見出し画像

キャリアに迷い続ける地方のとある理学療法士がmJHONSNOWに参加した話〜これまでとこれから〜


自己紹介

・氏名:kinoi
・職業:理学療法士(Physical Therapist:PT)
・資格:呼吸療法認定士、認定理学療法士(呼吸)、呼吸ケア指導士

・経歴:公立高校を卒業後、某大学の理学療法学科を卒業し、2011年PT免許取得。呼吸器専門病院にPTとして勤務。
主に呼吸器疾患患者さんを対象に入院・外来患者さんのリハビリを主に担当し、法人内のデイサービスや老人ホームなどで様々な経験をさせていただきました。
その後、地域の三次救急病院に転職し現在に至る。

・なぜ理学療法士になったのか
 最初は、人を対象とした仕事がいいかな、何かスポーツに携われたらなと思っていたところに、両親が福祉系の影響もあってか、理学療法士という仕事があるらしいということを知りました。ただ、リハビリを見たことも経験したこともなく、"高齢化社会なら仕事はあるかなー" "どこかでスポーツとも関われるかも"という何となくのイメージと半端な気持ちだけでオープンキャンパスも行かずに進学を決めました。
 高校時代はサッカーに明け暮れた挙句、絶望的に勉強ができず、何とかひとつの大学に合格。大学の学費は年間百数十万(近隣で一番安いとこ)・・
 これを4年間と考えると親にいうのも非常に気が引けましたが、浪人したとて国立に行ける気は皆無でしたし、考えた結果、奨学金と片道1時間半の通学を選択。
しんどかったですが、結果的にはこの大学に進学したことで呼吸器リハビリテーションの面白さに出会い、今の礎となりました。両親に感謝。

・興味、関心:呼吸リハビリテーション(以下、呼吸リハ)、がんのリハビリ。後にも記しますが、呼吸リハの効果はある程度明らかにされてきました。
今後はリハビリの費用対効果、特に呼吸器疾患に対するリハビリは医療経済的に有効なのかをデータベースを使って示せないかと思っています。これも漠然と・・

・呼吸リハビリとは?
 あまり馴染みのない方向けに。個人の意見を多分に含みます。
 定義は、"呼吸リハビリテーションとは、呼吸器に関連した病気を持つ患者が、可能な限り疾患の進行を予防あるいは健康状態を回復・維持するため、医療者と協働的なパートナーシップのもとに疾患を自身で管理して、自立できるよう生涯にわたり継続して支援していくための個別化された包括的介入である"
とされています。
(日本呼吸ケアリハビリテーション学会:呼吸リハビリテーションに関するステートメントより:https://www.jsrcr.jp/publish/file/rehabilitation_statement2018_v2.pdf)

 対象の疾患としては、肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)、肺がんなどが多いところかと思いますが、神経筋疾患、小児、手術後など幅広い適応があると思います。近年では、集中治療室(ICU)での重症な方を対象として早期から介入をしていくことも当たり前になりつつあります。
 理学療法士は、急性期は受傷後早期の離床や排痰、運動機能の回復促進を求められることが多いですが、肺炎の再発予防、COPDの増悪予防のための生活指導、疾患教育的な内容も必要であり、海外では予防的な関わりに関する報告も多数出されています。
 エビデンスに関しては、COPDのリハビリテーションを対象としたCochrane review(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25705944/)にて今後のRCTは不要とされるほどに効果(呼吸困難感の軽減や運動能力の向上など)は明らかと言われています。
 エビデンスがしっかりしているところに学生ながら魅力を感じましたし、実際に患者さんと向き合った時に知識が活かせた感覚がとても嬉しく"役に立てた達成感"が興味をもったきっかけだったと思います。

