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イクメンが過ぎると、パピートラックになる
「自分の仕事もやりつつ、嫁さんのキャリアも応援したい、育児もしっかりかかわりたい」—。
子供が生まれてから、そのスタンスは貫いてきた。
周りからもイクメンですね、とか言われる。
保育園の送迎、家事、寝かしつけ。嫁さんが仕事に集中したいと申し出てきた日は、ビジネスホテルの手配までした。もちろん、自分の仕事も手を抜かないように取り組んできた。
それが、いつ頃からだろうか…。二人目が生まれて1,2年過ぎたあたりか。
自分の仕事に対して、没頭できなくなってきた。
ちょうど自身も中堅どころで仕事の要領も掴んで、若手社員を使える立場になったことと、コロナ渦であまりガツガツ外に出なくてもよい、みたいな雰囲気になった時期も重なって、仕事はルーティーン化してきた。
一方、復職した嫁さんの仕事が忙しくなってきたことをきっかけに、
「子供や家のことは俺メインでやるよ」と堂々宣言。
「仕事は大丈夫なの?」という問い対しては、「全く問題ない」と言い放った。
しかし、今振り返ると、「これが問題あり」だったかも知れない。
人間はみな平等に24時間しか与えられていない。どう使うかはその人次第。
9時ー17時の労働時間でその前後はびっちり子供と家事で埋まってしまい、突発的な仕事も制限がかかってすぐに取り組めない。誰かにどうやって仕事を振るかばかり考えてしまい、自分の案件がどんどん自分のものでなくなってしまう感覚。大切だった案件、思い入れのあった仕事も日々変化する子供の対応に追われ、興味が失せていく。
「あー、ややこしそうな案件、誰に振ろうか…。」
以前なら、前向きに果敢に挑戦していた新しい仕事も、生活のリズムを崩さないようにとか、子供が発熱で休んだらどうしようとか、そんなことが真っ先に頭をよぎり、仕事への興味が薄れていく。
コロナがひと段落した去年あたり。テレワークも浸透し、オンラインでも新規開拓できるよね、みたいな雰囲気になって、また世の中は少し動き始めた。しかし、自分は完全にメンタル的な出不精になってしまい、子供を保育園に送ったあと、一服して、コーヒー飲んで。なんとかエンジンをかけて仕事に向かう。
そんなある日、突然妻から投げかけられた一言。
「あなた、パピートラックなんじゃないの」
(は? パピートラックって?)
検索すると、以下のような感じのようなことが出てくる。
子供の誕生後、パパ社員が育児に多く携わることで、出世コースから外れたり、同じような仕事や地位から抜け出せなくなることを指します。
ただ、これはあくまでも「本人は出世をしたい」「ガンガン仕事したい」だが「会社が理解してくれない」という話。
自分の場合は少し違っていて、「出世したいと思わなくなった」「ガンガン仕事したくない」が前提。
ちなみに、わが社では育児休暇や時短勤務への理解があり、昇降格への影響はないということになっている。制度上では。
とはいえ、仕事に対して没頭できない自分を受け入れているわけではない。かつて、20代、30代のようにお客様と向き合い、コンペ結果に一喜一憂し、打ち込みたい、とも思っている。
子供のためにも、仕事って面白いよって伝えていきたいし、そうあるべきだと思う。
ただ、エンジンがかからないのだ。
嫁さんのキャリア支援、育児参画を背負い込んでしまい、自分のことを犠牲にして、本来の自分らしさを失ってしまう。
「お父さんはイクメンだったから、今はこんな仕事しかできないんだ」
って10年後、子供に言えるだろうか。