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ほら、かつてみんな履いていたでしょう?

ちょっとさっき見た光景に武者震いして、過去の私の走馬灯が駆け巡ったから聞いて。

23時。駅からの帰り道。寒いともあったかいとも言い難い生ぬるい帰り道。それが春の訪れだと言えば前向きだけど、冬の最後のあがきというと後ろ向きだな、なんて思っていたら、前から2人がやってきた。男女。きっとカップル。金髪ロングの女性は、頭のてっぺんのほうは黒い髪の毛が生えてきていて、いわゆるプリン状態だった。グレーのスウェットに、ブラックのロンTを着ていた。ちょっと髪の長い男性は、上下黒のスウェットだった。

そんな2人見て、どうして私が「きっとカップル」と思ったのかというと、2人の足元を見たときだった。

お揃いの、キティちゃんの健康サンダルを履いていた。

これ。覚えてますか。

どうですか。これ。一部の人に強烈に思い出に残っている一品じゃないですか。

私の地元である地方のひと昔前の、ヤンキーと呼ばれる人たちは一時期みんなこれを履いていた。狂ったようにこれを履いていた。色やキティちゃんのデザインは違えど、なぜかみんなキティちゃんの健康サンダルを履いていた。たまにスパンコールでギラギラにされたキティちゃんとか、ガングロキティちゃんとか、ちょっとした違いはあれど、なぜかみんかキティちゃんの健康サンダルを履いていた。

私はと言えば、実はここだけの話、私も「欲しい」と思っていた。別にヤンキーだったわけではないけど、みんな履いていたし1つは持っておいてもいいかなと思ってほしかった。だけど、実際買おうとドン・キホーテ(なぜかこの健康サンダルはドン・キホーテにむちゃくちゃ売っていた)に行って試しに履いてみると、信じられないぐらい痛かった。健康サンダルが健康サンダルとして機能しすぎていて、3秒も履いていられなかった。「もしかして私の身体って不健康なのかな……中学生なのに?」と思った。みんなこれを履いて歩いている!? と衝撃だった。

そんなことを2人を見ていたときに一気に蘇ってきて、懐かしくて。「このサンダルってまだ履いている人いたんだ」という衝撃が私に走ったのだった。


”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。