・キャリア:私の話に戻りますが、これまで医療分野、介護分野をそれぞれ経験させていただきました。最初に勤務した病院は入院患者の9割が呼吸器疾患という全国でも珍しい病院で、呼吸リハの発祥とも言える病院でした。学術活動も盛んで、リハ科は年に1回必ず全国学会で演題発表をするというミッションがありました。そんなに志のない状態で職業選択をしたので、"まずい・・"と思っていました。
数ヶ月に1回Drも交えた英文抄読会があり、最初はこれが苦痛で仕方なかったです。
英文なんて高校以来触れたこともなかったので、アブストラクトを訳すのに1ヶ月くらいかかっていた気がします。ところが繰り返しやっていると何となく読め出して、アブストラクトをスラスラ読めるようになり、内容を理解できるようになってからは徐々に楽しく思えてきました。
 PCを開けばとりあえずpubmedを開いて気になっているワードで検索し、日々新しい論文を探して読み漁り、論文を読むのが趣味的な位置までになっていたと思います。
 そこから研究発表への意欲も徐々に高まり、初めての発表は全国学会。
何となくで進路を決めた自分からは考えられない世界で圧倒されましたが、同じ分野をこんなに極めている人がいるのかと思えてとても楽しかったです。
環境の力ってすごい。

 こうして業務と並行した学術活動は、おおむね年1回ペースでは何とか発表を続けてきました。論文は(和文ですが)1本だけ書きました。
より専門的に学びたいと思い、何度も大学院進学を考えていましたが、学費を払いながら生活が成り立つイメージができず断念。

学会に行って発表やシンポジウムなどで活躍される方は当然ですが、博士課程は修了されている。
こんな方々の発表、講演を聞くたびに、大学院や修士、博士という称号に憧れのようなものを抱いてしまいますが、
"今から院卒になって何になるのか?"
"PT+大学院卒業が増えている現状で、他との差別化も難しい?"
"収入面でのメリットが無ければ自己満足の世界なのでは?"
"自己満に数百万も出せる余裕はない"

などなど。。。気持ちの問題もあると思いますが、こうした様々な意見のハードルを越えられずに時間は過ぎ、気づけば30代半ば・・
これらは学歴コンプレックスとなって私の中に住み着きました。

家庭も持ち、だんだん自分のための時間的、経済的な余裕が無くなり、どことなく閉塞感を日々感じていたところで"公衆衛生"というワードを目にし興味を持ちました。

これまでリハビリに関する経験をしてきた中で、
患者さんがリハビリに対して支払った金額に見合った効果があるのか?といった、
医療のコスパというか、医療経済的な疑問も感じていましたが、到底自分1人では何もできないし、そもそも何からして良いのか分かりません。
専門職大学院で学べそうかなと思いましたが、仕事終わりに通えそうにないという地理的なアクセスの問題もありこれまた断念。

やっぱりダメかと悶々としていたところでmJOHNSNOWというオンラインスクールを見つけ、色々迷いましたがダメもとでやってみようと入会申請をさせていただきました。

 mJOHNSNOWに参加した目的

公衆衛生が一体何をどう表現する学問なのかを知るためが最初の目的でした。
また、Rやデータベース研究についての話も聞けるとのことで、今自分が関心を持っていることについての情報が得られるのではないかと思いました。
そして、これらの学びを通して、今後のキャリア形成のきっかけとなる"何か"が掴めるんじゃないかと思い、参加させていただきました。

