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乳がんの記録 ~7(終)~

◆ ホルモン治療

手術からおよそ1か月後の10月半ばから、私の乳がんサブタイプ(女性ホルモン要因100%のルミナルA)に最も適したホルモン治療が始まりました。
内容は投薬治療一択です。
3ヶ月に一回の腹部への皮下注射&毎朝1錠のホルモン剤の服用を約10年。これによって、女性ホルモンの分泌を抑え、再発を未然に防ぐというものです。抗がん剤や放射線治療など、身体への負担が大きい治療に至らずに済んでいるのは本当に有難い限りです。
早期発見→即病院の決断は間違っていませんでした。
予後にかかる恩恵ははかりしれません。


2024年2月15日 白布温泉西屋前から撮影したお月様。

ただ、ホルモン剤の投与は結果的に強制的な閉経状態を引き起こすため、最初の1ヶ月はいわば更年期障害のような副作用がやや強く出ると告げられました。
まぁ…こればかりは仕方がない。病気にならなかったとしても、いずれ歳と共に閉経はやってきますし、大なり小なり更年期障害が起きることは諸先輩方からも聞いておりました。少しその時期が早く来るだけです。
むしろ、月の障りに頭悩みしなくて済むボーナスタイムが増えたと思えばいいや!自分のためにもポジティブに。
あれこれくよくよ考えないのが吉です。

投薬が始まって2か月ほど経ったころ、更年期障害と思しき軽いめまいや火照り(ホットフラッシュ)を感じるようになりました。でも、日常生活にそれほど影響が出ているわけではありません。2回目の通院では先生に事情を話して漢方薬を処方してもらいました。すぐには効果は出ないかもしれませんが、まずは落ち着いて様子を見ていこうと思います。


例年にない少雪となった今冬。温泉街近くの森の中にて。

◆ おわりに

さて、私の乳がんエピソード、現在にいたるまでの顛末は以上の通りです。

これまで日々の健康についてあまり意識したことがなかった私にとって、乳がんの罹患はまさに青天の霹靂でした。文字通り胸が抉られる経験をしたわけですが、身体の一部を失うことよりも、やはり「がんに罹った」という事実の方がよほど重かったと今では振り返っています。

まだ人生道半ばで与えられた命の試練は、私に生きる意味や目標を改めて強く意識させ、新しい人生ステージへの大きなアップデートをもたらしました。がん体質であることが裏付けられたわけですから、またいつか、どこかで再発するかもしれません。それは覚悟しています。
でも、それは今じゃない。

病気にならなくとも、大きな災害や事故など、いつ何時大きなケガを負うこともあるかもしれません。
でも、それは今じゃない。

まだ訪れてもいない未来を勝手に予想して色々諦めるにはまだ早すぎる。
それよりも、生き方をしっかり定めて歩き続けた方がよほど人生有意義です。
挫折は人を強くする。身をもって学びました。

というわけで、
最後は教養として愛読している初期仏典「法句経」から、
元気が出るお釈迦様のエールを載せて〆たいと思います!

當自勅身 内與心爭 護身念諦 比丘惟安
(意訳)道行く者よ、みずから自分を励ましなさい。
きちんと我が身を振り返りなさい。
自分をしっかり守り、正しい念(おも)いを保てば、
やがて心の平安に至ることができる。

我自爲我 計無有我 故當損我 調乃爲賢
(意訳)自分の中心は自分であり、自分の帰趨(よるべ)である。
だから常日頃から自分を整えなさい。
商人が良い馬を調教するように。

儻有少行 応仏致戒 此照世間 如日内曀
(意訳)たとえ修行の道半ばでも、正しい道(※)に勤しむならば
その未来は世界を照らし出す。雲を離れた月のように。
※…原文は「仏の教え」ですが、意訳しました。

「法句経 沙門品 378,379,382」
(参考文献:「ブッダ真理のことば・感興のことば」中村元)

ここまでお読み下さり、ありがとうございました。

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