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苦笑いの平四郎

ー推し本、読まれず

「何か面白い本ない?」ー。そう尋ねられると、必ずといって良いほど紹介する一冊がある。藤沢周平著『よろずや平四郎活人剣』がそれ。剣の腕前を生かし、長屋を拠点に、いろんな人たちの悩みを解決する元旗本・神奈かんな平四郎の活躍を描いた時代小説だ。義理人情にあふれ、読み終えると元気が出る。先日、奧さんに相談されてこの本を薦めた。ところが、その後、奥さんが読んでいる姿は見かけない。平四郎も苦笑いしていそう。

内容に太鼓判

「古本屋に行ってみたけどなかったよ」という報告を一度受けて以来、この件については音沙汰ない。それどころか、最近、違う本を読み出したようだ。わざわざブックカバーをかけているのは、どこか気兼ねがあるせいか。

無論、薦められたからといって無理に読む必要などない。ただ、時代小説が苦手とか設定が受け容れられないとか、ひと言があっても良かったような。こちらから聞くのもどこか違う気がして身動きが取れず、もどかしい。

もっとも、この本の内容が面白いのは間違いない。NHKでは『新・腕におぼえあり』のタイトルで、テレビ東京では『よろずや平四郎活人剣』のタイトルで、それぞれテレビドラマ化していて、それが何よりの証拠だ。

予想外のいちゃもん

奧さんと連れ立って買い物に行ったとき、ふらっと古本屋に訪れた。目当ての本は当然、『よろずや平四郎活人剣』。すぐに見つかり、買おうと手に取った矢先、「ちょっと本が汚れてるよ」「汚れている割に値段が高いね」と奧さんから予想外のいちゃもん。読み終えた後、どうもフリマアプリ「メルカリ」で売りたいらしい。

重要なの、そっち!?本の内容、関係ないじゃん。

(写真:『りすの独り言』トップ画像=フリー素材などを基にりす作成)

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