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ぽめしちドラフト団体戦自戦記


いつもあなたのおそばに、元「みんなの後輩系」Vライバー入間いずもです。
12/14(土)に行われた「ぽめしちドラフト団体戦」に参加してきましたので自戦記をしたためておきます。


前書き

ぽめしちドラフト団体戦

主催は逆木碌(https://x.com/sakaki_roku
アドバイザー・解説に電子れいずさん(https://x.com/de_re_shogi)を迎えて運営されました。
あらかじめ招待された8人の将棋Vをぽめ軍・しちみ軍の二チームにドラフト抽選方式で振り分けて行われた本団体戦。
メンバーは以下の通り、

ぽめ軍

しちみ軍

敬称略。順番はリーダー以下ドラフト指名順。

見てみると三鋭戦出場者やVSCC卵出場者と選出に偏りがあります。
それもそのはず。
今年、将棋に本格的に触れ始めた将棋Vを対象に選出されたためです。
そのあたりの大まかな事情については、

ぽめちゃんの自戦記を参照のことです。
指す順番はあみだくじになり、自分は副将になりました。

当日のおやつ

棋戦と言えばおやつ、ということでおやつを用意して当日を迎えました。

つづみ団子さんの『苺大福』と夏くらいに買った無印良品の『栗グリーンティー』

餡くまさんに勝つための願掛けを兼ねて和菓子をピックアップ。
やっぱりオールラウンダーは何してくるかわからないですからね。対策に対策を重ねておいた方がよいでしょう。
できることならイワシの頭にもお祈りしておくべきです。

そんなわけで当日はワクワクしながら対戦を迎えるわけですが……

中堅戦  桃園おむ VS 餡くま

!?

精一杯の餡くまさん対策、潰えました。
いやー、頑張ったんですけどね。
地元だとそこそこいい和菓子屋さんで買ってきたりとか工夫はしたんですけど何がダメだったんですかね。
やっぱり、そもそも誰と当たるかわからなかったのに餡くまさんとあたること前提でいたことでしょうか。

副将戦

それはさておき、閑話休題。

副将戦  入間いずも VS アイシア=ソリッド

消去法でわかってはいましたが副将戦のお相手が決定。
初代卵王ことデータサイエンス系VTuberのアイシア=ソリッドさんです。

これらの本はアイシアさんのマスターが著者であり、『微積分+線形代数入門』については10月にアイシアさんも配信で紹介されていましたね。

居飛車党。
得意な囲いは矢倉。
10分五級、10秒四級の本大会では最強豪です。
ぶっちゃけ当たらないだろうと思ってたこともあり、最近相矢倉のお勉強サボってたので「やべえ」と思ってました。

想定される戦型は相矢倉。
自分も得意なだけに緊張しながら対局開始です。

自戦記・本文

先手:アイシア=ソリッド
後手:入間いずも

初手から6手目まで

▲7六歩

僕は0手目で苺大福を貪ってました

初手としては予想通りですね。
矢倉を指すとのことなので矢倉にしたいのかな、と思いつつ。

△8四歩

自分で指すときも矢倉組みたいのに角道開けられると困るからね

6八銀を催促する手です。
「どうぞ矢倉をお指しなさい」

ここで2六歩と飛車先を突いてきたら横歩の提案かつこちらが拒否すれば相掛かりコースです。相掛かりなら矢倉への分岐もあるので悪くはないでしょうか。
あと相手から6六歩で角道を止めてくると振り飛車のスタートや雁木も見えるので少々嫌です。矢倉も消えちゃいますしね。

▲6六歩

ファ~~~~~~~~ッ!!!!

いや、角道止めるんかーい!!!!!!!

