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ニール・パートが亡くなったと同時に、ロックの大部分が死んだと思った。

それはあまりにも衝撃的な訃報だった。

2020年1月7日。新年を迎えて、人々は新たな一年がより良い年になれるように祈願した。

そしてその一年の始まりは、絶望から幕を明けたのだった…。


カナダの大御所バンド。ラッシュのドラマー「ニール・パート」がカリフォルニア州サンタモニカで亡くなった。死因は悪性脳腫瘍の一種である膠芽腫。三年に及ぶ闘病の甲斐なく彼は呆気なくこの世を去ってしまったのだ。

僕はその訃報をたまたまニュースで見た。衝撃的過ぎて、幾度も幾度も見返した。フェイクニュースであってくれと僕は只管願った。でもそれは紛れもなく現実であった…。


そしてラッシュのキャリアはその日限りで終わってしまった。彼の代わりになれるドラマーは、申し訳ないけどいない。いるはずがない。ゲディー、アレックス、ニールの三人でなければラッシュではない。

ゲディーのボーカルとテクニカルなベースラインも、アレックスの魔法のようなギターも、ニールのエキサイティングでメロディアスなドラムも、この三人だからこそ光る。

そしてもし仮に新たなドラマーを引き連れてアルバムを作れば、「ニールだったらこう叩いたのに」ツアーに回れば、「ニールだったらもっとリズミカルに叩けた」と一生ニールの影を追いかけ続けなくなると思う。

それぐらいラッシュは完璧だった…。


ドラムを叩いている時は、寡黙で気難しそうに見えるが、実は凄く陽気な性格。

日本ではラッシュの人気は海外に比べて高くない。というか名前も知らないケースが多い。実際日本でライブをした回数が著しく少ない。

アメリカンでもブリティッシュでもない、カナディアンプログレの存在が印象が薄いのと、どうしてもピンク・フロイドキング・クリムゾン、イエスの影に埋もれてしまう。

だけど海外(特に米国)ではカルト的な人気がある。アメリカのコメディ映画トレーラーパークボーイズでは、度々ラッシュのコンサートに行ったり、メンバーと共演したりする。

実際この映画の様に熱狂的なラッシュファンは多い。人を寄せ付けづらいプログレというジャンルで、ここまで多くの年代を惹きつけたバンドは少ない。

アルバム2112の様なハードロックと幻想的なコンセプトの融合体を主に活動していながら、徐々にポップ・ロック路線へ移行した。ザ・ポリスの様な明快さと聴きやすさ。それがアメリカで大ウケした要因だと思う。


そしてそのアメリカでラッシュのドラマーニール・パートが死去してしまったという訃報は、まるでアメリカの大陸に大穴を開けるような衝撃だったと思う。

お年寄りから子供までトムソーヤを聴いたことがある。誰もがワンフレーズだけでも口ずさむ事が出来るバンド。それはビートルズに通じる物があると僕は思っている。

(ジョン・レノンの死後、ビートルズの再結成の可能性は死んだ。二度とファビュラスフォーがステージで輝く事は無くなったのだ。)

それくらいラッシュは世界的に人気があった。

現在活躍しているロックバンドやメタルバンドの多くのからの影響を色濃く感じる。特にプログレメタルバンド ドリームシアターは完全にラッシュフォロワーだと思う。

前任ボーカリスト チャーリドミニシの歌い方が滅茶苦茶ゲディーリーだし、メタル路線に走る前はかなりラッシュっぽかった。そもそもジョン・ペトルーシとマイク・ポートノイ出会いがラッシュだったし、ラッシュを通して意気投合しなければ、今のプログレメタルは無い。


それだけラッシュの影響力は凄まじかった。


そしてニール・パートが亡くなったその日、ロックの大部分がごっそりと崩れ落ちてしまった。

今まで散々ロックは死んだと言われ続けて来たが、ラッシュが終わったと同時に、ロックの息の根が止まってしまったんだなと僕は思った。


だけどそんな絶望に暮れている時に、僕はとある南米バンドに心を惹かれてしまった。


ラッシュ亡き今、その空いた大穴を埋めるべく活動する、メキシコ人姉妹が奏でる直球ロックバンド。The Warningだ。

ヴィジャレアルヴァレス三姉妹によるスリーピースバンドThe Warningはまるでラッシュの様なメロディアスさと、ストレートさを持ち合わせていながら、背面に並んだ大型スクリーンと綺羅びやかな照明が、まるでラッシュのコンサートを彷彿とさせる。

僕は彼女たちの演奏を見て、ロックが死んだなんて、ただの戯言だと思った。ラッシュはもうあの日から見れなくなったとしても、まだまだラッシュの音を継承した素晴らしいバンドが世の中に沢山あるはずだとも思える。


多くのアーティスト、ファンから愛され続け、未だ尚彼らのアルバムが再生し続けられて、そして進化し続けるラッシュの魂は、ニール・パートという伝説的なドラマーが亡くなった直後から、どんどん増えていくことを願っている!!


聴けば聴くほど、魅力にハマって、聴けば聴くほどに好きになって、そして始めて聴いた時のエキサイティングな気持ち、それがアルバムの中に沢山閉じ込められている。

そしてその多くの感情を、アルバムが再生するたびに追体験できる。


ラッシュはあの日から伝説になったけど、後世まで永遠と語り継がれる最強のバンドだと僕は思っている。



本当にラッシュは魔法みたいなバンド。たった三人しかメンバーがいないのにこの重厚感。こんなに素敵なバンドは中々いない。



僕はこれからもラッシュを愛し続ける!ニール・パートは僕達の心の中でずっと生き続けている!


ラッシュよ永遠に…。



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