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陽炎


私という
揺らいでいる何か

それか、それの映す
擦れ切った情景


なにか、慥かな
自分の手触りがほしくなった

手の内側をひらくような
そんな温かみを

世界を眺めるたび

失ったように思い出す


運命だとか 奇跡だとか

幻想や空想

響きの褪せないその窓の影に
魂が上辺だけ貼り付いて


いまも夢を見ている

色褪せたガソリンの 烟る匂いに
滲んだ視界の中で


誰かが持っているはずの
あなたの瞳を探している


その蒼みに写る 無垢な私を
探している


昼の寒さにうずくまる

陽炎の
その浪のように
     


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