歴史に残るワイン会:希少なワインとの出会い
📌 このnoteについて
ワイン愛好家のオーナーのワイン日記です。美味しかったワインの紹介や、ワイン情報、家で簡単に再現できるワインペアリング案をご紹介中です🍷
先日、お世話になっているワイン愛好家の友人の節目となるお誕生日プレミアムワイン会に、光栄にも参加させていただきました。こんな素晴らしい席に招かれていいのだろうかと、招待を受けてから当日まで、緊張で胸が高鳴っていました。
驚くべきラインナップは本当に前代未聞なレベル!
このクラスのワインを比較しながら味わうことは、本当に貴重な体験です。まさに歴史に残るプレミアムワイン会でした。
もちろん、錚々たるワインのラインナップも素晴らしかったのですが、特に注目すべきはそのヴィンテージ。すべてが当たり年という、まさに神がかった会。
あの瞬間を思い出すと、今でも言葉にできない感動に胸がいっぱいになります。
今回、改めて感じたのは、ヴィンテージの違いによるワインの完成度の違いです。神がかったワインと神がかったヴィンテージが重なると、こんなにも衝撃的な体験が生まれるのだと感じました。それはまさにワインを超越した液体。
これを予測してワインを造る醸造家さんに改めて感服しました。
この歴史的な日を記録として残しておきたく、このNOTEを綴ることにしました。
▼Salon Blanc de Blancs 1996
まずは、かの有名なサロン。1996年ヴィンテージは、この100年で最高のサロンとも言われています。シンプルに「美味しい!」と思える上質なサロンで、鼻に残る余韻が長く、ふくよかでありながら酸味が絶妙です。
ペアリングはクルミとフルムダンベールのクジュール、そば粉のクリームジュレ&キャビアでした。クルミとそば粉との相性は抜群で、複雑な熟成感が引き立つ美味しさでした。
ドサージュ: 5g/l
セパージュ: シャルドネ100%
パーカーポイント: 99
▼Dom Perignon P2 Rose 1996
次に登場したのは、あの有名なドンペリニョンのP2。ヴィンテージ1996年は、ドンペリの当たり年に生まれた偉大なヴィンテージとして称されています。「P2」は、段階的熟成の2度目のプレニチュード(ピーク)を意味します。シェフドカーヴによれば、ヴィンテージから約8年で1度目のプレニチュードに達し、約15年で2度目、そして30~40年で3度目のプレニチュードに達するといいます。また、P2 ロゼは1992年、1993年、1995年、1996年の4つのヴィンテージしかリリースされておらず、その希少性は計り知れません。
こちらを口に含んだ瞬間、その衝撃的な美味しさに涙が出るかと思いました。熟成したスモークの風味や熟したプラムの味わいが広がり、言葉にできない衝撃。
これまでドンペリニョンP2やドンペリニョンを幸運にも飲ませていただいたことはありましたが、今回のP2 Rose 1996は、その衝撃があまりにも大きく、一瞬言葉を失うほどでした。「これが本当にドンペリニョン ロゼ?」と驚かずにはいられません。
もちろん、以前に飲ませていただいたものも素晴らしい味わいでしたが、今回は本当に異次元の液体に感じられました。この体験は改めて心の底から実感できる貴重な経験となりました。
合わせた料理は、蝦夷アワビのしっとり煮と焼き茄子、新生姜クリームとコンソメジュレ。新生姜とコンソメが、ロゼの複雑な味わいをさらに引き立ててくれました。
ドサージュ: 5g/l
セパージュ: シャルドネ、ピノ・ノワール
パーカーポイント: 96
▼Sancerre Clos la Neore Edmond Vatan 2003
そして次に登場したワインもまた、衝撃的なものでした。エドモン・ヴァタンのワインは日本ではなかなか手に入らず、出回ることも少ない非常に希少なワインです。私自身、今回初めてその存在を知り、調べてもほとんど情報が出てこなかったほどです。このワインはサンセールの街の西側に位置するシャヴィニョール村で造られており、いわゆるサンセールとは一線を画す独特の個性を持っています。知る人ぞ知る、入手困難なサンセールであり、熟成を経てその真価が発揮されるとされています。
