コラボから考えるサンリオの新しい戦略
1.最近よく聞く「サンリオコラボ」
こんにちは。
毎日、ピューロランドからフーモアに通っている根本ひなっちです。
最寄り駅にサンリオピューロランドがそびえ立っており、いつも懐かしい気持ちにさせられます。
そういえばサンリオといえば、わたしが最近ハマっている”ヒプノシスマイク”とコラボしたようです。
(バナーです。めっちゃかわいい…。)
このように、自分の意識を占めているコンテンツ同士がコラボしたので、サンリオと女性向けコンテンツについて考えてみたいと思い、この記事に至りました。
「サンリオコラボ」が馴染んでくるほど広く認知されてきたということは、サンリオはオタク領域への展開を狙っている…?
この疑問を解消するべく、データを元に色々考察していこうと思います。
2.サンリオはどんなふうにコラボしているのか
それではまず、サンリオコラボの件数もろもろを見てみましょう。
本当はもっと年数をさかのぼりたかったんですけど、見つけることができず…無念…。
それぞれ年間の総数で行くと2018年が67件(5.58件/月)、2019年現在までが52件(5.77件/月)となっています。ペースとしては同じくらい。
最初に注目してほしいのがそれぞれ上のグラフで、女性向けコンテンツとのコラボ数です。
(ここでいう女性向け/オタクコンテンツは「Pixivにて2万件以上のタグがつけられていること」を基準としました。)
2019年夏時点で、去年の総数と同じくらいになっています。
まず、サンリオさんの中でも去年以上に現在のオタクコンテンツやそれへのコラボがホットであるという認識が強まっていることが伺えます。
さらによくよくデータを見てみると(割愛しています)、冬はあまりコラボが行われていない様子…
なぜ…?夏と冬に差が出るのはなぜ…?と考えました。
まずもって外出は減りますよね。冬寒いし。
ほかに考えられる要因ってなんでしょうか。
オタク×夏冬といったらもう、アレしかないですよね。
そう、コミケです。
かの有名なオタクの祭典、コミックマーケット。
あれは夏と冬に開催されているのですが、どうやらここ数年は冬のコミケのほうが来場者数が多いようです。(下画像参照)
(引用:コミケ公式サイト)
つまり、冬はオタクが盛り上がるからコラボをわざわざする必要がないのでは?と推測することができます。
(だがしかし夏と冬の来場者数、めちゃくちゃ微々たる差である)
加えて夏のコミケ開催月である8月も、オタクコンテンツとのコラボは非常に少ないです。
同様に、コミケの準備で忙しいであろう開催前月もコラボ数は少なめです。オタク心わかってるなあ。
下は、去年今年のサンリオコラボで最も件数の多かったコンテンツ(つまりその年にトップで人気があったと推測できるコンテンツ)になるのですが、
コンテンツ名(年)/開催月
Fate GrandOrder(2018年)/1月,4月,9月,11月
ヒプノシスマイク(2019年)/2月,3月,5月,10月
やっぱりコミケに被っていませんね。
サンリオさんの「ホットなコンテンツとはガンガンコラボして擦りまくるけど、女性オタクの人生とはうまく融合したい」という図々しいんだか優しいんだかな意図が見て取れます。
ヒプノシスマイク(以下:ヒプマイ)に関してですが、4月時点で「9月にライブやるよ!」っていう情報が発表されました。つまり、ファンにとっては4月以降めちゃくちゃヒプマイに意識が持っていかれるわけです。
そして畳み掛けるように情報解禁後の5月、ライブの熱冷めやらぬ10月にコラボカフェ。
ゴリゴリに攻めてますよね。ファンなら行っちゃう。
本記事では女性オタクに限定してしまいましたが、コミケの参加率も男性と女性だと2倍近く女性が多いんですよ。女性オタク強し…。
だからこうしてサンリオさんも、積極的に女性向けコンテンツとのコラボに乗り切っているんじゃなかろうかと思っています。
明確にマーケティング対象がわかる作品とコラボすることが多いので、サンリオの市場調査力、そして攻め力、身に着けたいですね。ぜひ方法を教えてくれって感じです。
3.そもそも、どうしてコラボという戦略をとったのか
ここまでは「サンリオがオタクコンテンツとコラボする際の戦略」について述べてきましたが、そもそもいつから/なぜコラボするようになったのでしょうか?
ここからは、「なぜサンリオはオタクコンテンツをターゲットにしたのか」という視点で他のデータも探していきたいと思います。
まず、サンリオの年間売上を見てみます。
(引用:東洋経済)
2016年から急激に下落しています。一体何が…!?
サンリオの「業績予想数値修正の理由」によると、どうやら北米を主とした海外ライセンス事業が振るわなかったようです…。同期清田の調べによると欧州のライセンス契約違反があったり。
そこでサンリオは、国内展開の拡充にシフトしました。
2016年以前に生み出されていた”SHOW BY ROCK!!”の展開拡大を始め、2016年”サンリオ男子”と、オタクをターゲットに歩んでいくこととなります。
ちなみにこの2作品、それぞれ2016年と2018年にアニメ化しております。
いやあホント当時は衝撃的だったなあ…
「サンリオのオタク向けコンテンツって何!?ついにそこまでやるの!?」って思いましたもん。
いざオタク向けに渡航したは良いものの、オタク市場は太平洋のごとく広く、マリアナ海溝のように深いですから、もちろん今までのようにオリジナルのキャラクターのみで戦うのはいくらサンリオさんでも至難の業かと思います。
そこで今回の核となるコラボという戦略をとったものと推測できます。
だからこそ、2017年からオタクコンテンツとのコラボが増え、現在に至るのでしょう。
さて、2019年現在、売上が完全に回復した!とまではいかないものの、2015~2017年の大幅な減少に対し比較的減少幅を抑えることができたようです。
また、コラボに多いコラボカフェについても、世界観はもちろんのこと、ファン層にも目を向けたメニューなどが好評なようです。
Twitterなどで口コミを見てみると、ファンの方々も楽しんだ旨のツイートが見受けられ、着々とオタクの人々にも受け入れられていると感じます。
サンリオさんの戦略は成功、と言って良いのではないでしょうか。
4.やっぱりサンリオはすごい
サンリオさんはキティちゃんなどの印象が強く、「子供向け」というブランドイメージを持たれているようです。わたしがサンリオピューロランドを見るたび「懐かしい」と思うのもそういったイメージからくるものだと思います。
そのイメージを転換するため、オタクコンテンツとのコラボといった取り組みをしてきているわけですが、既存のもの(本記事でいうコミケやもとから存在する作品)と上手く混じりあっていく姿勢というのは、作品への敬意としてあるべき姿だし、新しい何かを生み出していきたい自分たちにとって見習うべき態度だなあと思います。
歴史あるブランドなのでイメージがかなり固まってしまっている中、いかに「サンリオ色を消さずに新しい魅力をつくる」「既存作品を壊さずにどうコラボをするか」という課題に真摯に向き合い、やりきっているサンリオさん、やはり凄い。
サンリオは、凄い。
わたしから始まる新テーマ、今回は「好きなエンタメコンテンツ」でした。今後の内定者+インターン生5人がどんなものを推すのか、ぜひとも楽しみにしていてください。
以上、サンリオだとKIRIMIちゃん推し、今日も今日とてピューロランドを横目にフーモアに出社する根本でした。
追記:来年のサンリオキャラクター投票は、ぜひKIRIMIちゃんにご投票お願いします。