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(5)きちんと、測る。 /測量士・浦恒博の「基礎論」

いま、日本の交通インフラは危機的状況に…。そんな時に、測量などの「基礎」はどれほどの重要性を持つのか?

どんなビジネスでも「基礎」は大事。「基礎」を疎かにすると、莫大な可能性を取りこぼす上に、とんでもないトラブルを引き起こしてしまいます。

そんな「基礎」の大事さを、地球レベルの取り組みの中でわずかな誤差に挑み続ける「測量事業」のプロの観点から語っていただく連載です。

これまでに東京ゲートブリッジやレインボーブリッジなどの橋梁をはじめ数多くの測量を手がけた興和設計工務事務所の浦恒博社長に、「基礎」がいかに測量事業において重要なものなのかを書いていただきました。

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▼浦 恒博 (うら つねひろ)

測量士。石川県出身。平成15年に株式会社興和設計工務事務所に入社し、平成22年、同社の2代目代表取締役社長に就任。東京ゲートブリッジなどの橋梁をはじめ鉄道、高速道路、港湾、河川、公園など数多くの測量業務を手掛ける。

・株式会社興和設計工務事務所 公式サイト

・浦社長のブログ「きちんと、測る。はかりびと」

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『ビジネス発想源 Special』の「各界発想源」にて2013年2月に連載され大きな好評を頂いた『測量士・浦恒博の「基礎論」』全5回を、noteに再掲載することになりました。この連載から、会社やチームの取り組みの見直しや、生活の改善などに活かせる様々なヒントを見つけ出してみて下さい。

※ 連載当時の、読者の皆さんの質問に浦社長がお答えする「Q&A」も掲載致しました!

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●測量士・浦恒博の「基礎論」

    ~正しく測って、未来を計る。~(全5回)

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【最終回】きちんと、測る。

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・【第1回】 「測る」という仕事がなかったら?
・【第2回】 測量は地球を表現する仕事
・【第3回】 測量はコミュニケーション
・【第4回】 測量士に向く人、向かない人
◯【最終回】 きちんと、測る。


こんにちは。

株式会社興和設計工務事務所の代表取締役、測量士の浦恒博です。

「測量士・浦恒博の基礎論」、いよいよ最終回です。


今、日本の基礎は揺らいでいます。

高度経済成長で急速に整備されてきた日本のインフラは、その老朽化が問題となってきました。

インフラの更新、これが土木業界の使命であり、課題です。


2012年12月に起こった、中央高速笹子トンネルの天井板落下事故は記憶に新しいところです。

また浜松では、吊り橋のケーブルが切れて橋が傾き、負傷者が出る事故が発生しました。

施工不良や点検不足等、問題はあったかもしれません。

点検方法の再検討や新しい技術を導入して点検するような計画も話題になっています。

しかし、インフラの老朽化は急激に進んでいます。


当社の得意とする分野は橋梁だとお話ししましたが、橋だけに限って見てみましょう。

国土交通省のデータによると、2011年時点で、全国の橋梁における築後50年以上の割合は9%。

10年後には28%、20年後には53%、つまり半分以上が50年以上となります。

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