お顔を横に向けて、目を細くしてみるの。犬語が通じるといいなぁと思ってたら、お姉ちゃんもママも分かってくれて、「抱っこポイントですね」と言いながらママがアタチの脇とお尻の下に両手を入れて抱き上げてくれた。こりゃ、ありがたい。ずっと安心だ。あの当時はアタチはどのくらい重かったのかなぁ。10 kg以上はあったのかなぁ(生涯の最高記録は17.3kgぐらいよ)。
最初はママもひょいと抱き上げてくれるけど、だんだんと疲れてくるのが腕のぷるぷるで分かった。ごめんねぇ。でも降ろされるとアタチはフリーズしちゃうし…。「変わりましょうか」とお姉ちゃんも途中で抱っこしてくれた。ママよりも小柄でちょっと大変だったと思う。でも、顔には出さないで気合い(っていうの?)で運んでくれました。
いつも抱っこは大変だから家にあるカートを使おう。ある日ママはそう提案。アタチがお家にやってきてからすぐに、大型犬まで乗れるカートをうきうきと買っておいたみたいなんだけど、一度家の前で試しに乗せられた途端にアタチは怖くなって飛び降りようとしちゃった。慌てて押さえられたけど、ママが言うには、まるでポップコーンが弾けて飛び出るような勢いだったのでびっくりしたそうよ。
お姉ちゃんは「確かに、カートに乗って、好きな場所や公園まで一気に移動できてしまうと楽なんですよねぇ」と言って、持ってきてくれたレバーのオヤツでアタチの気を引きながら再びカート乗りの練習をスタートしたの。でも、アタチは絶賛「不審なものは拒絶!」モードだったから、抱き上げられてカートのシートの上でお座りをお願いされてもすぐ出たくなって、オヤツも地面に降りてからじゃないと食べられなかったの。
カート失敗。ママはその様子を見て凹んだんだけど、彼女もめげないのよ。 ある週末、パパと一緒にもう一回練習してみようということになったの。それでだめなら諦めようって。カートは、上全体にカバーがあって、周りをぐるぐるって止めるようなしくみになってたの(ジッパーのことです[母より])。狭いカート内に閉じ込められた感じにならないように、メッシュのカバーだけ掛けて、お空が見えるようにしようということになったの。
(これと同じやつだったよ↑)
そうしてソロソロとママがバーを押しながら出発。パパは横を歩きながらアタチに声をかけた。でもアタチはもういやいやのパニック状態になっちゃった。お空は見えるけど、そのお空は黒い網の向こう。それに、このガタガタ揺れるこの変な小さなお部屋(カート内の犬を入れるスペースです[母より」)も、いや。お部屋の内側からはお外がよく見えない。両側に小さな網の窓がある。そこから外を見ようとした。どこに連れていかれるのか、これから何が起こるのか、初めてじゃないような不安が襲ってくる。どうなっていくのか全然分からないアタチは、ここは危険だって感じた。お顔が出させるかどうかの小さな横の窓、アタチはここから逃げ出そうって決めた。
「あ、噛んでる、噛んでる!」
パパが突然大きな声を出した。ママが「え!」ってカートを止めて横から覗き込んだ。アタチが怖い顔して歯を剝きだして窓の網を嚙みちぎっているところがばれちゃった。
「やめよう」
パパとママはほぼ同時に行って、頭の上の大きな網も外して、アタチを抱き上げた。アタチはハーネスとリードも付けた状態だったから、そのまま歩いて家へ帰ることになったの。ママがリードを持って、パパは空のカートを片手で押してた。生垣や植え込みのある細い道を選んで三人でとぼとぼ歩いて帰る。公園に着いたら食べようねとオヤツも用意してたママは、さすがにちょっと思いつめたような厳しいお顔をしてた。アタチもごめんなさいって一生懸命自分の脚で歩いたの。
お家には車もあったよ。パパがお休みの日はドライブで自然のある場所へいろいろ連れていってくれた。そういう時は三人一緒で心強くてけっこう歩けたし、ママも楽しそうにリードを持って笑ってた。でも毎日がハイキングってわけにはいかないものね。ママは車を動かしたことがなくて(はい、恥ずかしながらペーパーです[母])、その分毎日のお散歩を楽しみにしてくれたの。
家に帰って、お水とオヤツをもらったけど、オヤツはパパとママの顔つきも確認しながらちょっとだけ食べて、それから、アタチはなんとなく居心地悪くて、離れた隅っこに丸まりました。
