秋の憲法講座 臨時国会情勢報告 山添拓参議院議員の講演 2022.10.15 文字起こし
みなさん、こんにちは。
臨時国会が始まり2週間がたちました。この間、志位和夫委員長と小池晃書記局長の国会代表質問も行われました。ところが、本来開催されているはずの各種委員会をはじめ全体がまともに動いていません。
その状況を含めて昨日の講演で山添拓参議院議員の国会情勢報告が憲法講座で行われました。
私は動画でたまたま視聴したのですが、国会が始まってからこれまでの状況含めて詳しく報告されており、繰り返し学ぶべきだと思い立って文字起こししました。
さすが山添拓議員の話は聴きやすくて、とても分かりやすい!
文字起こしもかなりスムーズにはかどりました!
また、本日の #日曜討論 で山添さんが語っていた中身はここに全部詰まっていますので是非最後までお読みください。
それでは、山添拓議員の講演動画と文字起こしをどうぞ!
山添拓参議院議員あいさつ
みなさんおはようございます。
2022年秋の憲法講座にご参加の皆さん、オンラインでご参加の皆さん、今日はよろしくお願いをいたします。
紹介いただきました日本共産党参議院議員の山添拓です。
ご紹介いただいた際に7月の参議院選挙についても触れていただきました。選挙後初めてこの場でお会いした方、あるいはこれまでも一度もあったことはないけれども、今日オンラインでご一緒してる方もいらっしゃるかと思います。
引き続き皆さんと共に、憲法を守り生かす闘いの先頭に立って頑張りたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
それから、今日この場所でマイクを使って話すのは私が最後ということですので、マスクを外してお話をさしていただきます。
この一週間何が起こっていたのか
それでは、国会情勢の報告ということでお題をいただいております。
臨時国会がようやく始まったのですが、皆さんもご承知の通り今週一週間は、国会がほとんど開店休業の状態でありました。
普通、臨時国会が始まりますと代表質問、そしてそれに続いて予算委員会となりますが、まず臨時国会を開いたけれども補正予算の準備が間に合っていないと。とういかほとんど補正を組むつもりはなかったのではないかと。予備費で乗り切れると。こう考えていた節もあります。
それから、この一週間は財務大臣がG20の会合に出席するということで、外遊をすると。これはもともと3か月前から決まっていた日程でしたので、それを見越して、本来ならもう少し早く国会を召集していれば、代表質問、予算委員会、そして各委員会と入れたわけですけれども、国葬の関係もあってですね、そういう日程にならなかった。
とか、あるいは自民党と立憲民主党、与野党間での調整もされなかった。というか政府と与党との間で国会運営についての十分な協議もされていなかったということで、ほんとにこれはですね、国会軽視ですね。基本的には国会軽視なんだと思います。臨時国会の召集要求に応えない。そして、国会を開いたと思ったら十分な審議日程が取れないような状況でスタートさせる。その軽視の姿勢が表れていると思います。
とはいえですね、じゃ今度の臨時国会、なんで開いたのか。ということになるわけですが、これは一応ですね、野党が8月お盆明けに求めた憲法53条に基づく臨時国会の召集要求に応える形で招集してやったんだと。ま、やったんだとまでは言ってませんが。そういう言い方で招集をしています。
そうであれば、今お話のあった国葬、あるいは統一教会との問題。そして物価高。コロナ対応も含めて山積している国政の課題を徹底的に審議できる、していく国会にしていかなければならないと、私たち考えて国会に臨んできています。
どのような国会論戦が行われたのか
国葬問題 言っていることの矛盾
それでまず、代表質問はそうはいっても終わりましたので、そこでの論戦を中心に情勢を報告したいと思いますが、国葬についてはですね、国葬だけではないんですけど、あらゆる問題についてとにかく打開策を示すことができない岸田政権の姿勢が次々現れたなと。そういう論戦の状況じゃないかと思います。
国葬について、まず何よりも指摘しなければならないのは、岸田首相が言った、「国全体として弔意と敬意を表す儀式」その「国全体」とは何なのか。国民主権の国なら国民全体ということになるではないかと。それは強制することになるんじゃないかと。
基本的なところですけれども、これに答えないんですね。代表質問であらかじめ問われたことに、あらかじめ用意した原稿で答えるものですから、もちろん答えないわけですけれども、しかし、まだこの答えを用意していないという状況にあります。
