
君は宇治拾遺物語を読んだか?
ぶっちゃけ、私も初めて読むのだが。
これは今年の春、アニメ「平家物語」にバチゴリにハマった話から始まる。
平家物語、めちゃくちゃ良くて
そういえば大学入試の時にここを完璧に翻訳できなくて苦しんだけど
映像で見れば、こう言うことだったのだな、
安徳天皇悲しすぎる…
徳子、美しすぎる…
平家物語、奥が深すぎる…
で、オタクってハマると原作読み始めるじゃないですか。
ど真ん中オタクムーブメント、
でも、ガチの原作はちょっと長いしあんまりにも古文
そこで古川日出夫さん翻訳、黄色い枕を購入、一夏かけて読んだと言う次第。
色々あった夏なので、その話もおいおいしたいのだが、
ここでは割愛する。
それで、その黄色い枕こと平家物語はとにかく引用が多い。
古典あるあるの
「マジでそれも知っとかなあかんやつ?
本棚爆発するやん??」
というやつで、もっと理解したいがために図書館で
同じシリーズのペールベージュの枕こと
「日本霊異記/今昔物語/宇治拾遺物語/発心集」
を借りてきて読むことにした。
いや何もこのあたりから引用がある訳では全くない、
どちらかというと平安時代ごろの人々の価値観とか生活とか気になるじゃないですか。
今と全然違う国民性なんやもん。
それで、読んでいたのだが、
まぁ「日本霊異記」「今昔物語」は
夏目漱石の「夢十夜」のおかわり、仏法説話感バチバチ
ちょっと退屈だったのだが
「宇治拾遺物語」が急にめちゃくちゃ面白い。
「奇怪な鬼に瘤を除去される」とかタイトルにある。
外科なんか、その鬼。
鬼の描写がもうおかしくてたまらない
その姿形たるやはっきり言ってムチャクチャであった。
まず、皮膚の色がカラフルで、真っ赤な奴がいるかと思ったら、真っ青な奴もおり、どすピンクの奴も全身ゴールドというど派手な奴もいた。
やっぱり縞模様の奴とかドット柄のやつもおったんやろうか。
更に鼻が四つあるとか、目が一つのやつとか描写が過激になってゆく。
これ、宇治大納言さんが夏暑いのかなわんくて別荘の庭に筵を引いてゴロゴロしながら
道ゆく人に、
「ねぇねぇ、なんか面白い話ない?」
ってして集めた話感がすごく出てて良いと思う。
話してるうちに聞き手の相槌のうまさに話を盛っていく感じというか、
サービス精神というか、
めっちゃ好き。
この宇治大納言という人もコミュ力お化けでおかしすぎる。
普通、家の前を通っただけの人に「なんか面白い話してよ」って言わなくないか?
そして面白い話していく宇治の皆さん。
いや、すごいパリピやん。
昔の日本人て本当にラテン系のパリピ多いな??
多分、この本に載ってるこの話を聞くたびに宴会が開かれ
飲めや歌えの大騒ぎだったろうことも想像に容易い。
宇治拾遺物語といえば、芥川龍之介がリメイク版をガンガン出していることで有名だが
芥川版ほどジメっとしていない。
また昔話の原作でもあるが、あんまり教訓めいてもいない。
馬鹿としか言いようがない。
馬鹿としか言いようがない、で終わってしまう話もたくさんある。
これはただ翻訳した人のセンスが私にバッチリだっただけかもしれぬが
多分この軽いノリが本当のような気もする。
どうですか、町田康さん、
キケロ書簡集とかも翻訳、してみませんか?