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なぜ背中に翼は生えないのか
「天使」をはじめとして背中に翼が生えている人間のイメージは、フィクションの世界ではありふれたものだ。
鳥のように空を飛ぶことを空想する人は多い。自由の象徴として、素敵なこととして。
手脚を持った上でさらに翼を獲得し、空を飛ぶということがどういうことなのか。フィクションの中ではほとんど問われることがない。彼らの翼はその体格に比して貧弱であるにもかかわらず実に軽々と飛翔し、宙を舞うことができる。
現実の鳥類や昆虫たちは、その体格に見合った大きさの羽や翼を持ち、宙を舞うのに多大な労力とエネルギーを費やしている。それに比して体重70Kgの成人が空を飛ぶためにはどれだけの大きさの翼と筋力が必要で、どれほどのエネルギーを消費するのかを推測してみるのは面白いことだと思う。
人間ほどの体重を持つ生き物が空を飛ぼうとすれば、それがその個体の行う運動の中で最も重要な運動となることは自明だろう。墜落すれば死ぬのだから。それはつまり、羽ばたくことや姿勢を制御することなどに脳や身体の機能のかなりの割合を費やすことを意味する。それは必然的に手や脚の役割を劣化させることにつながる。
仮に人間が翼を獲得できたと考えてみよう。そのとき人間は手や脚を現在の形態で維持することは不可能だ。翼が手や脚の代わりになるのだから。そういう意味で、人間の背中から翼が生えてくることはない。そう、翼と手は両立しない。
もしも人間が空を飛ぶべく自らを進化させようとするのであれば、まずは手をなくし腕を羽に変えて羽ばたけるようにするだろう。それがもっとも合理的な方法だと私は思う。スタビライザとしてお尻のあたりから何かが生えてくるかもしれないが。空を飛ぶのは寒いので、全身羽毛に覆われることになりそうだ。
哺乳類であることを維持したまま空を飛べるようになるのか、という問いかけもなかなか興味深い。空を飛ぶのに人間の脳は重い。そして、手や脚をなくして現在のような脳の機能=知能を維持できるのか。空を飛ぶには脳をもっと小さくする必要があるのではないだろうか?それは何を意味するのか。
「天使」たちはひょっとしたら頭が少し足りないのでは?
そんなことを考えてみるのも面白い。
人間と機械が融合すれば・・・といった進化とテクノロジー関係のことはここでは述べない。それはまた別の話。