品性が、私の身体を内側から巣食っていく
「何を言うかが知性、何を言わないかが品性、どう言うかが人間性」
SNSで流れてきた、ちょっと名言じみたその言葉に反感を覚えた私がいた。
そもそもこの言葉の「何を言うかが知性、何を言わないかが品性」は、2019年10月13日放送のワイドナショーでスピードワゴン・小沢さんが言ったのが、確か始まりだったと思う。この放送のあとから、まるで自分の言葉かのようにいろんな人が使い回していた。
最初は、「いや~これは1本とられた!!」と思うぐらい私も納得していたし、まさにそうだと思っていたし、その言葉通りに知性と品性を大切にしたいと思っていた。
だけれど、私がふと反感を覚えたのは「何を言わないかが品性」の部分だった。
よく「余計な一言」「一言多い」と言葉にされることがある。
「もっと〇〇したほうがいいんじゃない? 私はしないけどね」「え~ありがとう~! 別にしてもらわなくてもよかったけど~!」でいうと、「私はしないけどね」と「別にしてもらわなくてもよかったけど~!」の部分のこと。
こうして読める形の文章として見ると、それが余計な一言であることは自明の理だ。別に言わなくてもいいし、あなたの心の中にぜひとも留めておいてくださいね、となる一言。
だけど、これは私の経験則から言っても、その一言たちは舌の上から転がり落ちてくることだってある。言いたいとか、言いたくないとか、そういう領域の話じゃなくて、あくびをしたら涙が出るみたいに、薬を飲んだら副作用が出るみたいに、不可抗力なことってあると思う。
だからこそ、「言わないが品性」ということになることだってわかっている。わかっているけど、言葉を飲み込む気持ち悪さも、私は知っている。
飲み込んだ言葉って、身体の中で消化されていない。ずっと腹の底にあって、下手したらどす黒い何かに成長することもあるし、抑えきれなくて爆発することがあることも私は知っている。
品性が、私の身体を内側から巣食っていく。「何を言わないか」、言葉を出さないって、そういうこともあると思う。