パパとママは黙ってお互いのグラスにビールを注ぎ、しょんぼりしてました。
ママはぼそっと言いました。「もう、あきらめた。抱っこを頑張る」
ママは次の日から、何かふっ切れたみたい明るくなった。日の出の頃のお散歩は無事にできる。それから午後の、子供たちの下校が始まる前くらいの時間に、おトイレ散歩を兼ねて外に「お散歩行くよー」とアタチに声をかけ、玄関のドアを開けてアタチがやっぱり固まったら、すっかり慣れた手付きで抱き上げてくれた。
歩く距離も近所の静かな畑や住宅地のところを少し周ってくるぐらいだった(だいたい所要時間10~15分。体力的にもこれが楽でした[母より])。時々降ろしてもらって、道の隅や草陰でおチーして、ママがそれをお水で流して、少し深呼吸。それから少しリードを持ったママがアタチが歩けるか誘導してみる。数歩歩けることもあれば、フリーズの時もあった。そして、無理させずに抱っこ。
たまには、ママが暇なとき、根性でアタチを大きな公園まで抱っこしてったこともあったよ。汗だらだらのママは、芝生と木がたくさんあるところでアタチを降ろして「おら、どーだー…」と言ったりしました。アタチはちょっと嬉しくてクンクンしたけど、朝のようにははしゃげなかった。人もちょっとしかいないのに、しゅーんってしっぽが下がって止まっちゃう。
「そっかー、だめかー、だめなのかー」とママは腰に手を当てて空を眺め、一回大きく息を吐いて、再びアタチを抱き上げる。そうしてお家へと帰っていく。
この後、ママは、昼間の抱っこ散歩は近所を軽く一周のみでやめるようになって、お家のせまーい裏庭でおチーも出せるように、時々一緒に裏庭で過ごしてくれたよ。アタチ、これはありがたいなって思った。そう思ったから、お家の中でニコニコでよく笑ってはしゃいで、ママを笑わせたんだ。
お家の中でおトイレすればいいじゃん、って言う人もいるらしいよね。アタチはできなかった。ママだっていろいろ調べて、シートもトレーも買って、気長におトイレトレーニングをやってた時期があるの。でもアタチはとことん我慢した。そんなの、それまでの犬生でやったことないし、意味わかんないし。これじゃアタチの体に悪いと困ったママは、ある日、最初のお母さん(保護してくれたボランティアさんのことです[母より])に電話して、「カンゼンソトハ」とか言われたらしい。そうして、トレーを片付けた。アタチにこれ以上無理をさせたくないって。(お家でおトイレをできても、できなくても、いいやと吹っ切れました。できるからいい子、できないのは問題のある子、という考え方もすごく苦手です。犬たちは本来はいろいろな匂いを確認しながら外でやりたいはず。大切な作業ですものね。その代わり、しっかりとおチーは水で流す。それだけは徹底しました[母より])。
ちなみにビビリ中型犬のアタチのおすすめカートはこんなのだよ
話はずっとずっと後になるけれど、アタチがおばあワンになった頃、病院への往復の時などに使えるようにって、ママは新しいカートを買ってくれたの。これは、地面からの高さがなくて、大きく開くカートだったから、アタチも乗りやすかったよ。大きい子にはこんなのもいいんじゃないかな。
ハーネスと長めのリードがママとアタチを救った
そのうち、少しずつだけど、気持ちいいお天気の日やお日様があったかい冬の日とかに、昼間もママと歩いて近くを歩けるようになったの。お姉ちゃんも喜んでくれたよ。
ママはお姉ちゃんからたくさんのことを教わった。アタチがフリーズしていた頃から、アタチのお散歩の支度は変わっていたんだよ。首輪ではなくて、コンフォートハーネスとかいうのを使うこと。長い(3メートルで作ってもらいました[母より])柔らかいアクリルテープっていうのをリードに使うこと。ママはお姉ちゃんからリードの使い方を教わった。両手を使わないといけないので、お散歩に必要なものは全部ウェストバッグに詰めて腰に巻いてた。ママ、なかなかカッコいい姿じゃん。
ハーネスになってアタチも歩きやすくなったし、ゆっくり歩きだせるようになるきっかけにもなったかなって思う。そのことはまた次回お話するね。
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