ネタバレするとこの後矢倉になりますが、正直矢倉が好きという前情報と矛盾して迷いました二秒くらい。

この手に対してもっとも自然な手は8五歩。あるいは格調高く6二銀。
8五歩なら「3三角を決めてこい」の意味。相矢倉じゃなくなります。
6二銀なら「お前のことを襲う準備するね」って感じでしょうか。飛車が振れなくなるので居飛車党宣言とも世の中では言いますね。
対矢倉急戦棒銀とか見えるので矢倉的には警戒対象です。

△3四歩

いや、お前もどっちでもないんかい

動揺してなかったかと言われると嘘になります。
僕は相矢倉がしたかったので、「相矢倉なんだよね?」とちょっと日和りました。
あと勝負的な最善はたぶん代えて8五歩です。
△8五歩▲7八銀は△8六歩▲同歩△同飛に対して▲7七銀と上がる手に△8七飛成と成りこめますし、▲6八銀は△8六歩▲同歩△同飛に対して▲7八金があり五手目▲7八銀よりも状況は良いですが△7六飛と横歩を取られて不満でこの手には7七角が最善となります。つまり、結局矢倉は指せません。
7七角を代えて7七銀でここから矢倉にしようとするとめちゃくちゃ柔らかいうちに戦いが始まるので避けるべきです(23敗)。

▲4八銀

さすがに銀を上がるよn……って右銀!?左銀上がらないの!?

△3二銀

とはいえ、相手が居飛車党宣言したのでこちらは先に矢倉に組む

変化・五手目問題~3手目6六歩代えて6八銀~

ちなみに、矢倉でよく言われる五手目問題は本譜3手目の6六歩を代えて6八銀とした際に現れる二択のお話です。
初手から▲7六歩△8四歩▲6八銀△3三歩▲???

五手目問題は結構根深い問題
  1. ▲7七銀

  2. ▲6六歩

昭和の将棋では矢倉を早めにくみ上げることを重視して7七銀と指しておりました。矢倉にまっしぐらってわけです。
こちらは定跡となっており、旧矢倉二十四手組と呼ばれております。
▲7七銀以下、△6二銀▲2六歩△4二銀▲4八銀△3二金

10手目3二金まで。
9手目4八銀代えて2五歩の変化もある。

▲7八金△4一玉▲6九玉△5四歩▲5六歩△5二金

16手目△5二金まで。
先手は急戦を見せながら後手は蟹囲いに囲い持久戦を目指している。

▲5八金△3三銀▲3六歩△7四歩▲7九角△3一角▲6六歩△4四歩

△4四歩まで。
見慣れた金矢倉での囲い合いの将棋にも合流するが、
角換わりのようにバランスをとってこのままの場合もある。
ちなみにソフトは囲うように勧めてくる。

以上、24手が基本図です。

しかし、平成に入りまして6手目以降先手が飛車先を保留したのを見て矢倉中飛車にする変化が流行しだすと事情が変わってきます。5手目で▲7七銀を決めてしまうと後々の変化で7七銀とした銀を6八銀と引くことになり将来的に手損になるようになります。

変化手順は旧24手組の7手目▲6六歩代えて▲4八銀。以下は最後に棋譜を載せておきます。

この矢倉中飛車が非常に強力で対策のため定跡が見直されました。
これをもって五手目の7七銀代えて6六歩が選択されるようになります。
要するに「結局6八銀にするんだから、そもそも7七に銀を上がらなければ矢倉中飛車は受かってる上に矢倉中飛車の変化になったときに一手得じゃん。普通に矢倉に組むべ」ってことです。
強いて言えば、矢倉右四間が嫌味な変化ですが矢倉中飛車に組まれることを考えると矢倉右四間の変化の方がマシなのでした。
そうして生まれたのが24手組の矢倉定跡になります。(24手組定跡も最後に掲載されています)
もっとも、この新しい24手組の矢倉定跡は4五歩反発型、左美濃急戦という強力な対策によって潰れていきます。矢倉側も抵抗を続けますが後手雁木をもって「矢倉は終わった」というプロ棋士Mさんの発言へとつながっていきます。

7手目から中盤

少し駆け足になりますが、ここからは一手一手よりも局面でコメントを書いていきます。ぶっちゃけ、この辺は完全に定跡無視して組み合ってるのでお互い勝手に主張しあっている状態ですね。
こちらが矢倉に組もうとしているところで▲5八金と船囲いの形を決めている感じ陽動振り飛車にやられた口でしょうか。
以下、お互い矢倉に組み合って23手目▲6九玉までが下図の盤面。このあたりは互角の局面です。

