人間椅子と「檀家」
メジャー・デビュー30周年を迎え、海外でもブレークの兆しがあるロック・バンド「人間椅子」。ヘビーメタル、あるいはハードロックな旋律だが、歌詞に仏教を思い起こさせる楽曲が多い。そのため、このバンドのファンは総称して「檀家」と呼ばれているそうだ。実にユニークな発想で面白い。しきりに感心していると、遠くから冷めた目を向ける奥さんと視線が合った。
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条件揃う
歌詞に仏教を彷彿させる曲が多い背景には、ギター・ボーカルを担当する和嶋慎治が駒澤大学仏教学部卒で、宗教分野への造詣が深いことがありそうだ。オカルト雑誌『ムー』を愛読している影響も一部にあるだろう。
曲を聴きこむほどに、そんな印象を受ける。他方、ベース・ボーカルの鈴木研一が身に付ける衣装は、ここ10年、袈裟など法衣だ。人間椅子を支えるファンを総称して「檀家」と呼ぶにふさわしい条件が揃っている。
巧いネーミング
人間椅子と同じく、ファンに独自の呼び名がある事例を幾つか思い浮かべる。デーモン木暮が率いたロック・バンド「聖飢魔Ⅱ」は、ファンを「信者」と呼び、ファンも自ら信者と名乗った。
お笑い芸人・有吉弘行がパーソナリティーを務めるラジオ番組では、視聴者を「ゲスナー」と呼ぶ。同じくオードリーも「リトル・トゥース」と呼び、芸能界にもリトル・トゥースを公言するタレントが少なくない。
オードリー・若林正恭によると、ミュージシャンのレディー・ガガのファンが「リトルモンスター」と呼ばれているところにヒントを得たという。テレビ番組で共演する日向坂46のファンは「おひさま」と呼ばれるとか。
ももいろクローバーZ(ももクロ)は、ライブを「合戦」、合戦に集まるファンを「モノノフ」というらしい。ほかにも調べれば、もっとたくさん出てきそうだ。どのネーミングも一捻りしていて面白い。
好き嫌い
ただ、それでも人間椅子のファンを「檀家」と呼ぶ発想が一番巧いー。そう思いつつ、人間椅子のミュージック・ビデオ(MV)を見ていた。視線を感じて目を向けると、奥さんと視線が合ったが、すぐに逸らされた:
奥さんは人間椅子をあまり好きではない。
(写真〈上から順に〉:人間椅子初のEUツアーの様子=LMusic、人間椅子のオリジナルメンバーである鈴木健一〈写真左〉と和嶋慎治=SPICE、"和製ブラック・サバス"とも呼ばれる人間椅子。海外でのブレークに期待したい=リアルサウンド)
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