小説 推し燃ゆ の感想

評価 3/5

芥川賞なので、期待して読んでみた。文才はめちゃある。ものすごい表現力。新たな発見や喜びがなくただ後ろ向きな共感のみが漂っていて、悲劇的だった。彼女に希望が見えない。ただただ悲しい。

うわぁすげぇ!こんな解釈をするんだ!みたいな鮮烈な印象は少ない。もう終わり感。こっちは燃えきれてねぇよーみたいな。

ただ、生活することのつらさ、生活よる精神の摩耗を取り戻していくのに十分な栄養。それが彼女にとっての推し。それがない今、彼女は何を糧に生きるのか。味方してくれる親や兄弟もいない。この先彼女がどう生活していくのか気になった。社会不適合者だしね。ただ、誰しもが彼女になりうる可能性があり、彼女を作り上げてしまう可能性はある。今回の場合は家庭環境。現実世界でもそれでも生きている人がたくさん世の中にはいるのだろうとそう思った。

最後の綿棒を拾うシーンは過去の自分と推しへの弔いであり、彼女が立ち上がることができなくなってしまったことを認めてその中で生きていかなくてはいけない現状を意味してるのではないかと思う。

プロローグ部分が長く、肝心の彼女のこれからが描かれていないことが少し気になる。

結局宇佐美りんなりの答えみたいなものがないのなら、ただの解決策のない問題提起で終わってしまう。
ただただ現代社会の若者の特徴を大袈裟に書き上げた作品だとしか言えない。

後編が欲しい。。切実に。。

青碧 瑠璃色 紺碧色。

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