見出し画像

【メモ的レポート】利き茶のイベント「闘茶会」に参加してきた

とっくに気づかれている世界の真理だって、自分自身の体験として腹落ちしなければ、それは「私にとっての真理」にならない。つまり、世界の真理=私の真理、とは必ずしもなるわけではないということだ。

そんな真理に今日、一歩近づいた。やっぱり「誘いにのって外に出ると、世界は広がる」というのは本当らしい。


6月から通っているツドイの編集学校のメンバーと一緒に「闘茶会」というのに参加してきた。

闘茶(とうちゃ)というのは、簡単にいうと利き茶のことで、出されたお茶を飲んで何かをあてるという賭け事だ。鎌倉時代から始まった風習らしく、かつては高級品だったお茶を当てることは名誉中の名誉だったそうで。全財産をかけてでもその名誉を求める人も出てきたことから、いっときは闘茶が禁止された時代もあったそうな。

そんな闘茶会に、参加してきたのだ。

いろいろなルールがあるようなのだけれど、私が参加したのは「四種十服茶」。4種類の茶を10回飲んで判別するというもの。

私も最初は「はて?」と思っていたので、メモ的レポートを残しておこう。


会場はメトロ線沿いの街中にあるお寺の本堂。豪華絢爛な仏像たちの前に長机が並べられており、参加者は20人程度(今日はとっても多かったらしい!)。

まずはお茶や闘茶の歴史を、主催者である住職さんから聞いた。お茶について何も知らなかった私は、この時間もけっこう楽しかった。「名誉中の名誉で、全財産もかけてしまった」というのは、この時間で教えてもらった知識だ。

そのあと、3種類のお茶をそれぞれ試飲する。「壱の茶は、宇治産のAというお茶」「弐の茶は、宇治産のBというい茶」「参の茶は、ナンタラ産のCというお茶」、という具合に、壱、弐、参に割り振られたお茶をそれぞれ飲んで、お茶の匂いや、味、風味、苦み、後味の違いを手元の紙にメモしておく。

そして、ここから闘茶がスタートする。

このあと、順にお茶がランダムに10杯出てくる。1杯ごとに飲みながら、壱の茶なのか、弐の茶なのか、参の茶なのかをメモしておく。

壱の茶は3杯、弐の茶も3杯、参の茶も3杯がランダムに出てくる。ただ、「四種十服茶」とのことで、実は1杯だけ試飲していないお茶が出てくる。「あ、これは試飲してないやつだ!」との自分の感覚をもとに判断して、もう1種類の1杯で「四種十服茶」。

手元にはお茶菓子と羊羹もあって、お寿司のガリのように口をリセットしながら味比べをするのだ。


やってみて思ったのは、闘茶のなんと激ムズなことか。

最初に試飲した3種類のお茶の特徴をメモしていたのに、それがまったくアテにならない。「濃いめ」「さっぱり」「けっこう苦い」と書いたけど、4杯目あたりから全部が同じ味に感じてくる。同じ匂いに感じてくる。

指針を見失うと、それ以降はもう運ゲーと、数の帳尻合わせになる。それぞれ3杯ずつしか出てこないから、「壱の茶が2回出てきたということは、あと1杯しか出てこないってことで」のように、自分の舌の感覚がいかに鈍感なのかを思い知る。

過去10杯全問正解したのは、前日から何も食べずに闘茶に参加したオペラ歌手や、普段から舌で味覚の違いを感じる料理人などと仰られていて、ひ~と思ったりした。

結局、私は3問しか当てられなくて、しかもその3問は試飲直後の3杯だったから、いかに舌バカなのかが証明されてしまった。

だけど、利き茶がこんなふうに「闘茶」となるだけで一気に高貴な遊びになって、はじめましての方々と「さっきと味、一緒でしたよね...…?」「どれも美味しいお茶ですね」と話して盛り上がれるだけど面白くて、とても良い経験になったのだった。

どんな誘いであったとしても、気分やタイミングあって向かえば、そこには面白きな出会いがあるのだ。

”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。