(4)かかりつけ歯科医の大切さ /歯科医師・野地一成の「維持論」
良い歯医者と悪い歯医者の見分け方がわからない!!
という方は結構いるのではないでしょうか。
歯が痛いので歯医者に行くと、よく分からない説明のままあっという間に歯を削られ、よく理解できないまま歯を抜かれ、知らないうちに高額のインプラント治療を勧められて即決を迫られる。そんな経験をしたという方はいませんか。
歯は一生付き合っていくもの。そんな大事な歯のことを託すことができる、信頼の置けるかかりつけ歯科医には、どうやったら出会うことができるのでしょう? どうやってその良し悪しを判断すればいいのでしょう?
日本には歯科医院の数がコンビニよりも多いと言われ、その先生の理念や考え方も千差万別。そんな中、「自分の歯」と長く付き合っていくことを大切に考えていらっしゃる東京都千代田区の野地デンタルクリニックの野地院長は、生涯のかかりつけ歯科医として患者さんたちに大きな信頼を寄せられています。
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▼野地 一成 (のじ いちなり)
野地デンタルクリニック院長。歯学博士。東京都出身。2007年に地元の神田小川町にて野地デンタルクリニックを開業。2010年より母校の日本大学松戸歯学部薬理学教室兼任講師。臨床歯周病学会、スタディグループ救歯会、臨床歯科を語る会所属。発表論文も多数。
・公式ブログ「のじでんのひとりごと」
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その野地先生には、信頼のおける「かかりつけ歯科」を見分ける目安として、一番分かりやすい基準があるそうです。第4回の今回には、それを明確に書いていただいています。
『ビジネス発想源 Special』の「各界発想源」にて2012年11月に連載され大好評を頂いた『歯科医師・野地一成の「維持論」』全6回を、noteに再掲載することになりました。ご自身の歯の維持管理、身体の健康管理はもちろん、会社の設備や工具のメンテナンス、社員やお客様との長いお付き合い、良質な経営の維持など、お仕事にも活用できる多くのヒントが見つかると思います。ぜひご利用下さいませ。
※連載当時の、読者の皆さんの質問に野地一成先生がお答えする「Q&A」も掲載致しました!
※連載当時に同時掲載し好評を頂いた、『ビジネス発想源』筆者・弘中勝による便乗連載企画『弘中勝の「勝手に維持論」』も収録!
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●歯科医師・野地一成の「維持論」
〜長く正しく付き合えば、長く愉しく幸せに。〜(全6回)
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【第4回】 かかりつけ歯科医の大切さ
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こんにちは。
歯科医師の野地一成です。
連載第4回の今回は、
「かかりつけ歯科医の大切さ」
について述べていきたいと思います。
厚生労働省では、「かかりつけ歯科医」とは、
「患者さんのライフサイクルに沿って、口と歯に関する保健・医療・福祉を提供し、地域に密着した幾つかの必要な役割を果たすことができる歯医者さんのこと」
とされています。
かかりつけ歯科医は、開業医で一般医であることが多いです。
一般医というのは、GP(General practitioner) といい、皆さんが町の診療所で治療を受ける「普通の歯医者さん」のことを言います。
これに対し、大学病院には各科の専門の先生方(専門医)がおります。
専門医というのは、学会が定めた指導医に一定期間指導を受け、症例を学会に発表して審査に受かった方々です。
つまり、専門的な領域に特化した先生ということになります。
一般医が広い視野で患者さんの問題を把握し、必要な治療を考えて、各科の専門医に治療を依頼して問題を解決する、という方法があります。
この方法を「インターディシプリナリーアプローチ」といいます。
例えば、
歯内療法専門医が、根の治療をする。
歯周病専門医が、歯周病を治療する。
インプラント専門医が、インプラントの埋入オペをする。
矯正専門医が、歯並びを治す。
補綴専門医が、詰め物や被せ物を入れる。
極端な表現ですが、「インターディシプリナリーアプローチ」ではこんな感じで治療が進みます。
それに対して、
「一人の歯科医師が、広く深い知識と技術で全ての治療を行う」
という考え方があります。
喩えるならば、離島診療や無歯科医村で診察に当たっておられる先生がそれに当たります。
誰にも頼らず、スルーパスが出来ない重大な責任の中で行われます。
しかし離島や、無歯科医村でなくてもこのような考え方で治療を行う先生はおられます。
よっぽどの難症例で無い限りは、他人に頼らず自分でおこなう。
治療場所に限らずこの考え方にはこの考え方なりの意味があるのです。
この二つの治療に対する考え方は、全く相反するものです。
それぞれに長所短所が存在します。
どちらの治療方針でも、大事なことは
「どんな先生が治療を行うか?」
これに尽きるのではないでしょうか。
淡路島で離島診療をされておられる外科医の大鐘稔彦先生という方がおられます。
大鐘先生は医療を行う傍ら、小説の執筆をされておられる方で、著作には『外科医と盲腸』『孤高のメス』などがあります。
この『孤高のメス』という小説には
・自らの保身の為に、がん患者に対して姑息的な治療のみをおこない、それが「患者の寿命だった」と考える医師
・自らの地位や立場を犠牲にしてでも患者のための執刀をする医師
という、対極的な登場人物が出ていきます。
著者本人が語る「出会った医師で患者の寿命が変わる」という言葉はまさに、技術、知識を超越した医療従事者の人間性が重要ということなのではないかと思います。
話をかかりつけ歯科医に戻しますが、歯科においても、これに似たような事柄があります。
以前、歯科のとあるセミナーで出会った若い歯科医師から相談を受けたことがあります。
彼の勤める歯科医院は、都内では有名で何店舗もある歯科医院。
彼はそこでは、専門医に治療を依頼する一般医として勤務しておりました。
その歯科医院では、カリスマ的な院長が患者さんに治療の説明をして治療の総額を決めます。
そして勤務医(セミナーで会ったその若い歯科医師)に配当されて、彼が院長先生の決めた治療費用の採算内で治療計画を立て直し、各科の専門医へ紹介し、患者さんが専門医のもとから帰ってきたら被せ物を造るのだそうです。
そこで聞いた彼の悩みは、…
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