あるいは、この国葬当日には中央省庁の職員に黙とうをするように指示が出されていました。これも弔意の強制ではないのか。ということを代表質問で問われましたけれども、「あの黙とうの指示は黙とうする機会を提供しただけなんだ」というんですね。つまり、強制って何なのか。首根っこを捕まえてね、連れてきて黙とうしろと、それだけが強制だと思っているのではないかとそのように言えると思います。
あるいはこの間、山口県の教育委員会は県立学校60高に対して半旗の掲揚を求めていたと。校長に対して求めてこれは職務命令だったと言ってますよね。だから違反したら処分の対象になりうるんだと。そういう風に言っている。
ところがこのことについて、文化大臣が記者会見で答えているのは「職務命令としてやったかもしれないけれども、だけど実際に掲げたかどうかは調査しないと聞いている。処分はされないだろう。だから強制ではない」っていうんですね。しかし、処分を背景に職務命令をするというのはこれこそ強制じゃないですか。
事実上の強制と。超えてますよね、強制だと思うんですが、そういう認識すら持たずに進んでいったということがこの間の短い期間の中でも浮き彫りになってきています。
検証するという中身は何か(中身がない)
その岸田首相は国葬が終わるや否や「検証する」と言い出しました。おかしな話だと思うんですね。反対世論を押し切ってでも強行したわけですから、私だったら強行したままにしておいてそのうち静まるのを待つと、私だったらそんなこと言いませんけれども、そういう風に考えるかなと思うんですね。
だけど、「検証する」と言わざるを得なかった。しかも検証って何するんだと、昨日ちょっと国会で聞きましたら、「国葬をどのような根拠に基づいてどういう考え方でやったのか。国民の中にどのような議論があったのかを記録するんだ」という風に言ってるんですね。そして、そのためにこれからいろんな有識者からヒアリングをして論点を整理して、課題を洗い出すんだと言っています。
論点整理もできないままに突き進んだのでしょうか?憲法違反の論点はすでに明らかだったと思うんですね。それを無視して突き進んだことへの反省がまず述べられるべきだと思います。
この点はやっぱりそのままあいまいにすることはできない問題だと考えています。
統一協会を巡る問題
そしてもう一つ重大な問題が統一協会を巡る問題です。この点についても岸田首相は「社会的に問題が指摘される団体」だから今後関係を断ち切るんだといいますが、では、社会的な問題、それは何なのか。あるいは指摘されるっていうのは他人事として言っているわけですけれども、総理自身は何に問題意識を持っているのか、これも一切答えることがありません。
正体を隠しての伝道。あるいは霊感商法。高額の献金。そして、集団結婚。これはなぜ教義を信じるのか。なぜそのもとで献金をするのか。なぜ結婚をするのか。結婚すること自体が祝福という教義の一つですよね。
この教義の基本的な論点すべてにかかわって違法だとする判決が確定している。稀有(けう)な団体だと思います。
宗教団体っていうのはやっぱり教義をひろめて伝導して広めていくそれが基本ですよね。
ところがその核心にわたるところでやり方が違法だと指摘されている。これはもう宗教法人としての資格を問われるものだと、ですから解散命令を請求すべきだという声が広がっておりますが、当然のことだと思います。
行政がなぜこの問題を放置してきたのか?
徹底的に問うていきたいと思いますし、行政の側はだんだん手を引いてるんですね。なにもやらないと。(つながりは持たない)
(行政が)何もやらなくなるのと反比例するように自民党は接近をしていってどんどんいろんなところに参加するという状況がすでに癒着の実態として表れてきています。
細田議長と統一協会
細田議長のことが話題になってまして、ペーパー1枚最初出してね。
謝罪も反省もないではないかと言われたら、一週間後はペーパー2枚になってですね、これが神(紙)対応だといわれているわけですけれども、しかしそこでもまだ何が問題なのか明らかにすることはありませんし自らの言葉で語るということはありません。
ですから、やっぱりこれは三権の長として資格がないということも引き続き問われると思います。
自民党国会質問の矛盾 統一協会と自民党の関係における疑問点
私は参議院におりますので参議院の代表質問をその場で聞いてますが、先日自民党の世耕氏ですね、代表質問の中で「統一教会の教義というのは、この教義に賛同するわが党の議員は一人もいない」と。とりわけ安倍さんは真逆の発想だったという風に言うんですね。
✅ だったらなぜ半数の議員が接点を持ってきたのか。
✅ なぜ安倍さんが統一協会の総裁を持ち上げるようなビデオメッセージまで送ったのか。
✅ 票のためなら何でもするのか?
