WSET Level3:記述問題対策⑥(ブレンド)
今回は、記述問題のうち「ブレンド」に関する、頻出問題の解き方と対策方法をまとめます。ブレンド問題は、出題頻度が非常に高く、出題範囲が限定的なので、ぜひ得点源にしたい問題です。
以降、代表的な問題と、その対策方法をまとめていきます。
「ブレンド」に関する記述問題の出題パターン
例題1:ブレンドの効果
解答例
グルナッシュ種は、 色が淡く、タンニンが少なく、凝縮した赤系果実とスパイシーな風味がある。
シラー種は、色素とタンニンをワインに加える。
ムールヴェードル種は、黒系果実の風味をワインに加える。熟成により、猟鳥類や肉の風味が得られることもある。
サンソー種は、赤系果実の風味を補う。
解説
例題1は、南ローヌのブレンドに関する問題でした。
まずは、中心になっているグルナッシュについて描写します。描写すべきポイントは、後に挙げる補助品種とのコントラストが出る部分です。ポイントを絞らずに書くと、減点こそされませんが大幅に時間を失います。今回は、南ローヌの最大の補助品種であるシラーとのコントラストで、「色素とタンニン」に関する描写、ムールヴェードル種との対比で「風味」に関する描写を行いました。
以降は、補助品種の「名前」とブレンドで得られる「効果」を書いていきます。今回の解答例は、テキストの南ローヌの記載そのままです。これで満点に達する可能性は高いのですが、点数が足りなそうであれば、ブドウ品種の章から拾えることを加えても良いです。例えば、シラー種は間違いなく黒系果実の風味を補うので、解答に加えても点数になるでしょう。
少し邪道ですが、補助品種から解答を始めるのもかなりオススメです。前述の通り、主品種の描写の際に、補助品種から得られる効果を意識する必要がありました。そこで、補助品種から得られる効果を先に書き、コントラストとなる部分を見極めてから主品種の描写を行う方法を取ると効率が良いのです。(この場合、解答欄の上の方を空けておきましょう)
例題2:ブレンドの目的
解答例
グルナッシュ種は、凝縮した赤系果実とスパイシーな風味を持つが、色が淡く、タンニンが少ない品種である。シラー種などをブレンドすることで、不足している色素とタンニンを補うことで、ワインのバランスを向上させることができるから
ムールヴェードル種をブレンドすることで、黒系果実の風味や、熟成による猟鳥類や肉の風味を加え、ワインの複雑性を向上させる事ができるから
品種や年ごとの豊作・不作による影響をブレンドを行うことで緩和し、ブランドとして目指すスタイルを実現することができるから
醸造は樽ごとに行うため、樽ごとに仕上がるワインに差異が生じることがある。異なる樽同士をブレンドすることで、ブランドとしての一貫性を保つことができるから
解説
例題1と同じ地域ですが、今度は目的を問われています。例題1のように、品種ごとのブレンドの効果を部分的に書いてはいますが、聞かれているのはあくまで目的です。
WSET的なブレンドの目的は、解答例の中でも太字で強調した以下の4つです。(7章:ワイン醸造と熟成に記載があります)
ワインのバランスを向上させることができるから
ワインの複雑性を向上させる事ができるから
ブランドとして目指すスタイルを実現することができるから
ブランドとしての一貫性を保つことができるから
1,2はイメージしやすいと思います。解答例のように品種と絡めて書くと得点になりやすいでしょう。
3,4は構えていないとなかなか書けないと思います。産地の事情や品種と絡めて書くものでもないので、試験直前に、3,4は決まり文句として反射で書けるように復習しておきましょう。
「ブレンド」に関する記述問題の対策方法
ブレンドに関する問題は、特定の生産地域に関連付けて出題されることが多いのですが、出題される産地は限定的です。
以下で、練習すべき生産地域を記載します。上の2つの例題の産地を入れ替えた問題を自分で作って解いてみましょう。
練習すべき生産地域
練習すべき生産地域は以下の通りです。
()内の産地は優先度が下がります。
ボルドー
ソーテルヌ
ローヌ川流域北部 [シラーとヴィオニエのブレンド効果のみ]
ローヌ川流域南部
(南フランス)
ジャンパーニュ
リオハ
(プリオラート)
オーストラリア
補足
上記例題は、テキスト記載の例題と、スクール講師の模範解答をベースにしています。
過去の試験問題や採点基準は公表されていません。採点はロンドンの本部で行われ、講師にも明確な基準は開示されていません。よって、上の解答で満点が取れるかを保証することは出来ません。
筆者は、一応Distinctionで合格しているので、解答例はそれなりに正しく、対策リストも妥当なものになっていると思います。
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