小さな疲れ、ばななが落ちていた
家に帰ってきたら、ばななが落ちていた。
私は普段、ばななをこんなふうに保管している。
正確には、こんな素敵な装置はないから、S字フックにばななを引っ掛けて保管している。
そのばななが落ちたのだ。しょうがないと思う。
さくらんぼのように2本のばなばが残っていて、その間にフックを入れていた。ずっしりとしたいいばななだったから、重かったのだろう。2本とも片側の皮がむけて、ハンガーのようになってしまった。わかりやすいようにお手製のイラストを添えておく。
家に帰って2本のばなながちょっとだけ乾燥してて、かさっとしていた。そのとき、前々シーズンのドラマ「大豆田とわ子と3人の元夫」のセリフを思い出した。
「小さなことが、ちょっと疲れるのかな。自分で部屋の電気をつける。自分で選んで音楽をかける。自分でエアコンをつける。まあ小さいことなんですけどね。ちょっとボタンを押すだけのことに、ちょっと疲れる感じ。
そういう時に、あっ、意外と私、独りで生きるのが、めんどくさいほうなのかもなって思います。何もしてないのに、明るくて音楽が鳴ってて、温かいってのに憧れます」
あなたは1人で生きていけるでしょ? と言われたときに、とわ子が言ったセリフだ。
私も1人で生きていける。いらいらしたことや、不満、自分の食事をちょっと後回しにすること、洗濯、掃除。そういう生きていく上でどうにかしなきゃいけないことは、自分1人でどうにかできる。
だけど、こういう小さな、取るに足らない、どうでもいいことが、私を疲れさせる。1人で生きていけなくする。
誰かがこれに気づいて、片付けてほしいと思う。ばななの実をサランラップで包んで、そのまま冷凍庫にいれるだけでもいいからしてほしい、と思う。
乾いたばななを触って、「仕方ない。これを明日食べるか」と思ったとき、ちょっと泣きそうになった。
”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。