毎年この日の天気が気になるのは
4月1日。新年度のスタート。入学式、入社式、進学、進級、1年の積み重ね。環境の変化。いろんなことがスタートを切る。大きくは変わらなかったとしても、世間が大きく一歩を踏み出す日だからこそ、なんとなく、なんとなく気持ちがシャキッとする。着なれないスーツや制服、ぴかぴかの靴、癖のない鞄、スマホと改札の上にある路線の案内板を交互に見て、遅刻しないようにする人。ああ、新しいなと思う。そして、きっと20代のうちは、4月1日のこの光景を何度も懐かしいなと思うんだろうな。自分と比べて。自分がそうだったことも含めて。22歳だったのに、吐きそうになっていたあの朝をきっと何度も思い出す。
私は毎年、この日の天気が気になってしまう。今年は曇り、少し晴れ、そして雨、曇り。お天気フルコースのような1日だった。ちょうど帰り際に雨が降っていた。ざーざーではなくて、ぽつぽつだったけれど、アスファルトはしっとり濡れていた。去年は晴れ。といっても、去年は土曜日で新年度のスタートは4月3日だった。一昨年の4月1日は曇り。ただ、春なのに信じられないぐらい寒い日だった。一昨年は、転職した私の2回目の入社式に出た日だった。初めましての同期のみんなと、入社式までに待機していた部屋で無言のままガクガクと震えていた。
どうして私は毎年、4月1日の天気が気になってしまうのか。それは社会人になって一番最初の4月1日を題材にしたエッセイを書いたことがあるからだ。
私の1回目の入社式は、どしゃぶりの雨だった。この日の私は、今までに持ったこともないようなキャリーバッグの重さを持っていた。たぶん、推定30㎏。なぜなら当時の私は名古屋で一人暮らしをしていたのだけど、この日から1カ月間、研修のために東京のマンスリーマンションに居住することが決まっていたから。1カ月間の生活のための洋服セット、下着、化粧品、スキンケア類、シャンプー、そしてマンスリーマンションにはキッチン用具も何もないから最低限のキッチングッズ、タオル、洗濯洗剤などがぎゅむぎゅむに詰まっていたのだ。
そんな、私の最初の4月1日。今でも忘れられない。書いておいたよかったことの1つだ。