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そこは、とてもコミュニケートな学校だった

「いま、土曜日は編集の学校に通ってて」

友達に遊ぼうと誘われたとき、そう言って返ってきた言葉は

「マルチ系? 宗教? 大丈夫?」

だった。私はガーンとなった。

そのあと必死こいて、通っている編集学校がいかに良いか、いかに素敵か、そしていかに怪しくないかを畳み掛けた。

話しているとき、心の中で思っていたことがある。

そうか、私ってめっちゃこの学校好きなんだな、大事に思っているんだな。

そうか、大人になって通う学校やセミナー、講座って一見すると怪しく見えるだ……ショゲ。


の2つ。

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私は先日まで、編集とイベントの会社・ツドイが主宰する「ツドイの編集学校」に通っていた。

今はもう終わって2か月が経つのだけど(早すぎる)、6月から初回講義がスタートして最終講義を10月に迎えた。

たった4ヶ月、されど4か月。

時間にしたら、10時間強。1日にも満たないのに、それでもたまらなく充実していた4か月間、10時間だった。講義は隔週、月換算で2回ほど。

だけど講義がある週はあっという間に過ぎて行ったし、講義がない週もあっという間に過ぎて行った。「次の講義は、再来週か」と思っていたのに、再来週なんてすぐにきた。そうして、4か月が過ぎていった。

だいぶ遅れてしまったけれど、「ツドイの編集学校」を振り返りたいと思う。

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私が「ツドイの編集学校」の応募を見たのは、SNSでだった。以前、ツドイが運営に携わっていた、ライター古賀史健さん主宰の「batons writing college」に通っていたことがきっかけでフォローしていた今井さんの投稿が、タイムラインに流れてきた。夜のことだった。

私は今はライターをしているけれど、その前は編プロで編集者をしていた。

WEBのコンテンツを作ったり、雑誌の企画を作ったり。クライアントさんが求めるもの、例えば「バレンタインデーの販促に向けて特設サイトを作りたいです」と言われれば、どんなサイト構成をするのか、デザインは何が良いのか、ビジュアルはどうするのかを企画して、モデルさん、ヘアメイクさん、カメラマンさん(場合によってはビデオグラファーさん)、ライターさん、デザイナーさんと、いろんな分野のクリエイターをアサインし、実際にサイトを作っていく。

当時の私は、全体の進行管理、クオリティ管理、スケジュールや納期調整、撮影や取材現場を円滑に進めるのが編集者の仕事だと思っていた。

「編集者は、いろんな人と繋がるから気を遣えたほうがいいんだろうな」とか、「いろんな方面から矢が飛んでくるから、効率的なほうがいいんだろうな」とか、そんなふうに思っていた。

社内にいた他の編集者さんたちに聞いてみても、かなり属人的で個人的だったし「こうしたほうがいい」というのは人によってバラバラで、「こうしなければならない」というのも特になかった。

「これでいいの……か……?」と思いつつも、日々日々やってくる目の前のことに手一杯で、その疑問には目を瞑っていた。だから正直なところ、「編集者」がどうあるべきか、どういうスキルがある方が良いのかよくわかっていなかった。

今はライターとして書くことに絞ってきたけれど、それもここ最近、ちょっと仕事が変わってきた。

「企画からお願いします」と言われることが増えたり、「まるっとお任せしていいですか?」と書く以外もリクエストされたり。それこそ、「バレンタインデーに向けて〇〇さんに取材もしたいけど、サイトのビジュアルも作りたい」みたいな複合的リクエストもくるようになって。

ライターだけれど、編集者的な役割も担えるようになりたい。

「編集者」から抜けたような気持ちでいたけれど、自然とそう思い始めていた。

そんなタイミングで見かけた「ツドイの編集学校」に、「お」と思ったのだった。縁というのは不思議で、必要だと思うとポンと巡ってくるものなのかもしれない。SNSという海の中でも、自分の海岸に必要なメッセージボトルはちゃんとやってくる。

ーーー

4ヶ月を終えて、「ツドイの編集学校」は、広義の意味での「編集者」を学ぶのための学校だったと私は思う。

ツドイの編集学校は、編集者としての在り方、トレーニングの仕方を教える学校です。明日から使えるノウハウが詰まっている——というよりは、中長期に渡っていい編集者に育っていくための種を植えるような場になればいいなと思っています。

上記、講師である今井さんのnoteより

そして、ようやく本題。ここからが、私が本当に言いたかったこと。


この学校の何が良いって、とてもコミュニケーションなところにあると私は思う。

コミュニケーションとは、人と人が互いの考えや感情、価値観を伝える意思疎通や情報伝達のことを指します。言葉だけでなく、身振り手振りや顔の表情、声のトーン、視線の動きなどの非言語的要素も含まれます。