口に含んだ瞬間、「え? これはソーヴィニヨン・ブラン?」と自分の舌を疑ってしまうほど、ソーヴィニヨン・ブランの常識をはるかに超えたふくよかな香りと熟成感が広がりました。美しいミネラル感とともに、アカシアや金木犀を思わせる香りが感じられます。また、心地よい苦味があり、これがシュール・リーによるものではないかと話題になりました。わずかなピリピリ感とともに、重厚感が圧倒的な迫力を持って迫ってきました。
2003年はフランスが熱波に見舞われた年だったそうですが、ロワール地方だけは大きな影響を受けず、その結果として、パワフルで驚きのあるソーヴィニヨン・ブランが生まれたようです。
合わせた料理は、鮎のガトー仕立て、ホタテ貝のムース、才巻き海老、ズッキーニ。鮎はプランクトンを食べることで、ほのかにスイカやきゅうりのような緑の風味を持つそうで、それがこの芳醇なソーヴィニヨン・ブランの香りと絶妙にマッチしていました。
▼Trimbach Riesling Clos Ste Hune 1996
続いては、アルザスの名門Trimbach社によるリースリング、クロ・サンテューヌです。
クロ・サンテューヌは、グラン・クリュ ロザケール内に広がる自社畑で、トリンバック家が200年以上も前から所有する1.67haの極小の畑です。ここでは樹齢50年にもなるリースリングが高密度で栽培され、年間わずか7,000本しか生産されない、非常に稀少なワインです。
このワインは、きゅっと引き締まった酸味、控えめなペトロール香、そして重厚感とふくよかさを備えた美しい黄金色が特徴です。今まで何度かトリンバック社のリースリングをいただいたことがありますが、この1996年ヴィンテージは、究極の完成度を誇っています。口の中で何度も重なり合う深み、長く続く鼻への余韻、そして柔らかな酸が美しく残り、リースリングがこれほどまでに美味しくなるのかと感動しました。
今回合わせた料理は、豚挽肉と内臓のテリーヌ、そしてトリッパのトマト煮込みソースです。トマトの酸味とリースリングの酸味が、最高にマッチしていました。
▼DRC Domaine de la Romanée-Conti Montrachet Grand Cru 1989
ワイン愛好家なら誰もが憧れる「ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)」。その中でも、モンラッシェにある畑は特に希少で、小さな区画から生まれるこのワインの生産本数は、同じく伝説的な「ロマネ・コンティ」よりも少ない、年間わずか約2700本前後。手に入れることが困難なこのワインを口にできるのは、まさに奇跡といえるでしょう。
1989年ヴィンテージは、30年以上の歳月を経た今でも、美しい酸がしっかりと残り、ミネラル感と深みのある香りが見事に調和していました。ワインの偉大さを、心の底から実感せざるを得ない一杯です。ヘーゼルナッツのニュアンスやエレガントな酸味が口の中で広がり、まさに「優れたワイン」と称される所以を実感しました。
さらに、香りにはブリオッシュやフレンチトーストを思わせる豊かな香ばしさも感じられ、一層の深みをもたらしてくれました。かつてフランスの小説家アレキサンドル・デュマが「DRCのモンラッシェに対しては、脱帽し、ひざまずいて飲むべし」と讃えたという逸話が残っていますが、まさにその言葉にふさわしい感動的な体験でした。
この日のマリアージュとして選ばれたのは、ブルターニュ産オマール海老のノイリー風味のポワレ、甲殻類の濃厚なソースとバジルピューレを添えて。このブルターニュ産オマール海老は、市場でも手に入れるのが難しい上質な風味を持つものとのこと。その深い旨みとDRCモンラッシェの複雑さが見事に調和し、まさに至福のひとときでした。
▼シャトー・ル・パン 1989
