&THINGS MAGAZINE #08 : Simply beautiful 桜、そしてオスカー
(3月30日水曜日配信、WINES&THINGSのメールマガジン “&THINGS MAGAZINE” #08の転載です。)
東京は桜が満開です。有名な桜の名所、目黒川沿いもまさに咲き乱れ真っ只中で、朝ランが超絶気持ち良い。一年のこの時期といえば桜、そしてアカデミー賞授賞式。毎年色々と話題を提供してくれますが、今年のハイライトはなんと言ってもウィル・スミスの一撃でしたね!いや〜〜男前すぎだろ〜!あまりに男前すぎるので仕込みなんじゃないかと疑ったくらいですが、あのブルシット・ジョークがクリス・ロックの口から出た瞬間のジェイダの表情を見ればそんなことないことは一目瞭然でした。スタンドアップコメディファンのひとりとして、やはり超えてはいけない一線であった上にジョークとして、これっっっっっっっっぽっちも面白くなかった。「笑い」というのは常に知的であるが故に暗闇に光を灯すのであって、人の傷を抉るものであっては決してなりません。その境界線を履き違えたクリスロックは一文化人として失格、もう大きな舞台に呼ばれる事はないかもしれませんね。
さてさて、今日の小ネタは、涙無くして語れない超個人的「The remembering Oscars moments : 歴史に残るアカデミー賞のワンシーン」!
ひとつめ!にして最高の瞬間は…(ドラムロール)2020年「パラサイト」最優秀作品受賞!英語以外の言語の映画として初の最優秀作品賞受賞、監督のポンジュノは最優秀監督賞も受賞しましたね。私もその一報を聞いた時は鳥肌が立ったと同時に目尻が熱くなり…思わず涙したものでした。パラサイトのアート作品としての完成度はもちろんですが、やはり同じアジア人として、そして一韓国映画ファンとしてものすごく嬉しかった。受賞前のインタビューでポンジュノはアカデミー賞のことを「国際映画祭という名のローカル映画祭である」と否定的に揶揄していました。2016年にティファニーハディッシュがプレゼンテーターとして登壇したときには「オスカー黒人ばっかじゃね、って思った?まだまだ白人でるからw」と笑いをとったものですがオスカーの白人至上主義的かつ「オスカー的」範疇を覆さない姿勢は非難に値するものだと、薄々思っている節がマイノリティにはあったと思いますが、その壁が一気に打ち破られたような気持ちになったものです。
"Parasite" wins Best Picture (見返したらまた泣けた)
ふたつめ!パラサイトが受賞した年と同じく2020年に最優秀主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックスのスピーチ。これもほんと泣けた…そもそもジョーカーのホアキンの演技が凄まじく芸術的であった(が故にストーリーよりも彼の演技が際立ってしまったのは作品としては痛手でありましたが)こと、そして過去にオスカーを「糞」呼ばわりした経緯がありながら壇上に登り「Use our voice for the voiceless(声なき者のために声を上げなくては)」と言いながら、自らの受賞の感謝の念を語る代わりに差別や侵略、環境破壊に言及し、人類は変革・発展を求められていると訴えました。そしてスピーチの最後は亡き兄リヴァーが遺した言葉(リリック)「愛をもって救済へ向かえ。そうすれば平和がその後を追うだろう」で締めくくりました。本当に素晴らしいスピーチでしたので未見の方は是非お時間のあるときにどうぞ。
Joaquin Phoenix wins Best Actor | 92nd Oscars (2020)
日本語字幕付き
過去には1973年にマーロン・ブランドが「ゴッド・ファーザー」のヴィトー役で表彰された際式典への出席を拒否し、代理人として登壇したアメリカ先住民の公民権運動家であるサチーン・リトルフェザーが、ブランドが”映画業界による今日のアメリカ先住民の扱い"を理由に拒否することを説明した読み上げるというワンシーンもありました。リアルタイムで観たかったです。
