幻獣戦争 2章 2-4 英雄の役割③
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幻獣戦争 英雄の役割③
俺達が出撃準備している最中も、撤退中の主力部隊は新型幻獣の砲火に晒されていた。俺達は主力部隊の撤退を援護するべく、黒いオーガ型幻獣へタケミナカタの砲撃を開始。
しかし、タケミナカタの砲弾は見事に光線で焼滅。残念な事に砲撃による撃破は不可能という事実を裏付ける結果となった。
機体に乗り込んだ俺は、コックピットモニターに表示している戦域図と、天照の観測映像を見つつ機器のチェックを実施。観測映像では、黒いオーガ型幻獣の周りに取り巻きのオーガ型幻獣が徐々に出現しているようだ。
しかし、普段とは違い出現率が明らかに少なかった。加えて、戦域図の情報では、黒いオーガ型幻獣が光線を放つ度に隠岐の島に展開する幻獣が少しずつその数を減らしていっていた。
これは幻獣をエネルギーとして消費している事か? あるいは自身を強化しているのか? わからないが、できるなら前者であって欲しい。
「――いいかしら?」
仮設指揮所内にいる神代博士が無線越しにそう呼び掛けてきた。
俺はすぐに回線を繋ぎ、仮設指揮所に居る博士がコックピットモニターに表示される。
「準備完了ですか?」
「バッチリよ。機体の方だけど、肩部に携行させてたサーマルガトリングを外して、ブースターを増設したわ。多分、防御力よりも機動力が必要でしょ?」
俺の問いに博士はそう述べこう続ける。
「それから貴方の携行装備は、電磁加速砲にシールドと精霊鋼の近接長刀だけを持たせてあるわ」
「了解。感謝します」
「他の子達も特徴的な装備を持たせてあるから道すがら確認して頂戴――大丈夫よ。皆死なないわ」
俺の言葉に博士は不安を読んでいるかのように告げる。
「顔に出てましたか?」
俺は思わず苦笑する。やれやれ、俺もまだまだ修行が足りないようだ。
「佐渡島の時は……私達が居なかったから皆あんなことになっちゃったけど――今日は違う。私が支える限り貴方達は無敵よ――勝ってらっしゃい!」
博士は最後にそう伝え微笑むと通信を終えた。ありがとございます。神代博士。
「待って! 私も行くわ!」
俺達が出撃しようとしている最中、無理やり起きてきたのか黄泉が無線でそう投げかけてきた。
「だめだ。今回は待っててくれ」
俺は回線を開かずに無線越しに返答する。これ以上黄泉に無茶をさせるわけにいかない。黄泉は十分な働きを既にしている。ここからは……俺の番だ。
「そうよ。今無茶したら今度こそ死ぬわよ――二度はないって言われたでしょ?」
黄泉をなだめるように博士が無線越しに割り込み言う。どういう意味だ? 聞きたいところだが、今聞いている場合ではない。
「――っ! 必ず帰ってきて……」
黄泉は言葉を飲み込み無線越しにそれだけ告げてきた。
「わかっているさ。心配するな」
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次回に続く
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