『折り紙のゾウ』 # 秋ピリカ応募
封を開けると、短い手紙と折り紙のゾウがふたつ。
グレーの紙で折られていたが、かなり色褪せている。
足を広げて、立たせてみた。
大きい方が母親、小さい方が子供だ。
勝手にそう思った。
「悩みましたが、この象の折り紙をやはりあなたにお届けしたいと思います」
小学校の6年生だった。
2学期の席替えで、私は拓人と隣り合わせになった。
授業中、彼が机の下でゴソゴソしているので覗くと、折り紙を折っている。
顔は黒板に向けたまま、親指と人差し指、中指が別の生き物のように紙を折っていく。