僕が消しゴムになったら
僕は自己肯定感が低い
この界隈での知名度は高いが人気投票では上位に入らないだろう
1つ目の理由としては 1コじゃ何も出来ないからだ
無人島に文房具をひとつ持っていくなら と聞かれて ''消しゴム'' と答える者はいないだろう
鉛筆やシャープペンシルが居てこその消しゴムだからだ
2つ目の理由としては あまり違いがないことだ
文房具好きと話すとそれぞれの持っているこだわりの話になる
シャープペンシルはどこのがいい 蛍光ペンはここのしか使えない 色々聞くが 消しゴムについてはあまり言及されない
シャープペンシルの芯ですらあんなに種類があるのに
人気投票で数が取れないのにはもう1つ理由がある
シンプルに ''使わなくなる''
高校生ぐらいまではシャープペンシルとセットで使われている消しゴムだが 大学生 社会人にもなると ボールペンを使う人が増えるため 必要なくなってしまうのだ
この3つの大きな理由が人気投票の数に関わっている
僕の自己肯定感が低い理由は これだけではない
僕の使われるタイミング だ
鉛筆さんが一生懸命書いたものを 消す
シャープペンシルさんが一生懸命書いたものを 消す
自分の作品を消されたら誰だって怒りが湧いてくるだろう
そう 文房具達に嫌われているのだ
硬いペンケースの中では端っこに寄せられ
柔らかいペンポーチの中では暗いところで シャープペンシルやカラーペンに踏んず蹴られている
清潔感がない見た目のせいなのか
消しゴムのカスを散らかしてしまうからなのか
間違えてイラッとしている時に消しゴムが必要だからなのか
持ち主にすら嫌われている可能性もある
だって
だって…
いつもシャープペンシルで刺されるのは僕だった
最後まで使ってもらうことも無く
体は引き裂かれ 見つけて貰えなくなる
新品の頃は あんなにカドを使うことを恐れていたのに
着ているケースが汚れないように工夫してくれていたのに
最後は素っ裸だ
でも 僕の背中に夢を書いて 使い切ると 叶うんだよ
これは僕にしかない力
大切にしてね
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