このあとも互角の局面ではあるけれど正直主張が濁ったかなと思ったのがこの次の一手

△6四歩

この局面は相手が指しやすいという意味でよくない

この局面、早繰り銀も腰掛銀も放棄している上に棒銀をしたくとも7四歩を突かなければならないという重たい攻めになっています。
急戦を望んでいるのに重たい攻めをしているのは本末転倒でその場合は持久戦にシフトするべきだったと考えます。

代えて7四歩

この局面なら早繰り銀成功でアイシアさんが少し忙しかったか。

本譜は△6四歩~△7四歩~△7三桂のあと6筋7筋を突き捨てて6五桂跳ねと進みましたが、桂跳ねも代わって7筋の歩を取っておくほうがよいというのがソフトの結論です。
どちらにせよ桂を跳ねても角で歩をかすめ取りに行っても局面が一度落ち着くのでこちらが駒組をするか攻め続けて相手に手番が渡らないようにしておかないと受からなくなる感じなので良くないです。

▲7九角△7三桂▲6八角△7五歩~△6五歩~△同桂

7五角が先の方がよかったらしい

ここも8八銀と引いてくれたから少し良かったですが6六銀や7六銀の変化は辛かったところ。ソフト的には7六銀の方を評価してますね。理由がわかる人はコメントください。

このあたりからだいぶ悪く感じた。

この場面が最悪でしたね。
無理攻めだったことには気づきましたがここで銀が引くようではと考えて8筋の歩を突きましたが大悪手でした。
ここの銀損が後々まで響いた形です。交換した桂馬も悪い方向に働く陣形をこちらはしているので相当辛いところです。

敗着~終局

▲6四桂△7六桂(敗着)

ここが最後のチャンス。玉を囲って玉の遠さで勝負できたかも。

局面飛ばしてこちらの場面。
桂馬がやりすぎで玉を戦場から遠ざける△3一玉が好手。
本譜は7六桂打で攻め合いに持ち込むが攻め合いはこちらの攻めが細かったという結論に。
ここが敗着で以下終局図。

絶対足りてないが詰ませにかかった部分に応じてくれたアイシアさんに感謝

結び

というわけで最後は駆け足となりましたがぽめしちドラフト団体戦・副将戦の自戦記をお送りしました。
敗着の一手を超えてからはアイシアさんの受けがほぼ最善で隙のないものでした。さすがAI受けがお強い。
まぐれを狙う指し方は最近の悪い癖ではありますが、もっと序盤の研究をして序盤で相手の手を咎められるくらいになりたいものです。

