弾丸・信州上田行(4)
ー蕎麦屋「刀屋」の爆盛り体験
手打ち蕎麦屋「刀屋」(長野県上田市)の列に並んだわが夫婦。「次の方どうぞ」と声をかけられ、待ってましたと言わんばかりに店の暖簾をくぐる。目に飛び込んできたのは、昭和を感じさせる和風な空間。木造りの机に椅子、奥に畳を敷いた小上がり。祖父母の家を訪れたような懐かしさがある。ただ、常に満席の店内。給仕役のおばちゃんが慌ただしく動き回り、ノスタルジーに浸れるはずもない。そんなところに運ばれる爆盛りのもりそば、山盛りの天ぷら。驚きのあまり、奧さんと顔を見合わせた。
粗相連発
ネギ、ワサビ、おろし大根の3種の薬味に次いで運ばれたもりそばを見て、夫婦揃って目を丸くした。極太の二八蕎麦がこんもり盛られたその姿は、もはや富士山よ、富士山。普通盛り、中盛りでこんな感じだと、大盛りはエベレストか。想像するだけでワクワクする。
「普通盛りでせいろ3枚分、中盛りでせいろ2枚分」ー。そう説明するこの店のおばちゃんの言葉は、決して大げさではなかった。急きょ当初の注文を普通盛りから中盛りに変えた奧さんは賢明だったと言うべきだろう。「ダサいぜ」などと茶化してごめんなさい。
夫婦でシェアした天ぷらの盛り合わせも、揚げ立ての季節の野菜が所狭しと皿に並び、見た目だけでも心が躍った。気付かず、マイタケの天ぷらを一人で平らげたのはご愛敬。お詫びにカラメル味のコハクかんてん(同200円)を追加オーダーし、奧さんに許しを請うた。
魅力満載
この店の打ち立ての蕎麦、揚げ立ての天ぷらは格別だ。ボリューム満点でコストパフォーマンス抜群なところも良い。ただ、それだけではない。どこか懐かしい店内の雰囲気、溌剌とした店のおばちゃんたち、文豪・池波正太郎が通った逸話など、人を惹きつける要素がたくさんある。次は両親や友だちも誘って訪れたい。なお、予想以上にお腹が膨れたため、残念ながら、蕎麦屋のはしご計画はここで断念。
この後、上田城に向かうことに。目的は当然、腹ごなしの散歩。(続く)