博士進学を少しでも考えている人へ
2024年4月入学の博士試験、願書受付期間まで約1ヶ月となりました。
2023年度、九州大学大学院システム情報科学研究院・人間情報システム研究グループ(荒川・峯・福嶋研究室)には、12名、の博士が在籍しており、研究院の中で最大の人数となっています。また、修士についても27名も在籍しており、これまた研究院の中で最大です。研究室はまだ設立5年目ですが、全国から集まっていただき、九大内部からの進学よりも外部からの進学が多い状況です。教員や事務スタッフを含めると約60名のグループです。2024年4月には更に増えて、70名くらいになる予定です。
博士については、今年度は、3名の博士が修了に向けて、準備を進めています。1名は2年間での早期修了です。1名は社会人博士となります。本学の場合、規定の条件を満たせば、1年でも博士を修了することができます。
言い換えれば、学部、修士の頃、あるいは、会社員の頃に、ジャーナルに1本でも採択されていれば、実は結構簡単に博士は取れるよと言っても過言ではありません。正確な条件については、ご相談いただければと思います。
研究分野:人間活動が伴う領域全般
人間行動認識(Human Activity Recognition)
新しいセンシング手法、新しいデバイス
行動変容支援システム(Behavior Change Support System)
Non−SaMD、SaMD、ゲーミフィケーション、ナッジ、仕掛け
上記の応用システム(Applications)
チャットボット介入、デジタルウェルビーイング、プライバシ保護
上記のデータ分析(Data Analysis)
Slackデータ解析、運転データ解析、メンタルヘルスデータ解析
詳しくは以下を御覧ください。
荒川的な博士の捉え方
私自身、博士(工学)を取得したくて、あるいは、研究をめちゃくちゃ頑張りたくて、博士に進学したわけではありません。こんな事言うと怒られるかもしれませんが、当時M2から関わったスタートアップが楽しくて、色々なことに挑戦する時間を少しだけ伸ばしたいと思って3年間学生を延長したら、おまけで博士(工学)がついてきました。
仕送り、奨学金×2、スタートアップの給与と合わせると月50万以上はお金があって、学振もらったら損だとか言いながら、毎週のようにゴルフに行ったり、1ヶ月以上の世界周遊旅行を3回も行ったり・・・遊んでしかない博士生活でした。D3のときには、IPA未踏にも採択され、博士はホントギリギリ条件満たしていただきました。最初、慶應で勤めたときは、週4勤務で残りはまだスタートアップに片足を入れていたほど(笑)、アカデミックに興味がなかった私です。なので、業績はありませんでしたが、特に博士課程を苦しいとは感じたことがありません。最初の就職先となる慶應へのお勤めも、たまたまボスが国プロを取ったため、ちょっと手伝ってよ、で終わり、就活してません。
そこから、九大(助教)→NAIST(准教授)→九大(教授)と転職を繰り返しました。さらに、途中でフランス、ドイツ、アメリカと3回も留学しました。予算を取っては海外に行ってしまうし、すぐに転職していなくなるしと、自由すぎる人生を送らせてもらっています。フランス生活も、ドイツ生活も、アメリカ生活も、めちゃくちゃ楽しかったですが、大学教員として普通に就職した友だちと違うことって何かな?と考えて、海外生活だ!と思ったのがキッカケです。そう、何でも逆張りしたくなる性格です。
みんな横並びで就活して、横並びで新入社員になって、大企業のイチ歯車として働くのは、一見安全そうに見えるかもしれませんが、必ずそうとは限りません。むしろ、自分に自信がない人こそ、どこどこの内定を取ったとか、どこどこに就職した、自己顕示欲を満たしたり、安心感を得てるのかなと思います。まぁ、就職まではそれで良いのかもしれませんが、その先の人生が幸せかどうか、思ったようになるかは全く別の話です。
むしろ、皆さんの世代は、年金もほぼない世代だと思うと、60歳定年の会社員になるって、ほんとに安全なのでしょうか?70歳でも75歳でもお金を稼げるようなスキルを身に付けないとヤバいのではないでしょうか。まぁ、博士ならどうかというと、それも解ではないではないです(笑)
博士号は、運転免許証のようなものなので、車に乗る権利はもらえても(博士がないと教授などに応募できない)、上手下手まではわかりません(研究がすごいとは限らない)。でも、最低限、論理的に考える事ができる人間であることの証明にはなると思います(そうしないと論文は通らないので)
では、どうして博士を考えてみるか?というと、考え方次第で、研究以外にもいろいろできますよって話を以下に書いてますので、ぜひご一読ください。
特に国立大学の博士課程ともなると、1に研究、2に研究、3も研究で、トップ会議、トップジャーナルを目指せ、と指導する先生が多いと思います。まぁ、それも一理ありますし、素晴らしいと思いますが、研究しかやってない人が多いせいで、博士人材は使えない、就職が・・・とニュース記事になる一因でもあると思います。私の教え子にそんな博士がいないのは、まぁ、指導方針の違いだと思いますが、人生長いですし、博士が博士としてアカデミックや研究者で食べていく必要もないと思います。
私なんて、慶應→九大のときに、大きく分野を変え、行く学会もガラリと変えました。光通信の品質制御で学位を取ったのですが、スタートアップでやっていたソフトウェア開発のほうが楽しそうってことで、30歳ソフトウェア工学の研究室に移り、1からスタートしました(笑)何歳からでも遅くないです。好きこそものの上手なれ。気軽に進学して、好きなことをしながら、人生の幅を広げる3年間にするくらいで良いんじゃないかと。どうせやるなら、60人くらいのビッグラボでワイワイやると楽しいですよ〜^^)
現状と今後
2024年4月:台湾から1名進学予定
2025年4月:現在のM1から3名内部進学、ミャンマーからも1名MEXT生が進学予定
奨学金など
社会人博士を除くすべての博士学生が何らかの奨学金を取得しています。概ね月20万円+研究費40万程度です。
システム情報科学研究院のフェローシッププログラム
先導的人材育成フェローシップ事業(情報・AI分野) https://www.isee.kyushu-u.ac.jp/DC_fellowship.html
全学的な博士支援プログラム
次世代研究者挑戦的研究プログラム
https://k-spring.kyushu-u.ac.jp/