世界中の著名な評論家から最上の評価を受けるシャトー・ル・パンは、ポムロールで唯一、ペトリュスと肩を並べる存在です。年間約7,000本のみの限られた生産量で、その希少性がさらに高く評価されています。
この伝説的なワインを初めて体験するということで、同席した皆も緊張しながらテイスティングを迎えましたが、ワインが注がれると同時に、その香りにただただ、魅了されてしまいました。
トリュフや熟したプラム、野生の下草の層からなる香りが、完璧に熟成されたメルローの本質を映し出しています。タンニンは見事に溶け合い、エレガントでありながら、カベルネ・フラン特有のニュアンスも微かに感じられます。このワインの酸味は驚くほど保たれており、その生命力の持続が、まさに別次元の伝説的なワインであることを印象づけます。
ロバート・パーカーはかつて、「ポムロールで最もエキゾチックで華やかなシャトー・ル・パンは、その特異なスタイルと比類なき感動的な味わいで、ファンを虜にし、非常に高価であることで知られている。」と絶賛しました。このワインを実際に体験してみると、彼の言葉が深く心に響きます。
この素晴らしいワインに合わせたのは、ブルターニュ産の子牛フィレ肉とフォアグラのポワレ、ペリゴールソースが添えられていました。この料理とのマリアージュは言葉にできないほど素晴らしく、一口ごとにワインの魅力を一層引き立てる組み合わせで、究極の味わいを堪能しました。
▼DRC Domaine de la Romanee-Conti Romanee-Conti Grand Cru 1996
そして、遂に!この瞬間が訪れました。
『ロマネ・コンティ』
この名前は、ワインを愛する者なら一度は聞いたことのある、そして一生に一度は口にしてみたいと願う、伝説のワインです。まさか自分がこの偉大なワインを味わう日が来るとは・・・その重みに圧倒されました。
最初の香りは、茎のような黄緑の香りに満ちていました。ゆっくりと空気に触れることで、次第に花々が咲き誇る庭園のような、華やかなバラの香りが立ち上がります。
時間が経つにつれ、このワインの真価が明らかになります。深い味わいの層が、まるで時の流れを感じさせるように変化し続けます。初めの清涼感から、じわじわと広がるダシのような複雑性、そして美しい酸味が絡み合いながら、ブドウが土から吸い上げた力強い生命力を感じさせます。
その後、ワインはさらにその深みを増し、ラムレーズンや熟成したプラム、野生動物の革のような重厚なアロマへと変貌を遂げます。そして、時間が経つごとに酸味が際立ち、紅茶の多様なフレーバーとともに複雑さが増していきます。
このようにグラスに開けた瞬間から、そして時間の流れと共に、様々な表情を見せてくれるこの美しい液体は、何者なんだろう?と、そんな感覚さえ芽生えてきます。この赤い液体は何を隠し持っているのか、本当に不思議な体験でした。
改めて、このワインは、ただ飲むだけでなく、体験するものだと感じました。グラスの中で時を重ねるごとに、その変化を見守ることが忘れられない経験と変わっていきます。私自身も目を閉じれば、その神々しい姿や味わい、香りが何度でも心に浮かんできます。
この壮大なワインには、ブレス産の仔鳩のローストとブロック包み
鶏レバーの赤ワインソースでマリアージュ。
仔鳩の繊細で力強い風味がロマネ・コンティの深い味わいを引き立て、二つの芸術品が見事に調和し、生涯忘れがたい経験となりました。
ロマネ・コンティをはじめとした歴史に残るこのワイン会。
一滴一滴が芸術品のような美しいワイン。そしてその神がかったワインを囲み、友人のお祝い、友人たちとの楽しい時間を過ごすことは生涯忘れられない経験となり、私の感覚を新たな次元へと導いてくれました。
この奇跡のような出会いを経て、ワインが持つ可能性の奥深さと、人生のひとときを豊かに彩る力を改めて感じることができました。
これからもワインの奥深い世界を探求し、その豊かな体験を通じて人生をさらに彩り豊かなものにしていきたいと思います。