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Photo by
blue1984
詩 記憶違い (夢)
ここは何処だっけ
目覚めた視線の先には
透明なガラスを隔てて流れる人々
どこかの街の
たぶん、カフェの窓際
目を落とした
板テーブルに散らばる、
紙とシャーペンに少し同情する
飾り気が無く でも鋭くそれらは
その存在に固執するように
輪郭を尖らせて
僕は
とうに味気なくなった
自分の心を掘り起こそうと
まだ浅い 息の中を弄る
憶えていることは何だったか
確かにあったはずの過去が
温かみを残して消えている
こんなことが前にもやはり
あった筈だが
僕はといえば
とうにその頃の名前を忘れてしまっているのだ
車の走る道路
賑やかな声の重なり
ぼんやりと響く喧騒が遠くからやってきて
それをぼうっと座ったまま聴いている
微睡みはじめた風景
ふと触れた感覚に、言葉が引っかかって
その意味を思い出す
そうか
僕は、物書きで
僕の全ては
この世界の淵に、
君が見た夢だった。
そんな答えを、子供のように
おどろき、歓びながら
彼は欠伸をして、
やがて
夢を見る彼女の世界で
眠りについた。