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単焦点 / ズーム論争、フルサイズ / APS-C論争。根は一緒では?

昔から「写真が上手くなりたいなら単焦点レンズを使うべき」と言われています。
対して「デマだろ。ズームの何が悪い?」という単焦点、ズーム論争はよく見かけます。
また同じ流れで「フルサイズじゃないと良い写真は撮れない」「APS-Cの方が望遠に有利なを知らないのか」といったフルサイズ、APS-C論争もあります。

最初に断っておきますが、私が使っているのはこちら。
カメラ:Nikon Z8
レンズ:NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S、SIGMA 35mm F1.4 DG HSM
    AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR
    NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S
単焦点レンズの出動率98%です。
使っている機材と写真が上手くなる話がリンクしているか?
気になりますよね。

こういったネタは、その人の信念にも関わるため大いに盛り上るんですが、公平な目で見ると、たぶん視点がそれぞれ違っているんじゃないでしょうか。
優位性どうのこうのを言い始めると話がややこしくなるだけですので、本当に写真上達のために単焦点が有利なのか?を考えてみたいと思います。

D200を使ってた頃の写真。猿人っぽいですが猫です。(70mmマクロ)

単焦点とフルサイズ、写真上達のためには単焦点?

単焦点の方が有利だと言われている理由が構図の構成力が付く点だと言われています。ズームだと自由度が高くなるから、制約があった方が構図だけに集中出来て練習になるという話ですね。
そう聞くと何となく納得してしまいそうですが「待った!」です。
自由度が高い方が良いとか、制約があった方が良いというのは間違いでしょう。
単焦点では足で距離(画角)の調整をします。
対してズームは手元で調整します。
操作が違うだけでやってることは一緒です。
どちらも自分が求める構図に合わせた調整をする点に違いはありません。
厳密には、ズームを使うと圧縮効果が出ますのでイコールにはなりません。

では、単焦点とズームで何が違うのか?
一般的に開放F値が違います。
「あぁ、明るさね」という方、それも表現の観点からすると間違いでしょう。
最も大きな違いはボケ具合です。
単焦点レンズの方がボケ具合が調整し易いため、不要な背景整理が楽になります。
背景が整理出来ると被写体を立体的に見せたり、撮影意図や主題が明確化出来るようになります。
写真家が単焦点レンズを好んで使うメリットもここに尽きるでしょう。

いやいや画質だって相当違うんじゃない?という方もいらっしゃるとは思いますが、最新ズームレンズの画質がとんでもなくて考えを改めました。

そんなわけで、単焦点なら構図の構成が練習出来る。という説明では全くとは言わないまでも、かなり的外れで言葉足らずではないでしょうか。

コゲラ。Z8、Nikkor 100-400

きっと、根は一緒

APS-Cよりフルサイズの方が練習になるというのも、きっと根は一緒です。
単焦点の話と同じで、APS-Cよりフルサイズの方がボケ表現においてメリットがあるのを否定する人はいないと思います。
もちろん、APS-Cには焦点距離の面で多大なメリットがあります。
野鳥などを撮影する場合にテレコンで焦点距離を伸ばすのと同じメリットがあります。
もっと言うと、テレコン付けると「さらに倍!」(懐かしい表現ですよね!?)
300mm+2倍テレコン+APS-C = 900mm これって、焦点距離もそうですがコスパもスゴイですよね。
そして、一般的にフルサイズ機の方が高性能です。
裏を返せば、機材の性能が高い方が綺麗な写真が撮り易いということになります。

朝焼けが木々に反射して燃えるよう。Z8、Nikkor 100-400

写真は上手くなるのか?

さて。
また1周して、写真上達のためには?に戻ってきました。
ここまで題材にして来た、単焦点レンズ / ズームレンズ、フルサイズ / APS-C論争ですが、結局、どんな写真が撮りたいのか?で撮影スタイルも機材も違う点は置き去りだったことに気付いたでしょうか。
例えばポートレイトと星景写真では求めるモノが細部まで一緒なはずがありません。
焦点距離は正義という撮影スタイルもありますし、シャッタースピードを上げるために明るいレンズが必要なシーンもあります。
ボケは使わず絞り込んだ写真を求める場合もあります。
何を撮るか?で必要な機材が変わる点はこれ以上説明する必要も無いでしょう。

どういった写真が素晴らしいのか?は、自分で見つけていくものだし、気に入った写真や同じように撮ってみたいと思える写真に出会ったら、まずは真似てみるとか、参考にするとか、そこからスタートするのが普通でしょう。
撮ってみて「もっとこうしたい」「ここはこうしたい」が出て来ないと、成長は無いはずです。
カメラ雑誌に掲載されている写真なら、機材や設定を公開してますし、写真展で撮影者に質問すれば周囲の状況も含めて詳しく教えてくれるかもしれません。
目指す写真を知った上での機材アドバイスならともかく「なになに? ズームなんて使ってるの?」から入るのは論外です。
老害と言われ嫌われても文句は言えません。

たたずむカワセミ。Z8、Nikkor 100-400

結論!

ということで、結論です。
単焦点レンズやフルサイズを使えば写真が上手くなるのか?
私の結論は「ならない」です。
ただ漠然と撮っていてもダメ。考えて撮ればズームレンズでも上手くなります。
単焦点やフルサイズじゃないと〜と言ってる人の写真が上手く見えるのは、ただ単に機材の性能が高いだけかもしれません。
機材のメリットを知った上で活かす撮り方が出来てるなら文句はありませんが、そうではない人のアドバイスは誰かの受け売りです。
その場は「はい。仰るとおりですね」と、聞き流してやり過ごし、もう関わらない方が幸せになれます。

まずはたくさんの写真を見て、自分が良いと思う写真に出会いましょう。
出会ったら分析してみましょう。
 どこに惹かれたのか?
 どうしてこの構図なのか?
 どんな機材を使っているのか?
 どんな設定なのか?
ちなみに、私が思う良い写真のポイントは、余白の取り方、視線誘導、臨場感です。これらはズームだろうが単焦点だろうが変わりません。

分析出来たら実践です。
撮ってみて微妙だったら「どうして微妙なのか?」を分析して、また実践。
人は、この繰り返しによってしか成長しません。
そう考えていくと、単焦点の方が上手くなるか?というと、ほぼ関係ないことが分かって来ますよね。

やっぱり最後は。Z8、105マクロ

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