WSET Level3:記述問題対策⑧(ブドウ樹の生態)
今回は、記述問題のうち「ブドウ樹の生態」に関する、頻出問題の解き方と対策方法をまとめます。ブドウ樹の生態は普遍性の高く、産地に限定されずに出題されます。狭い範囲ですが、出題率は高いので確実に得点源にしましょう。
以降、代表的な問題と、その対策方法をまとめていきます。
「ブドウ樹の生態」の出題パターン
例題1:植え替え
解答例
土台となる主幹部分を残して切り落とし、植え替える品種を枝接ぎ、もしくは芽接ぎする「高接ぎ」という方法を薦める
この方法を取ることにより、翌年から接ぎ木した品種の収穫をすることができ、ニーズの変化に素早く対応することができる(ブドウ樹を植え替えた場合は3年かかる)
ブドウ樹を植え替えるよりも低コストである
解説
例題は、植え替えに関する問題でした。
樹の植え替えは、品種のトレンドに敏感なニューワールドの生産者にとって非常に重要で、試験にもよく出題されます。植え替えについては、高接ぎ以外の方法がテキストに詳しく載っていないので、高接ぎしか出題されません。
解答例は、テキストの高接ぎ部分の記述を、問題文で聞かれた通りに解答しています。出題も解答もワンパターンなので、この例題で覚えてしまいましょう。
例題2:クローン
解答例
一定の特徴を持つ、質の良い果実を得ることができるから
一定の病害耐性を持ち、自身の畑に起こりうる病害を対策することができるから
解説
例題は、クローンに関する問題でした。
解答例は、テキストのクローンの部分の記述を、問題文で聞かれた形式に合わせて解答しています。テキストの記述が少し曖昧なのですが、クローンの最大の特徴は、全く同じ遺伝子のため、一定の性質を得ることができることです。その点に触れて回答しましょう。
クローンの対になるのは、「突然変異」と「交配品種(ハイブリッド、クロッシング)」です。クローンの方が頻出ですが、出題される可能性は十分あります。テキストの記載がボヤッとしているので、クローンとの対比で、ここで理解してしまいましょう。
「突然変異」は交配を経ずに遺伝子が突然変化し、異なる特徴を持つことです。良質な変化があり、同じ品種の範疇にあれば、別クローンとして扱われ、変化が大きければ別品種と扱われます。例えば、ピノ・ブラン、ピノ・グリは、ピノ・ノワールの突然変異で別品種になりました。
「交配品種(クロッシング、ハイブリッド)」は交配で遺伝子が変化し、異なる特徴を持つものです。交配によるため、ブドウの生殖による運任せで、成功例の少ないパターンです。
同種(主にヨーロッパ種)交配のクロッシングでは、カベルネ・フランと、ソーヴィニヨン・ブランからカベルネ・ソーヴィニヨンが生まれています。異種交配では、ヨーロッパ種とアメリカ種の交配でヴィダルが生まれています。
それぞれの方法で生まれた品種名を書かせることもあるので、例示できるようにしておきましょう。
「ブドウ樹の生態」の対策方法
上の例題でも解説したとおり、「ブドウ樹の生態」に関する問題は、比較的ワンパターンです。この記事を読んで、試験直線にもう一度見直せば、対策は十分だと思います。他の対策に時間を使いましょう。
補足
上記例題は、オリジナルのものです。実際の試験や、スクールでの練習問題と講師の模範解答などを参考に筆者が作成しています。
WSET試験では、過去の試験問題や、採点基準が公表されていません。採点はロンドンの本部で行われ、講師にも明確な基準は開示されていません。よって、解答例で満点が取れることを保証することは誰にもできません。
筆者は、一応Distinctionで合格しているので、解答例はそれなりに正しく、出題ポイントも妥当なものになっていると思います。
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