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エッセイ(9)「かわいそうなお客様たち」

コンビニエンスストアのバイト歴は、かれこれ14年になる。
店員歴を思い出してみると、バッグ屋、お茶屋、パッチワークキルト手芸店、百貨店の洋服店など、13年もやっていた。
合わせると、27年。
今年61歳だから、人生の約半分が販売の仕事に従事していたことになる。
医療事務員やホテルの部屋の清掃員もしたことがあるが、向いてなかった。
かと言って、店員が向いているかと聞かれたら、まだまだ疑問だ。

ただ、長い店員歴と年齢的な影響で、カスタマー・ハラスメントに対する耐性は持っている。
若くて販売・接客歴が短いと、暴言や理不尽な仕打ちに心が折れる。
わたしもそうだった。
そんなわたしも、苦しみながら、カスハラ耐性を獲得した職場があった。
百貨店である。

今現在の百貨店の状況がわからないので比較できないが、平成時代は、お客様のどんなクレームも無理難題も受け入れていた。
クレーム愛好家、マウンティング活動家、被害妄想広報家など、警察へ、あるいは精神科へ行ってほしいモンスター級のお客様がゾロゾロやって来る。
その初期対応は、たいてい、わたしのようなペーペーの店員。
敵は弱いところを突いてくるのだ。

先日訪れた明月院のうさぎさんとかめさん

半泣きしながら、やけ酒しながらも(笑)怪獣たちに立ち向かい(ほとんど先輩たちに助けられた)、わかったことがあった。
彼らは、反論できない店員にしか強く言えない小心者で、感情の高まりを自身で鎮められない子どもなのだ。
みっともない、カッコ悪い、を通り越して、かわいそうな人々なのだよ。

百貨店販売員時代に得た指標のおかげで、どんなお客様がいらしても、それなりの対応ができるようになった。
近年は、カスタマー・ハラスメントの認知度も上がって、理不尽な要求をするお客様も少なくなってきている。
しかし、小心者や幼稚な大人はある程度、存在する。
出会ってしまったら、「ちっちゃい男よのぅ」(小心者タイプはほとんど男性)「パパやママにお世話されなくて寂しいでちゅね〜」などと心で呟いてやり過ごすようにしている。

徐々に多くなっているのが、年配の前頭葉がくたびれた方々。
このあたりのお客様の対応は、まだまだ勉強中である。
何か基準のようなものができたら、ここで発表しようと思う。

-2025.2.21-

最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
またお寄りくださいね。




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