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「この世の中は牢獄なんだよ」
人が集まる場所で唐突に言われた言葉。それは僕の脳裏に強烈に焼きついたのだ。
要は僕たち人間は罪人であり、この地球は牢獄。人々は争いを経験しながら、世界を反映させて、尚も争いは続いている。
そして人間が歩んだ歴史は、実は僕たちが思っている以上に深く、それは地球を飛び越えて宇宙規模にまで達するのだとか。
僕たちの魂は宇宙由来の存在であり、この地球上で語られる人々の進化の歴史などは正しいものではないと。戦国時代やらローマ帝国やらなどは、結局人々が生み出したただの娯楽でしかないのだという。
僕たち罪人にとって人間の体は殻である。僕たち人間は今見える現実こそが正しいものであり、この地球上で起きる物事が全てだと思わなければならない。
世の中の真実を知るものは、公に口外してはならないし。実際に行動をすれば殺められる。真実は常に闇の中に葬られ、僕たち人間は嘘偽りの真実を植え付けられる。そして僕たちはその常識の中で苦しみ、もがき、挙げ句の果てには回れ右をし、目の前にぶら下がる真実に目を背けざるを得ないということ。
僕たち罪人たちはその牢獄内で序列を作って、その中にでも善悪を作るという。罪人同士が争う世の中で、多くの犠牲が産まれて、命はあっけなくむしり取られてしまうが、皮肉なことに僕たち罪人は転生を繰り返す運命なのだ。
だけど時に僕たちの中には特別な力を持った存在もいる。その存在は罪人を導き、この牢獄の地で己を磨きながら生きるものたちを救い、手を差し伸べていく。
壮絶な過去を持ちながら、他者を思いやれる精神。そして自分を知り、他者を知る存在。ここ最近では急激に増加しているのだそうだ。
「この世の中に適応しづらい、生きずらい、常識やルールに異議を唱えるもの」
その多くは元の世界からこの場所へ移される際に、自身の持つ能力をしっかりと抱えて人間に転生をする。過去の記憶は消し去れれていて、生まれながらにしてその能力に気が付けるものは稀だが、長い年月を要し、徐々に己の目的に気がついていくのだそう。
もし自分自身がこの世の中の常識に適応しずらい、おかしいと感じる、そしてその考えを良しとされて来なかった。そういう辛い過去を経験したのならば、改めて自分が課された本当の役目に気がつく様にしてみて欲しい。
こんなに美しい世界がまさか牢獄だなんて、にわかに信じがたいけれど、でも世の中を見渡せば、残酷な現実が繰り広げられている。
いくら僕たちが罪人であれど、だからと言って命を無下にしてはならないし、他人の人生を奪うなんて事はあってはならない。
僕はこの説を聞いてから、妙に腑に落ちたところはある。思い返せば違和感を感じる事は多かったし、そもそも世の中は上手く出来すぎている感じはあった。だからこそ、僕たちは人間としてこの世を全うし、罪人であるならば、その罪を償い、そして己の魂を磨き上げて、そしてこの世界の次元を底上げてしやろうではないか。
牢獄であるのならば、住みやすい牢獄でも良いのではないか?早くにこの地を離れ、光として成長した僕たちが、元の世界で有意義に暮らせる様に、僕たちは各々に課せられた役割を全うすればいい。
それが僕たちの核である魂が望む姿である。
だからこの世の中は複雑に見える。その絡まった糸の中でもがかなければいけないからだろう。
牢獄帝国。僕たちはあとどれだけここに入れられるかわからない。いつか訪れる釈放の時を待ちながら、僕たちが出来る事に気がついて、目的を知る必要があるのかもしれない…。
この世が牢獄であるならば尚更ね…。
それではまた( ͡° ͜ʖ ͡°)