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幻獣戦争 2章 隠岐の島攻略作戦⑫

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幻獣戦争 2章 隠岐の島攻略作戦⑫

 作戦計画書を上層部に提出して三日後、各部隊の幕僚を交えた全体ブリーフィングが行われる運びとなった。出席者は田代作戦本部長、勇司、俺、一樹、東師団長とその参謀矢野一佐、雲井作戦本部長と計7名。本来ならば黄泉もここに居るべきだが、神代博士の手伝いに回ってもらっているので欠席させている。

 俺を含む九州要塞側のメンバーは作戦司令室に集合。大型モニター上で他メンバーとオンラインブリーフィングを実施する。それぞれ作戦司令室のミーティングスペースの空いた席に座りブリーフィングが始まるのを待つ。
 司令室中央の大型モニター上に東師団長とその参謀矢野一佐、雲井作戦本部長が映され、通信に問題がないことが確認される。

「では、作戦前最終ブリーフィングを始める。過日、比良坂陸将より提出された作戦計画書は既に閲覧してもらっていると思うが、これについて意見がある者は?」
 勇司は自席から大型モニターに目を向けブリーフィングの開催を宣言する。

「九州要塞側の意義はない」
「確認だが、作戦の第一段階で敵大型幻獣を撃破するとあるが、現実的に可能なのかね?」
 本部長の回答に続いて、モニター上の雲井本部長が俺を見てそう語り掛けてきた。

「可能かどうかではなく、やらなければ主力部隊が全滅するだけです」
「ならば敢えて聞くが、貴官はできると踏んでいるんだな?」
 俺が即答すると、その言葉を待っていたのか東師団長が続いて問いかけてきた。 ……東師団長達は何を気にしているんだ?
「はい。私は部下を信頼していますからね」
「では、質問があります。砲撃者が桜井朱雀二佐と記載されていますが、私の記憶が正しければ、彼は狙撃の類が苦手だったはず。なぜ彼に一任されているのでしょうか?」

 俺の言葉に、東団長の隣に座る矢野一佐が何故かそう指摘してきた。なるほど、朱雀の経歴を調べたわけか――ということは、作戦を中止に追い込みたいのか?

「それは貴官の目が節穴なだけしょう。彼は自衛軍の中でもトップクラスの狙撃の腕を持っています」
 俺の代わりに一樹が肩をすくめ答える。
「残念だが、目が節穴かどうかはこの際関係ない。過去の記録を見る限りと彼はあまり良い実績を残していない。もっと実績のあるやつを採用するべきじゃないのか?」
 沈黙する俺の代わりに返答する一樹に、矢野一佐は不快気に顔を歪めるが、東師団長はあくまで合理的な判断という口ぶりで言う。

「なるほど。もっともな意見のように聞こえますが、この際過去の実績なんぞどうでも良い問題です。彼は間違いなく優秀です。私が保証します。今までダメなように見えていたのは、貴方方が適切な部署に配置しなかったからでしょう」
「では、聞き方を変えよう――失敗した場合、どうする?」
 俺の皮肉に東師団長は試すように質問する。馬鹿共が。

「万が一にもそんなことは起こりえないでしょうが、大型幻獣の撃破に失敗した場合、その時は私が突撃して撃破します。それでよろしいか?」
 俺はため息を吐き確認する。つまるところ朱雀をダシにして作戦の主導権を握りたかったわけか。軍が弱くなるのは当たり前か。
「……わかった。ならば文句はない」
 俺の言葉に東師団長は顔を歪め頷き引き下がる。恐らく、代わりの人材を推薦するつもりでいたのだろう……始末に負えないな。

「では、作戦の開始時刻だが11月1午前5:00より開始。作戦の第1段階の成功は、大型幻獣の撃破と陽動が成功した時点とする。よろしいか?」
「ならば、我々は作戦の第1段階が開始された時点で境港を出港、隠岐の島近海に展開。作戦の第1段階成功の連絡があり次第、作戦の第2段階艦砲射撃による面制圧を実施。順次戦闘部隊の出撃を実施する」

 本部長の言葉に続いて、雲井本部長は確認させるように述べる。どうやら雲井本部長は作戦内容に意義はないようだ……田代さんが裏で説得でもしてくれたのだろうか?
 

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次回に続く

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