こっちゃこい
ーあゝ夏休み
夏休みの旅行を視野に入れ、柳田国男著『遠野物語』を読んで以来、この作品の舞台になった岩手県遠野市、あるいは岩手県に誘われている気がする。「こっちゃこい、こっちゃこい」と手招きされているようだ。もちろん、行き先の候補地をより深く知るため、わざわざこの作品を読んだのだから、以前に比べて行きたいという気持ちは強い。ただ、どこか決め手に欠ける感があり、心を決めかねている。夏休みは近い。いっそ、このお誘いに乗ってみるのも一手かもしれない。
理想とのギャップ
旅行先での過ごし方。理想は、日がな一日、何も考えずにボーッと過ごすことだ。これまでのしがらみを切り離し、豊かな自然に包まれながら、好きなときに食べ、好きなときに寝て、好きなときに遊ぶー。そんな風に時間を使いたい。いつでもできるだろうと思われるかもしれないが、これができそうに見えて、なかなかできない。
行き先を遠野に決めた場合、きっと理想は叶わない。『遠野物語』を読んだばかりに、カッパ淵(岩手県遠野市)に行きたい、伝承園(同)に行きたいということになり、バタバタするに違いない。行けば行ったで、あらためて『遠野物語』を振り返り、考えることが増える。無為に過ごすという理想とあまりに開きがある。そこが心を決めかねているポイントだ。
重なる偶然
こうした中、不思議なことが続いている。つい先日、奥さんと一緒に銀座(東京都中央区)周辺を何の気なしに散歩していて、ハッと気付くと、岩手県のアンテナショップ「いわて銀座プラザ」の目の前だった。このときは、遠野に呼ばれてると冗談交じりに笑う余裕がまだあった。
ただ、そこで終わらない。ここのところ、いつにも増して、米大リーグ・エンゼルスの"二刀流"大谷翔平の応援に力を入れているところだが、大谷翔平の出身高校である花巻東高校は、岩手県花巻市にあることにあらためて気付く。あれま、また岩手県だという感想。再び遠野が頭に浮かぶ。
さらに別の日。ふとテレビを付けると、全国高校野球選手権大会が中継されていて、画面に映し出されていたのが岩手県代表の一関学院(岩手県一関市)。こう立て続けに岩手県を目にすると、偶然が重なっただけだと頭で理解していても、どうしても遠野に引き寄せられている気がしてくる。
"外堀"
夏休みが日ごとに近づく。いっそのこと、この"誘い"に乗ってしまおうかとも考えている。奥さんに相談すると、そもそも行き先は遠野だと思っていたそうだ。『遠野物語』を読んでいろいろ調べている姿を見て、自然とそう思ったとか。知らぬ間に、決心を阻む"外堀"は埋まっていたらしい。
次に誘いを感じたら、いよいよ心を決めよう。
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