✅ いや、むしろ反共反動の政治で一致して利用し依存しあってきたのではないか。
その癒着の構造も徹底的に暴いていくことが必要だと思います。
物価高への対策を持ち合わせていない自民党(他人事)
物価高深刻です。
先ほどもお話がありましたが、昨日も円安が進んで1ドル148円台にまでなった。この円安っていうのは岸田首相の所信表明などですと、「ロシアのウクライナ侵略や円安を背景にした物価高」とか言ってですね、なんか勝手に起こっているように言ってるんですね。勝手に起こっている話ではありませんよね。
「アベノミクス」で金融緩和を続けて、一方でアメリカがヨーロッパが利上げを続けて金利差が拡大をする。ですから、円を持ってるよりもドルを買ったほうが得なのでどんどん円が売られていく。そしてその状況に歯止めがかからない状況になっているわけですが、いまだに、「アベノミクス」から抜け出すことができないでいます。
私たちがここで問わなければならないのは、この円安もそれを背景にした物価高騰も決して公正には広がっていないってことだと思うんですね。
影響は公正に出ているわけではありません。
この下で輸出企業や海外事業を展開する企業が大儲けをしている。
一方で賃金が上がらずに物価に追い付かずに苦しむ生活がある。
不公正を拡大するそういう影響がもたらされているということを徹底して問わなければならないと思います。
いま、電気やガスの負担軽減の策を一生懸命練ってるようですけれども、それは必要ですけれども、やはり広範に影響が出ている以上は消費税を引き下げる、インボイスを中止する、あるいは最低賃金を引き上げる、そのために中小企業を支援する、当たり前の経済政策に転換しなければならないと思います。
打つ手なし!八方ふさがりの岸田政権
臨時国会が始まってこういう下で政治が何をやるのかっていうことは注目も集めているわけですけれども、何を言い出したかというと「原発の再稼働、新増設」あるいは延長ですね。それからこの一週間はマイナンバーカードですよね。マイナンバーカードを普及を広げるために健康保険証を廃止する。あるいは運転免許証もだんだん統合していくと。
だからですね、やるべきことはやらずにやる必要のないことやってはならないこと、わざわざ不人気を拡大するようなことをですね、どんどん進めているような、ほんとにそれはですね、「八方ふさがりの表れでもある」と思うんですね。
それぐらい追い詰められて打開策を見いだせずにいるということあると思います。
大軍拡は当たり前大前提の岸田政権
その最たるものが大軍拡の方針です。政府と自民党が軍事費をこの先5年で43兆円に膨れ上がれせて行く。5年後には今の倍の10兆円規模に拡大していく計算をしています。そして来年度の予算でも、すでに敵基地攻撃予算ともいうべきスタンドオフミサイルなど長射程のミサイルシステムを、ミサイル防衛を拡大していくそういう内容を定めて盛り込もうとしています。
おかしいのはですね、敵基地攻撃能力を持つのか持たないのか、どの範囲にもよるのか、あるいは財源はどうするのか、安保3文書の改正と合わせて年末までに議論するといっているのに、すでに概算要求でこれらをふんだんに盛り込んでいる。しかも、青天井に盛り込んでいる。
先取予算だといわなければならないと思います。
ここで、予定されている長射程に改造していく、地対艦ミサイルですね。12式(ひとにしきとかひとふたしき)とか言われるミサイル。これはすでにハワイ沖でやっている存立機器自体を想定した集団的自衛権の行使を想定した米軍との合同演習で使っています。
使っていますけれども、えらい高いので一発一億円といいますので、一発しかやんなかったそうですね。これを全発持っていくと。しかも今150㎞の射程を500㎞、1000キロに伸ばしていくという計画ですよね。
ほんとに敵基地攻撃能力の保有に踏み進む危険なたくらみが進められるといえると思います。とりわけ危険なのがこの反撃能力、敵基地能力、いや、敵基地だけでなく相手の中枢まで攻め込むような、こういう攻撃的な兵器を集団的自衛権の行使として使っていく。
そうなれば当然相手にとっては先制攻撃ですよね。
日本が攻撃されてもいないのに、アメリカが戦争したのに応じて敵基地攻撃を行うわけですから。
これは、その場合どのように敵基地攻撃能力を行使するのかっていうことも、この間も国会で少しずつ議論されているんですけれども、大問題だと思うんですよね
なぜ、アメリカ軍への攻撃が直ちに日本の存立危機になるのか。
しかも、攻撃される前にたたいてしまおうっていう発想ですから。
着手の段階ですよね。
着手の段階でなぜ日本にまで影響が及ぶとわかるのか。
その判断は米軍に依存することになります。
そしてその時に相手の基地をたたく攻撃をするわけですけれども、
✅ それが必要最小限度の攻撃といえるのか?
