名文とはどんな文章か？

名文とはどういう文章のことを指すのだろうか。

たとえば、こんな要素を持つ文章だろうか。
・思いが伝わってくる
・わかりやすい
・読みやすい
・リズム感
・流れの良さ
・面白い
・語彙が豊か
・平易
・・・・・・

丸山才一氏は「文章読本」で、こう語っている。

名文はわれわれに対し、その文章の筆者の、そのときにおける精神の充実を送り届ける。それは気魄であり、風格であり、豊かさである。われわれはそれに包まれながら、それを受け取り、それを自分のものとする

丸山　才一

そしてさらに続ける。

われわれはおのづから彼の精神の充実を感じ取って、筆者が文章を書くことを信じている信じ方に感銘を受け、やがて自分もまた文章を書くことの意義と有用性を信じるのだ。これこそは名文の最大の功徳にほかならない

丸山　才一

名文だと感じるのは、
書いているその人の精神の充実さを感じ取り、
互いに書くことへの思い、意義や有用性を信じるとき。

名文に出会うと、
あっという間にその世界に没入し、
その著者と並走しているような感覚に陥る。

著者の同じ目線でものを見て、その感覚に驚き、喜び、共感を覚える。

そして、丸山氏は名文についてさらっとこう説明する。

君が読んで感心すればそれが名文である

丸山　才一

確かにその通り。

自分が文章を読み、その文章をどう思うか。
美しいのか、醜いのか。
楽しいのか、嬉しいのか。

文章には「人」が出る。
その人となりに触れ、言葉をいつくしみたい。