棋譜

本譜

開始日時:2024/12/14 12:24:10
終了日時:2024/12/14 12:54:00
棋戦:Casual Rapid game
場所:https://lishogi.org/QNhVDigq
持ち時間:10分+30秒
手合割:平手
先手:AIcia_Solid
後手:willm8_withmore
手数----指手---------消費時間--
   1   7六歩(77)
   2   8四歩(83)
   3   6六歩(67)
   4   3四歩(33)
   5   4八銀(39)
   6   3二銀(31)
   7   5八金(49)
   8   3三銀(32)
   9   2六歩(27)
  10   3二金(41)
  11   2五歩(26)
  12   3一角(22)
  13   6八銀(79)
  14   8五歩(84)
  15   7七銀(68)
  16   4一玉(51)
  17   6七金(58)
  18   5二金(61)
  19   1六歩(17)
  20   5四歩(53)
  21   7八金(69)
  22   6二銀(71)
  23   6九玉(59)
  24   6四歩(63)
  25   7九角(88)
  26   7四歩(73)
  27   6八角(79)
  28   6三銀(62)
  29   7九玉(69)
  30   7三桂(81)
  31   5六歩(57)
  32   7五歩(74)
  33   同 歩(76)
  34   6五歩(64)
  35   同 歩(66)
  36   同 桂(73)
  37   8八銀(77)
  38   7五角(31)
  39   6六歩打
  40   7七歩打
  41   同 桂(89)
  42   同 桂成(65)
  43   同 銀(88)
  44   7四銀(63)
  45   7六歩打
  46   5三角(75)
  47   8八玉(79)
  48   7五歩打
  49   同 歩(76)
  50   同 銀(74)
  51   7六歩打
  52   8六歩(85)
  53   7五歩(76)
  54   8七歩成(86)
  55   同 金(78)
  56   7四歩打
  57   8六歩打
  58   7五歩(74)
  59   5七銀(48)
  60   7六歩(75)
  61   同 金(67)
  62   7五歩打
  63   6五金(76)
  64   6三金(52)
  65   6四桂打
  66   7六桂打
  67   同 銀(77)
  68   同 歩(75)
  69   5二銀打
  70   3一玉(41)
  71   6三銀成(52)
  72   7七銀打
  73   同 金(87)
  74   同 歩成(76)
  75   同 玉(88)
  76   7六歩打
  77   同 玉(77)
  78   4二金(32)
  79   5三成銀(63)
  80   同 金(42)
  81   4五桂打
  82   4四銀打
  83   5三桂成(45)
  84   同 銀(44)
  85   5二金打
  86   6四銀(53)
  87   4一金打
  88   2二玉(31)
  89   3一角打
  90   1二玉(22)
  91   6四角成(31)
  92   7二飛(82)
  93   7三歩打
  94   5二飛(72)
  95   2四歩(25)
  96   同 歩(23)
  97   1五歩(16)
  98   2三玉(12)
  99   3一馬(64)
 100   3五歩(34)
 101   3二銀打
 102   3四玉(23)
 103   4六銀(57)
 104   8四桂打
 105   6七玉(76)
 106   7六金打
 107   5八玉(67)
 108   6七金打
 109   4八玉(58)
 110   6八金(67)
 111   4五銀打
 112   詰み


旧矢倉二十四手組

1  7六歩(77) 
2  8四歩(83)
3  6八銀(79) 
4  3四歩(33)
5  7七銀(68)
6  6二銀(71)
7  2六歩(27)
8  4二銀(31)
9  4八銀(39)
10 3二金(41)
11 7八金(69)
12 4一玉(51)
13 6九玉(59)
14 5四歩(53)
15 5六歩(57)
16 5二金(61)
17 5八金(49)
18 3三銀(42)
19 3六歩(37)
20 7四歩(73)
21 7九角(88)
22 3一角(22)
23 6六歩(67)
24 4四歩(43)
25 6七金(58)
26 4三金(52)

矢倉中飛車定跡

1  7六歩(77) 
2  8四歩(83)
3  6八銀(79) 
4  3四歩(33)
5  7七銀(68)
6  6二銀(71)
7  5六歩(57)
8  5四歩(53)
9  4八銀(39)
10 4二銀(31) 
11 5八金(49) 
12 3二金(41) 
13 6六歩(67) 
14 7四歩(73) 
15 7八金(69) 
16 4一玉(51) 
17 6九玉(59) 
18 6四歩(63) 
19 6七金(58) 
20 6三銀(62) 
21 9六歩(97)
22 1四歩(13) 
23 1六歩(17) 
24 5二飛(82) 
25 5七銀(48) 
26 3一玉(41) 
27 7九玉(69) 
28 5五歩(54) 
29 同 歩(56) 
30 同 飛(52) 
31 5六歩打
32 5一飛(55)
33 2六歩(27)
34 5四銀(63)
35 2五歩(26)
36 7三桂(81)
37 6八銀(77)
38 6二金(61)
39 2四歩(25)
40 同 歩(23)
41 同 飛(28)
42 2三歩打 
43 2八飛(24)

矢倉二十四手組

1  7六歩(77) 
2  8四歩(83)
3  6八銀(79) 
4  3四歩(33)
5  6六歩(67) 
6  6二銀(71) 
7  5六歩(57) 
8  5四歩(53) 
9  4八銀(39) 
10 4二銀(31)
11 7八金(69)
12 3二金(41)
13 5八金(49)
14 4一玉(51)
15 6九玉(59)
16 7四歩(73)
17 6七金(58)
18 5二金(61)
19 7七銀(68)
20 3三銀(42)
21 7九角(88)
22 3一角(22)
23 3六歩(37)
24 4四歩(43)

参考資料


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