✅ ほかに長ける手段がないといえるのか?
武力行使の3要件の、新3要件ですね。すべての面にかかわって日本は独自に判断するすべを持たないと思うんです。
すべてアメリカの判断に基づいて行っていくことになる。
日米一体化の下で。そして日本が攻撃すれば日本に反撃がされますので戦争に巻き込まれていく。
こういう危険がいま、もたらされようとしているということで、私たちやっぱりこの国会でも敵基地攻撃能力の保有に向けた議論をさせない、あるいはそのための予算を作らせない、そういう世論を大きく広げていくことが求められていると思います。
戦争を進める想定ばかりの自民党とその補完勢力たち
この下で憲法をめぐっては、例えば維新の会がこの間の代表質問でも改憲をあおり、あるいは核共有をあおると。そういう質問をしています。
国民民主党が継戦争能力、戦争を続けるための能力を日本は持ってるのか?そういう質問もしてますよね?長期戦を覚悟して、戦争できる体制をとるべきだ。こんな発想で論戦を進めている補完勢力がもうあからさまです。
来週の国会では憲法審査会を開くかどうかということがまだ確定したわけではありません。来週は予算委員会ありますから、そうそう簡単にはさせることにはならないと、させてはならないと考えておりますけれども、しかし、この短い臨時国会の中でも憲法審査会を着々と開催を進めていこうと狙う動きがあることはぜひ、共有いただきたいと思っています。
なにしろ、通常国会では、衆参合わせて21回の実質審議が行われました。
それまで、安倍改憲を許さないという一致点で一度も実質審議をやらせない国会があったことを思い起こせば、この21回っていうのはやっぱり異常な数ですよね。
しかも最初はとにかく口実があればいいだろってことで、オンライン国会がどうとかいうことで開かせたわけですが、開いてみたらやっぱりだんだん、自民党の改憲4項目に沿うような改憲論議が進んでいったではありませんか。
緊急事態条項そのものや、あるいは安全保障にかかわって自民党改憲案に沿うように議論が収斂(しゅうれん)されて、そして維新の会も今度の参議院選挙で自民党と同じような9条改憲や緊急事態条項を、改憲項目を公約として掲げていく。国民民主党ももちろん改憲案を掲げる。公明党も9条への自衛隊明記ではありませんけれども72条だとか73条だとか、内閣の役割に自衛隊を書き込むというような、いずれにしても自衛隊明記の改憲案という一致点で進めていこうという動きが広がってきたわけです。
ですから、私たちやっぱり軽視せずにですね、確かに追い込んでるわけですけれども軽視せずに憲法を守り生かす世論を大いに広げていこうということを呼び掛けたいと思います。
末期症状の岸田政権
岸田政権の内閣支持率が20%台、30%台と各種の世論調査で報じられています。一部の世論調査では菅内閣の末期の8月の、去年の8月の支持率よりすでに低くなっているということもあって危険水域だと報じられております。
しかし、そのいくら危険水域にある岸田政権であっても、ひとりでに倒れるわけではないと思います。やっぱり政権倒していく、この政治を変えていく、そして改憲論議もろとも岸田政権を終わらせていくためには、なんといっても世論と運動が必要だと思います。
改憲もろともですね、この政権を終わらせるために力を合わせる。そういう秋の戦いをご一緒に広げていきたいと思っています。
皆さんと引き続き頑張る決意を申し上げてごあいさつに代えて国会報告といたします。
ありがとうございます (拍手)
最後に
いかがでしたか?
私はこの山添さんの話を聞いて、本当に支離滅裂な末期症状の岸田政権を感じましたし、最後に話が合った通りひとりでに倒れるわけではありません。一人でも多くの皆さんの関心、問題意識が高まる必要があるのではないでしょうか。
このnoteを読んでくださった皆さんは、すでに政治に対して問題意識をお持ちだと思います。
国葬一つにとっても、
「どうして国葬に反対するの?」
「国葬の何がいけないの?」
「長いこと日本のトップに立ってくれてたんだからお疲れ様の意味も込めてみんなで見送ったほうがいいんじゃない?」
という声が普通に聞かれる今の状況を変えるためには、問題意識を持っている私たち一人一人が声に出して、伝えて、発信していくことが大切なのではないでしょうか。
これほどまでに国民のことを大切にしないどころか、「生かさず殺さず」を地で行こうとしている。その一方で自分たちは甘い汁を吸い、国民に問い詰められたら平気で嘘をつき続ける自民党政権に政治を任せ続けられません。
ご一緒にできることやっていきましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。