インパクト抜群の果実味と樽香。家飲みではなくパーティーで飲みたい1本【ザ・プリズナー レッド・ブレンド2019】88点
忘れられないワインというものがあるとすれば、筆者にとってそのうちの1つがこのプリズナーだ。まだワインのことをよく知る前、ふとした機会に購入したことがあった。濃厚な果実味と甘さすら感じるほどの強烈な樽香はインパクト抜群で、印象に残ったことを覚えている。
いわゆる評論家受けするタイプのワインではない。数年ぶりにプリズナーを飲んであらためてそう思った。香りも味わいも当時感じたままの濃密さで、エレガント志向が強まる最近のワイントレンドなどどこ吹く風の甘い樽香にはもはや潔ささえ感じる。88点。
プリズナーはアメリカのセレブなどにファンを多く持つという触れ込みで販売しているが、たしかにそれもよくわかる。キャッチーなエチケットと一口目からガツンとくるパワフルな味わいは、セレブなパーティーでも受けがいいだろう。
ただし、アルコールが15%を超えることもあり、ずっと飲み続けているとやや疲れてくるワインでもある。グラスで1杯、パーティーで飲むくらいがちょうどいい。
プリズナーという名称には「常識にとらわれない」という想いが込められているという。なるほど、たしかに我が道を行く孤高のワインではある。誤解を恐れず言うならマーケティング的な視点でつくられたワインだと思う。もっとも、それが悪いわけではない。ワインにはそれぞれ役割がある。プリズナーは家飲みではなく、パーティー向けなのだ。
米国価格を考えると、日本での正規価格は少し高すぎるようにも感じるが……そういったコスパを気にするようなワインではないということだろう。