"ちょっと痛い子"疑惑!?
心の一人相撲でグッタリ
奥さんが"ちょっと痛い子"を見るような生暖かい眼差しを向けている。辛辣な言葉を浴びせられる恐れがあるので、敢えて気づかない振りをして逃げ切りたい。原因に思い当たる節がないわけでもない。イチロー引退に一人で落ち込み、その後、今度はサッカー日本代表の生き生きした姿に一人ではしゃぎ、結果、気持ちの大きな振れ幅に耐え切れず、グッタリしていたためだろう。個人的には、こうした"ひとりずもう"を間近で見られる機会に感謝してもらいたいが、そんなことは口が裂けても言えない。
大きな喪失感
イチロー引退による喪失感は大きい。これまでテレビやユーチューブ(YouTube)で、イチローが素晴らしいプレーでスタジアムを湧かし、スタンディングオベーションを受ける姿を見て、目頭が熱くなったことは一度や二度ではない。我が事のように誇らしく、それが明日を戦う勇気や活力にもつながった気もする。
そんなイチローの姿をもう見ることができない。心細さと寂しさが押し寄せ、気が滅入った。引退を決める以前のイチローが、日本での開幕戦を"ギフト"と呼んだ時点で嫌な予感もしたが、「最低50歳まで現役」(イチロー)との言葉もあり、イチロー引退を受け入れる心の準備がほとんどできていなかった影響も小さくないだろう。
気分アゲアゲ
身内の葬式のような気分さえした。これまでのイチローの足跡と凄さを奥さんに訥々と説明し、まるで故人を偲ぶような雰囲気。ところが、そんな気分も数時間後に一転する。サッカー日本代表が出場する「キリンチャレンジカップ2019」で、"森保ジャパン"が南米の強豪・コロンビア代表相手にほぼ互角の戦いを演じたためだ。
中島翔哉の力強い動きに興奮した。屈強なディフェンスを複数背負ってもボールを取られず、相手ゴールを脅かす。味方への絶妙なパスで決定機を幾度となく演出する。アジア杯では辛うじて準優勝になった印象があったが、この日の試合は森保ジャパン当初の強い日本代表の姿に戻った気がして、先行きに期待も膨らむ。気分は一気にアゲアゲだ。
イチロー引退の喪失感を埋めるのに十分な効果だったと言える。数値に例えれば、"イチローショック"で落ち込んだ分を取り戻し、ほぼプラスマイナスゼロの状態に回復した感じ。ただ弊害もある。気持ちの振れ幅が大きかったせいで、身体の疲労感が半端ない。しばらく"うわの空"の時間が続き、沸かした風呂がすっかり冷めてしまった。
波風立てず
こうして奥さんから不本意な視線を向けられることになるのだが、こんなひとりずもうを目にする機会はなかなかないはずだ。その辺りをもう少し前向きに捉えてもらいたい。ただ風呂が冷めたことへの奥さんの苛立ちは早々に収まりそうにない。こちらから何か言おうとすると、自ら墓穴を掘る恐れもあるので静かにしておく。この程度で波風は立てる必要はない。
そう、これが私の生きる道。
(写真〈上から順に〉:愛媛県の無形民俗文化財である一人角力(ひとりずもう)の奉納=広島県観光連盟、引退会見に臨んだイチロー=ハフポスト、気分アガアゲと言えば思い浮かぶのが氣志團=YouTube、ヒット曲「これが私の生きる道」を歌ったPUFFY=NAVERまとめ)
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