previous color 1. ゲーム配信③
前話
押したくない。
深くため息をつく。笠置の住むマンションの玄関口に桜は立っていた。目の前には部屋番号を押して呼び出すインターフォン。
桜は三度ためらい、ようやく笠置の部屋番号を押した。
能天気な呼び出し音が鳴り、スピーカーから笠置の声が聞こえた。
『桜ちゃん?おー、よくきたね、今開けるよ』
通話が切れる音と合わせて、ガラスの自動扉が開いた。
桜は扉をくぐると、エレベータに乗り、笠置の部屋のある階へ向かった。上昇するエレベータと反比例して、桜の気持