 mJOHNSNOWに参加して感じたこと

メリット

①運営コンセプト
代表の廣瀬さんの"教育格差の下層という辺野を生きる方々にこそ、一流の知を届けなければならない"という言葉に惹かれました。
自分が勉強してこなかったのが悪いんですが、こうして学びの機会を創作してくださり、破格の値段で一流の講義が聞ける。最高に知的好奇心が刺激されます。
それに、運営の方々の丁寧なフォローが素晴らしく、学のない私でもなんとかできるんじゃないか?という気持ちにさせてくれます。
夜でもSlackにコメントをくださったりするので休まれているのか勝手に心配しています。
オンデマンド動画
子どもがまだ小さくライブ講義はほぼ出られない私にとってオンデマンドがあることが非常に非常にありがたいです。
"いつでも" "どこでも"が叶う環境が整っていると思います。
そして、講義の熱量がすごい! コメントなどでリアルタイムに質問も投げられるし、自分も何かコメントしなきゃという気持ちがより講義を理解しようとさせてくれます。この辺りの講義の工夫はさすがだなと感銘を受けます。
過去の講義動画の疑問があってもSlackで聞ける環境もあり、誰1人取り残さないという気概が感じられます。
今後はもっと活用していきたいと思います。
研究方法、統計について学べる
これまでの研究発表では、先輩の助言を基にほぼ独学でしていましたが、"こういう視点で考えるのか" "論文のここを読むのか"などちゃんとした研究方法を学べる機会をいただいています。
因果と相関、交絡など。。言葉は知ってるけど、どう対処したらいいか知らないというものが多数出てきます。
特に統計は避けまくってきたので、この機会にちゃんと身につけたいと思います。
④Slack
毎日のように色々な情報が更新されていて、多数のコンテンツを追跡するのに役立っています。
多彩なバックグラウンドの方が多数所属されており、日常では出会わないであろう方々の会話を日々Slackで眺めるだけでも勉強になります。高度すぎて"なんかすげーな・・"と傍観していることも多いですが。。
所属や経歴が雲の上すぎて、ちょっと怖気付いていますが、少しでも吸収できるように、自分も何か還元できるよう頑張りたいと思います。

デメリット(個人の問題や要望含め)

・コンテンツが充実しているからこそですが、多すぎてどこから手をつけて良いのか迷う
・動画がダウンロードできたら、外出先でギガ死せずに見れるので助かる
・参加されている方の経歴や話の内容がすごすぎて、今後ついていけるのか不安
・講義を消化する時間の確保

 公衆衛生の「こ」の字も知らないですし、統計なんて統計の解説サイトと先行研究を参考にして、「とりあえずやってみたらなんかいい感じだったよ」的に続けていた私には、何が分かっていないのかを言語化できておらず、講義動画を理解するまでで精一杯・・
でも知的好奇心が満たされているという実感は非常に感じています。
今は、質問やコメントができていませんが、いずれは能動的に聴講できるようになりたいと思っています。

あとは、時間の確保と会費をお小遣いでどこまでまかなえるか・・
でも、このコンテンツ量とサポート体制で月額約6000円は破格です。
ありがたや。

学びを重ねて成し遂げたいこと

なんとなくでPTになって、いろんな世界を見させていただいて、経験もさせていただきました。
ただ、現在のキャリアを続けてこれから先大丈夫なのかという漠然とした先行き不安と学歴コンプレックスと葛藤しながら日々もがいています。

日常業務で手一杯ですが、何とか時間を作り
「大学院に行ってなくても論文を書けるPT」
「研究と臨床をつなぐ役割」
が今の自分が目指せる姿かなと思っています。

mJHONSNOWでの学びを通してまずは、正しく論文やデータを読み解く力を身につけたいと思います。
本当の意味で論文を読める用になること。そして、書けるようになって少しでも世の中のためになる仕事ができれば。。。

・短期目標:
 what Ifを読み進めて、研究方法をちゃんと理解すること
 Rを使って手持ちのデータを解析できるようになりたい
 講義動画を理解してコメントする

・長期目標:
 前述した関心ごとについての論文もしくは学会発表をしてみたい

・究極目標:こんなことできたらいいなレベル
 呼吸器疾患における急性期リハビリの費用対効果を何かしらで示すこと(QALY?)
 呼吸器疾患患者におけるリハビリの効果をデータベースから示すこと(DPC?)
自分がメインでなくても誰かのこういう仕事に関わらせていただける機会が得られそうなのもこのオンラインスクールの魅力かもしれません。

書いてみたはいいものの現時点では全くできる気はしていませんが、書くのは自由。

さぁ、どこまで実現できるかなぁ。

いいなと思ったら応援しよう!