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夜中の音に起こされる件
さて、この話題も2回目である。
しかし、今回は訪問者ではなくて遠くから聞こえる"とある音"によって起こされたお話しだ。
それは、またしても午前2時過ぎ。
これまでに何度も起こされた時間であり、今回起こされた時間でもある。
訪問者についてはこちら参照
数日前の話をしよう。
深夜1時過ぎ、風呂からあがってそのまま寝室に行き、いつものようにベッドで書き物をしながら眠くなるのを待っていた。
今は冬。室温も10℃くらいしかなく、体がほどよく冷えて寝る体勢になるまでさしたる時間もかからなかった。
ほどなくして、いつものようにノートPCをサイドテーブルに置き、そのまま寝入ってしまった。
どれくらい経っただろうか。
かすかな音に目が覚めた。
トンットンットトンットン・・・
何の音だろう? たしかに聞き覚えがある。
あぁ、小太鼓の音だ。
どこかでお囃子の練習でもしてるんだろうか。
いや、いや。こんな深夜にお囃子!?
時計を見ると深夜2時半だ。
小太鼓の音は途切れ途切れだが確実に外から聞こえている。
方角はちょうど真南。正確な距離は分からないが寝室でも聞こえるくらいだから、そんなに遠くではないはずだ。あっても100〜200mといったところだろう。
動いてはいないようだ。
動いていたら大音量のカーステレオかもしれないのだが、動かないから信号待ちで停まっている車ではないことになる。
では、考えられる可能性は何だろうか?
こういう時、どうしても分析してしまうのは理系のサガだが、どうしようもない。
しかし今は冬、正直、気にはなるが寒いし眠いし面倒臭いという"三重苦"で動き出せずにもぞもぞしていた。
気のせいなのか?
もぞもぞしながら、そういえば前日、お袋と話をしていた時に「太鼓の音がする」と言っていたな。と思い出した。
その時は太鼓の音なんて全く聞こえなかったのだが、今思えばこのかすかな小太鼓の音の事を言っていたのかもしれない。
そう考えはしたものの、本当にこの音が1階のリビングで聞こえるものだろうか。
静まりかえっていたとしても厳しいんじゃなかろうか。
さらにだ。
自宅から南へ100〜200mに何があるのか・・・果樹園だ。
果樹園を抜けた先に幹線道路はあるのだが、深夜に果樹園で太鼓を叩くのはいったい誰なんだろう。
そんな伝承は?
軽く調べただけでもけっこうな数がヒットするほど、丑三つ時に誰もいないはずの神社や山中から太鼓や神楽が聞こえてくるという伝承は多くあるようだ。
現象としては昔からあることになる。
いずれの場合も音を頼りに宴の場に足を踏み入れてしまうと食われてしまったり、異界に連れ去られたり、魂を抜かれてしまったり、結果として生きて戻れないと伝わっている。
有名どころをいつくかピックアップしておくので、気になった方は調べてみると面白いかもしれない。
・生駒山の鬼の囃子
・大江山の鬼宴
・恐山の夜囃子
・日光の神楽
これら全てに共通するのは、音に誘われて神社の境内や山中に足を踏み入れてしまうと、二度と帰って来られないという点だ。
つまりは今回、現場を見に行かなかったことで命が助かったということになるわけだ。
冬の寒さに感謝しなくてはなるまい。
寒くて眠くて面倒臭くてありがとう。
ということで、またしても原因特定に至らず繰り越しである。
解決を信じて、次のレポートをお待ち頂きたい。