第一に、開催形態。

最近は、全国どこでも誰でも参加できるようにオンラインで催されることが多いけれど、そうなると画面の向こうからの一方向のコミュニケーションになりやすい。

もろちん、「学ぶ」という場において先生と生徒、講師と受講生という関係になって一方向になるのは当然のこと。また、場所という制限を取っ払うことでできることもたくさんある。講義内容、受講生の属性において、その形なりのメリットがたくさんある。

「ツドイの編集学校」は隔週土曜日、都内でのオフライン開催だった。その理由は前述の今井さんのnoteを読んでほしいのだけど、 個人的にも対面で学べて、隣に一緒に学んでいる人がいる・見れることがとてもよかった。「知見を分けてくれる」「編集を学ぶ」「与える」「受け取る」、そういう目には見えない熱気とパワーが、双方向に行き交っていた。


第二に、「あったら嬉しい」というきめ細やかな配慮。

例えば、こういう講座やセミナーの醍醐味の一つとして挙げられる「素敵な人と出会えたらいいなっ」という期待。

とはいえ私は斜に構えがち、通称シャニカマだから、「まあね、別に出会えなくてもいいですけどね?」みたいにわざと期待を薄めたりする。くせに、めっちゃ出会いたいと思っていたりする(めんどくさい)。講義後に懇親会とか? 飲み会とか? 全然? あってくれてもいいですし、あったら行きますし? と思っている(めんどくさい)。

そこで思うじゃないですか。みんな心の中でコッソリ、他人任せ・他力本願なのを重々承知で「だ、誰か、幹事とか飲み会好きな人とか、何かを開催してくれ〜〜〜」って。思うじゃないですか。

その点「ツドイの編集学校」は、開校前から、

ですって。

ですって!!

この時点で、私の心はトゥンク……となるわけです。

さらに例えば。飲み会や懇親会が行われれば、こうも思うわけじゃないですか。「みんなと話したい〜〜!どんな仕事をしていて、何が好きで、なんでここにいるのか聞いてみたい〜〜お喋りしたい〜〜!!」って。思うじゃないですか。

だけど先ほども申し上げたように、私はシャニカマなわけで「べ、別に話してくれるなら話したいけど、話せなくても? ね? こういう場ってちょっと苦手ですし?」とか思うじゃないですか(めんどくさい)。

その点「ツドイの編集学校」は通ったのちにわかったのだけど、そんな方々のことを、笑っちゃうぐらいわかりきっていて、細やかにいろんな工夫してくださっていた。何気なく、だけど話しかける口実にもできる、小さな工夫の数々。まさかそこまで設計されていたの!?  というほど、会話や温度を行き交わせる設計がなされていた。

同志作りたいに絞った例えにばかりなってしまったけれど。

実は第三に、講義のほうがもっとコミュニケーションだったのだ。そしてそれは、とても誠実なコミュニケーションだった。

これはめっちゃ上から目線になってしまってとても申し訳ないけど、講義に嘘がなかったなと私は思っていて。

どういうことかというと、それこそが編集者たる今井さんの姿勢でもあったのだけど、ずっと等身大だったのだ。

受講生からの質疑応答は、どんな小さなことでも丁寧に、時には丁寧すぎるくらいに答えてくれた。「質疑に丁寧に答えるなんで、そんなの当たり前だよ!」と思うかもしれないけど、そう思う以上の丁寧さだった。丁寧が服を着ていた。

加えて、今井さんはつねに現在地点で話してくれるのだ。「自分も今ちょうど悩んでいて……」「迷っているのが正直なところです」「実はまだ勉強不足で」と。その誠実さは、安心感であり、信頼感に繋がった。

もしシャニカマな私だったら、たぶん、多くの受講生を前に見栄を張っちゃうと思う。カッコよくありたいし、「おお…っ!」と思われたいしという気持ちが邪魔をして、見栄を張っちゃうと思う。そうしないというのは、(私からすると)とても勇気のいることで、真っ直ぐ向き合ってくれていることがとても伝わってきたのだった。


だいぶ長文になってしまったけれど。

「ツドイの編集学校」は、とてもコミュニケートな学び舎だった。

とりあえず適当に「◯◯すれば、倍稼げる!」と言われることはないし、「まずはこの水を買ってもらうことが入会の条件で」という押し売りもないし、「じゃあ、次は知り合いを3人連れてきて?」という引き込みもない。

そして、「これをすれば明日から、完璧編集者!」ということもないし、「◯◯してない奴は編集者じゃない!」ということもなければ、「現役編集者以外お断り」なんてこともない。

ただ、ひたすらに、丁寧に、誠実に、「編集者とは」を教えてくれる学校だったのだ。

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そして今、2025年春の募集をしているそう。

気になる方はぜひ、ちょっと未来が変わるかもしれない現在の一歩を踏み出してみてくださいませ。

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たなべ
”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。