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【大分】それでもサッカーは続く 天皇杯決勝 vs浦和

「これもまた、フットボールだ」
いつもどこか、何かに答えを求めてしまいがちです。終点を見ながらいまの立ち位置を模索する、みたいな。
なんでもそうなんやけど、そうとしか言いようがない。そういう結論にしないと、次の一歩が踏み出せない。俺たちの晴れ舞台の幕切れはあまりにもあっけなかった。

悔しい。

試合が終わって思ったのは「悔しい」でした。後付けなんですが。
でもその前に、この6年の最後が、まさかまさかの国立でなんて思ってもみなかった。負けたのに「良かったな。楽しかったな。」って正直なところ感じてました。最後の最後まで大分トリニータでカタノサッカーで。これ以上を求めるのはちょっと贅沢が過ぎるんだろうな。なんて。

今回も観戦記的な感じで振り返っていきます。

12/19 朝

異様に早い目覚め。
いつもは始業ギリギリまでベットから出ずにいるタイプの人間ですが、まさかまさかの目覚ましなしで5時半起き。呑気に楽しみだな~なんて前日は思っていたのに、目が覚めて「もう今日やないかい!」と思うと二度寝なんてできず。
後になってサポクラの方々が当日の搬入をしていたってのを知って、行けばよかったな…と後悔してしまいました。
ボケーっとテレビをみて意味もなくシャワーを浴びて、持ってきた思い入れのあるユニホームを並べてどれを着ていこう…なんてムフーってして。普段は服装なんて無頓着なのにね。

そうこうしているうちに朝陽が顔を出してきたのでタオマフを巻いて宿を出発。群馬在住の同級生と上野駅で待ち合わせて、朝から景気づけに1杯ひっかけて。

東南アジア感のあるアメ横で中華料理屋の露店に入り、朝飯なのか昼飯なのかわからない飯を食べてると、隣の日本語がめっちゃ話せる中国人から「大分の応援ですか?」とまさかのナンパ(ちがう)に遇う。
「そうなんですよ~。よく大分ってわかりましたね~」「サッカー好きなんですねぇ」なんて話しながら腹ごしらえをして「頑張ってくださいね!応援してます!」と言われて「…やっぱ今日って決勝なんやな」とにやける大分県民2人。
ここで食った牛串とラム肉の串が全く同じ味付けでわからんかった。舌を肥やして判断がつくようにしたいな。

10時も過ぎたからそろそろ「国立」いくか~と言い上野を後に。秋葉原からは旗を持ったレッズサポが数名いたので田舎モンと気づかれないようにしながら千駄ヶ谷へと向かう。

国立

いやぁ、でかい!
そしてレッズサポが多い!浦和ゴール裏側のゲート側からぐるっと半周したから仕方ないんですが…
ここでとりあえず写真を撮って…
横ではフェラーリとかハーレーとか外車!富裕層!余裕の笑み!みたいなのをみてなんかやってるぞ、と。ふらふら~っと寄り道をしたらレーシングカーが。なんかわからんけど、都会ってすごいことは分かった。

11時過ぎに国立競技場内に入場。人生初の国立のコンコースからピッチを見たらグワーッとこれまでのトリニータの軌跡が走馬灯のように思い浮かんで泣きかけたけどまだ我慢。涙腺がバカになってる。

とりあえず席の確認をしてスタジアム散策。「案外見やすいな~」とか「スタグルあるやん!」とか楽しんで、ほかの高校の同級生とも合流。まさか青森、群馬、大阪、大分×2って散り散りになってるのに国立でプチ同窓会ができるとは。こういうのが素敵だな、たまらんなって思います(写真なし。ミス)

そうこうしているうちにGKアップが始まりいそいそと席に。いよいよキックオフが近いんやなって。

キックオフ前の煽りVと演出、国歌斉唱でタイトルがかかってるんやなと改めて感じて気が引き締まる。円陣が解かれて選手たちがこちらに向かって拍手をしてくれて否応なしに気分がアガる。そんなこんなでキックオフ。

前半

「思ってたんと違う!」
まぁ悪い時のトリニータ。考えて考えて準備したものが裏目に出たな、今季のトリニータやないかい!って驚きと焦りが出ているうちに失点。あっけない。セルフジャッジ後に失点をしていつも以上に審判に喰ってかかる選手たちをみて、どうかこの雰囲気に吞まれないでほしい。と願うばかりの最悪のゲームの入り。
前線からのプレッシングが全くハマらず、浦和のSBが気持ちよーくプレーして、ズレてズレてアンカーのこばゆが孤立する。
なんとか我慢するが、徐々にモラルが崩壊していき、新太がサイドに引っ張られて也真人が逆サイドまでカバーをするいびつな形に。ボールは持てるがマンマークでハメられて30分過ぎには珍しくエンリケが片さんに怒りをぶつけていた。緊急事態ではあったが、5分と経たないうちに新太と也真人をスイッチし、也真人をビルドアップの逃げどころとしてエンリケの負担を軽くした。
からっきし駄目な前半で「大舞台で何しよんのか!」とイライラしながら後半へ。

