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追悼、火野正平さん。
俳優の、火野正平さんが75歳でお亡くなりになったという訃報に、正直、めちゃくちゃショック……
思っていた以上に、私自身には、ものすごいショックでして……そんな自分に、びっくりしています。
私が、抗がん剤投与=病気療養中から観ていたお気に入りの番組のひとつが、「にっぽん縦断こころ旅」。BSプレミアムの番組としては長寿番組になっているものです。
正平さんが、愛車・チャリオくんとともに、視聴者の方からいただいたお手紙「こころの風景」を探して、日本全国を自転車で旅をするという内容。正平さんと一緒に、番組スタッフも一緒に自転車で伴走(だいたい4~5人)、色々なところを巡って……というもので、これがまた……なにげない内容ではあったんですが、正平さんの気さくな人柄と、全国各地の色々な風景が、すごく楽しくて、優しい気持ちになれる……抗がん剤投与でしんどい私には、とてもココロが救われる番組でした。
で、火野正平さんといえば、昭和世代の私たちにとっては、稀代のプレイボーイというイメージもあります(笑)
実家の母も、そう言って笑っていましたし……(^_^;)
ですが、老若男女問わず、とにかく「人に優しい」人なんだな~っていうのが、番組の中でもよく出ていたなぁ……と。
自分のことは決して、前面に出さない。
なんといっても、女性に対して、敬意を払っているというか、差別しない方なんですよね。それは、小さなお子さんからおばあちゃんまで、分け隔てなく、なのです。
旅の途中、出会う人たちに気さくに声を掛けられ、また、正平さんも気さくに返事をして、途中で、スタッフさんがあらかじめ、目星をつけていたであろう喫茶店や食堂などで、自ら「交渉」して、スタッフさんたちも含めて一緒に食事をしたり、自分が気になったものには自転車を停めて、興味津々で足を運び、カエルやらヤモリとかを素手で捕まえて、スタッフさんたちを驚かせたり……
やんちゃな少年が、そのまんま「おっさん」になったというのか(笑)、まぁ、とにかく、誰からも好かれる(動物からも好かれる!)方だったと思うのですよ、はい。
役者仲間のみなさんや、関わったことがあるスタッフさんたちであろう方も、SNSなどで書きこんでいらっしゃいますが、本当に「さりげない気遣い」ができる方だったのでしょうね。
とにかく、優しい。人に対して、愛情を注ぐという意味を、本当にわかっている方なんじゃないかと思うのです。
「モテる理由がわかるなぁ……」
と、しみじみ、思えるのです。
うまく言えないけれど、あの優しい低音ボイスと、ちょっとエロい感じ、どこか憎めない笑顔。ちょっと危うい単語(笑)でも、正平さんが口にすると、さらりと聞けるというか……あーっ、難しい!うまく言葉にできないのがもどかしいっ!!
ダンディズムっていうのかな……
出演されているドラマも、いくつか拝見していますが、正平さんらしさというか、存在感がすごい方だなって。決して主役ではないけれど、主役を引き立てる役回りとしての、その存在感が、とても光る役者さんでもあると思います。
「こころ旅」の始まりは、いつも、朝。
「おはようございます。えーっと……」
という、朴訥としたしゃべり方……時には、非常にやる気のない感じもあったりして(笑)、「素のまま」で、肩のチカラが抜けた感じの始まりも好きでした。
彼が着用している服が、またおしゃれ!
あの年齢で、バルーンパンツやサルエルを着こなせるというのも、また、正平さんらしいところで、旅でいつも被っていたワッチキャップが、とても気になった私は、抗がん剤の副作用でスキンヘッドになった時に、同じブランドの同じデザインのワッチキャップを1枚、購入しちゃいました。今も大事にとってあります(「ボヘミアンズ」というブランドで、いいお値段がするのよ……でも、デザインがかわいいんだよな~)。
ロードバイク。
私自身も、大病をする前にはロードバイクに乗っていました。だからこそ、「こころ旅」は、カメラさんの目線(正平さんのうしろを走るスタッフさんの目線)で、自分が一緒にロードバイクに乗って旅をしているような感覚にもなれたのかもしれません。
基本、正平さんは上り坂は苦手なようで、坂道があると、いつも、ひーこら文句を言いながらも、それでも足をとめずに自転車で上がって行く……
えー、経験者の私にも、これ、わかります、すごいわかる。
ロードバイクで坂道を上がるときは、出来るだけ、足を止めない(ペダルを廻すのを止めない)というのが、とっても重要なのですよ。一度、足をとめて、地面におろしてしまうと、再びペダルを廻すのに、めちゃくちゃ、苦労するのです(イヤというほど経験している……)。
その一方で、下り坂になると、途端に元気になる(笑)
「人生、下り坂、最高!」
「とうちゃこ~!」
という「名言」も生まれましたし、極度の高所恐怖症で、橋の上ですら、端っこギリギリに行くのは怖いと、ボヤいている場面も多数、ありました。
葬儀の祭壇がニュースサイトなどでも出ていましたが、教会での祭壇で、すっごい「らしい」感じ……あの、いつものワッチキャップを被って、照れ笑いの正平さんの遺影……それを見た私、もう、涙がボロボロでして。本当に思っていた以上に、ショックなんだな、と……
全国を走り回った愛車・チャリオくんととも今でも、どこかで走っているかも……それとも、一緒に空へ昇って行ったのかな……
正平さん、ゆっくり、休んでください。
もう、カラダの痛みなどからは解放されたはずですから……ゆっくり、のんびり、してくださいね。
心から、ご冥福をお祈りします。