カーテンを閉めた、真っ暗な部屋で寝ている
人に言われて、ここ最近はカーテンをちゃんと閉めて寝ている。それを別の人に話したら、「え!? ふつうすぎるよ!」と言われた。直感的に、「むっ! あなたの普通の私の普通は違うので、そのことをご理解くださいね!?」という言葉が浮かんだけれど、そんな脳みそ直送言葉を出すほど私は子どもではない。瞬間的にそうは思ったものの、「え〜そうなの〜」とヘラヘラと笑ってやった。そう、私の方からヘラヘラと笑ってやったのだ。相手は何も知らず、「そうだよ! ふつうはカーテン閉めて寝るのが当たり前だよ!」とまた言われた。再び、「ふつう? カーテン閉めて寝るってどこの誰が言い出したふつうなんですか?? あなたはそれを義務教育で習ってきたんですか〜!? ただの家庭内教育でしょっ!!」という言葉が一言一句違わず出てきたけれど、それもゴクンと飲み込んだ。なぜなら私は節操とマナーを弁えている20代だからだ。よかったね、私が20代で。そして、日本に銃刀法違反があって。と、頭の中で悪態を続けながら、会話をした。ゲスいな、とたまに思うけれど、仕方ない。だってそれも私の一部だし、それが私の処世術なのだから。
前置きが長くなりすぎてしまったけれど、カーテンを閉めて寝ると、これはすっごい当たり前だけど真っ暗な部屋の中で眠ることになる。最初は、「おー、真っ暗な部屋だ」も思っていた。そんなふうに思うということは、自分がこれまでいかに眩しい部屋で眠っていたかを思い知った。
夜寝る前にカーテンを開けて寝出したのは、確か社会人になってからのことだった。それまで親に起こしてもらっていた私は、1人でちゃんと起きられるか心底不安だった。朝起きることに対しての自分への信頼もないから、それなら朝が来たことがわかるようにカーテンを開けておこう! と名案を思いついたのだった。それから、ずっとカーテンを開けて寝ていた。久しぶりに真っ暗な部屋で寝ている。そうか、夜はこんなに暗かったんだなと思い出す。