みっつめ!オスカーにはまだまだ数々の感動的かつ人道的なスピーチがありますが、まさにスピーチレスな衝撃は1972年にチャーリーチャップリンが受けたオスカー史上最長、12分間のスタンディングオベーションでしょう。冷戦時代に作品が共産主義的と言われ国外へ事実上追放されていたチャップリンが20年ぶりにアカデミー名誉賞受賞の為ハリウッドへと帰還。受賞後もアメリカに帰国することはありませんでしたが、「今世紀が生んだ芸術である映画の製作における計り知れない功績」を讃えられたシーンは胸を強く打つものがあります。
よっつめ!まだ私がアメリカにいた1995年、2年連続2度目の主演男優賞をトムハンクスが受賞!もちろん史上初のことでものすごく驚きました。94年の「フィラデルフィア」はゲイ・エイズ差別が題材に、95年の「フォレスト・ガンプ」ではベトナム戦争に対する反戦運動にもフォーカスしておりどちらも超社会的メッセージ性の強い作品でまだ若かった自分に社会問題に対する興味を植え付けてくれた瞬間でもありました。
笑いしかり、映画というのは問題提起をすることができる力強いアート表現のひとつであり、同時に最上の娯楽であるんだと、オスカーはいつも私に教えてくれます。
ちなみにNetflixの「ボクらをつくった映画たち」というドキュメンタリー番組のフォレスト・ガンプの回が最高なので是非。
番外編!オスカーではなく(!)2017年ゴールデングローブ賞のオープニングで、司会のジミー・ファロンによる、ニコール・キッドマン、エイミー・アダムス、ジョン・トラボルタ、ライアン・レイノルズ、ティナ・フェイ、ジャスティン・ティンバーレイクなど超豪華ゲストを迎えた『ラ・ラ・ランド』のパロディ映像が最高なのでご紹介〜。賞レースや煌びやかな授賞式に辟易したりネガティブな感情を持つこともあるとは思いますが、こうして純粋にエンターテインメントとして人を笑顔にさせるものも、それはそれで最高ですよね。
さて今週も新入荷たくさんありました!が、せっかくお花見シーズン真っ只中なのでおすすめロゼをご紹介!
Vallat D'ezort "Alégria, rosé” / ヴァラ・デゾール "アレグリア ロゼ" 2020
¥2,380 税込
先立ってお薦めしていた超コスパ、ヴァラデゾールのロゼがお花見に合わせてたくさん入荷しました!私自身もお花見用に何本かキープしてます。
お花見ってみんながいろんなおつまみを持ち寄るのが楽しいですよね。ロゼワインてフードマッチング的懐が深いのでピクニックに最適なのです。子どもも大人も大好きな崎陽軒のシウマイも、間違いないマッチング!です。
Fongoli "Rosato Bullarum" / フォンゴリ"ロゼ ロザート ブッラルム" 2020
¥3,630 税込
先週入荷のFongoli発泡ロゼ!イタリア ウンブリアの生産者で栽培醸造ともに自然に寄り添い、つくるワインはすべていかなる段階においても亜硫酸無添加のフォンゴリ。現当主は4代目で曽祖父の代(1900年初頭!)からのワイン造りを大切にしながらも自らのワインを表現しています。メトドアンセストラル(古代または田舎方式、瓶内発酵)でつくられたロゼフリッツァンテは自然の旨味そのまま、香りも味も素晴らしく、そのままいただいても、ご飯とのマッチングもオールマイティに活躍すること間違いなしです。
Eric Kamm "Kamméléon Rosé" / エリック・カム "カメレオン・ロゼ” ピノ・ノワール 2020
¥3,786 税込
店主の推し、エリック・カムのピノ・ノワール100% カメレオンロゼ!エリックのワイン全部好きですが名前の通りカメレオンみたいにいろんな表情を持っていてどんな料理にもピタッと合わせてきます。餃子や焼売などの点心、生ハムなどシャリュキュトリはもちろん、鴨や牛など少し脂強めの肉料理にも負けないピノノワールならではの厚みも兼ね備えているのです〜。
ロゼワイン好きもそうでない方にも一度飲んでみてもらいたい一本です!!
「澄んで輝きのあるチェリーピンク。やや強い粘性。香りは穏やかだが、チェリーやいちごのコンポートのような甘酸っぱい香り。味わいはザクロのような甘苦いイメージで、ソフトな甘み、キメ細かい酸味、サラサラした口当たりが心地よい。ピノ・ノワールらしい厚味もある、チャーミングで可憐なロゼワイン。」
今週も長々とお付き合いをありがとうございました。
また来週!