後半

後半になって片野坂監督は修正を加える。北斗をこばゆと横並びにして4-4‐2のフラット…というか新太と也真人を内側に絞った4-2-2-2みたいな形に。
前の4人を動かしながらプレッシングを整理すると、大分のペースでゲームが進む。サイドを何度も崩して押し込んで押し込んで…あと一歩及ばない。
1点が遠い中で長沢、野村、レイチェルを入れてクロス!鈍器!カチコミ!となりふり構わずゴールをこじ開けようとする。
そしてあの時。

ペレイラが輝いてた。空中を歩いてゴールへと吸い込まれて…準決勝の再来を思わせる同点弾。やっぱりこういう試合では頭。国立でのヘディング。2008年の高松。いろんなことがダブった90分ちょうど。

「もらった!これは大分のゲーム!」

そう思ってました。
最後の最後で遠い向こうで綺麗なボレーのコースが変わってネットが揺れてワッと沸き立つ赤い壁と、喜ぶレッズの選手たち。
そこからはボーッと立ちつくしてる間に試合が終わってました。

試合後

なんか負けた。
負けたけど、泣けなかった。
いろいろと考えてみたけど、片野坂さんとの6年間があまりにも素敵すぎて「あ、まずは頑張った選手たちを労わなきゃな」ってので拍手をしてました。

失意はある。あるけど、正直なところ「こんなに悔しかったんだな」ってのが授賞式を見ながら思いました。
浦和に天皇杯が授与されて、選手たちがあいさつに来てくれて。最後に片さんと哲平ちゃんが肩を組んで写真に納まるところをみて、あぁ、この素敵な時間が本当に終わってしまうんやな。勝ちたかったな、報われてほしかったな、とか思いを巡らせていくと、泣いてました。

最後に意地の同点弾。とてもトリニータらしかった。それでも、勝てなかった。悔しい。

「よくやった」は本当にそう。でも、よくやってもグッドルーザーで良いのか、と言われたらわからん。わからんけど、片野坂監督との6年でそこに向き合えるところまで来たんやな、とも思いました。
自分の贔屓のクラブが最高だって信じてるのは誰でもそう。でも、それを世間に認めさせるには強くなければならない。カネがない。選手層が薄い。クラブの規模が小さいがゆえにたくさんの我慢や制約がある。それでも、強くないといけないんやな。温かみのある大分トリニータが大好き。だからこそこれからはもっともっと細部を突き詰めていかんといけんのやな、と。

めちゃくちゃ悔しいけど、胸を張って国立を後にできる。やれることはやったんだから。
勝負は時の運と、ちょっとした槙野だっただけ。次は笑って国立から帰ろう。
たくさんの感謝と、この90分で掴み取れなかった悔しさ。そしてちょっと清々しい思いを胸に国立競技場を後にしました。

帰宅後

まさかまさかの2週連続で東京遠征。楽しかった。

「最大値で」
今季1番長くサッカーができる喜びを表現してくれた片野坂トリニータ。
胸を張って「トリニータが好き!」って言えるようになった6年間の歩み。この胸をすくような気持ちは、勲章という形にはならずとも、俺たちはみんな知ってるぜ!って誇らしい思い。本当に楽しかった。

そしてこの片野坂監督が試合後に選手たちに語ったことばを聞いてボロ泣きして(めっちゃ情緒不安定)いいチームやったな、と改めて感じるのでした。

それでもサッカーは続く

これもまたフットボール。
感情がいろんな方向に揺れ動いての結論はこれでした。

そして、やっと、大分トリニータの歯車が動き始めるんだな、と。
この10年ちょっとは、壊れたものを何とか繋ぎ止めて、いっつも無理をしていたように感じる。片野坂さんの就任する前は、クラブに暗い雰囲気が立ち込めていたが、J3からJ1へと4年で駆け上がってこれた。久々のJ1では、初戴冠をした時のような活気がスタジアムにあり、自分の知っている「強い大分トリニータ」の原風景に近い雰囲気を感じることができた。

2009年、冬。どん底の時には国立の決勝の舞台も、ましてやJ1の舞台ですら遠い遠い向こうにあり、死ぬまでに見に行けたらいいな、くらいに思っていました。それがたったの10年ちょっとでこんなに叶っちゃうとは。2012年のPO決勝までの出来過ぎたストーリーも、この6年間の素晴らしい歩みも、たぶんトリニータじゃなければできなかった。いや、絶対に無理だと心から思う。
どれだけ先が見えなくとも、どれだけ苦しくとも、サッカーは続く。今回の国立決勝では、その続いた先にアジアが、世界があるんだな、と。夢、あるよなぁ!と感じることができました。
これまでの苦しい10年ちょっとはそれはそれでステキな思い出。でも、これからは負い目なんて感じずに、胸を張っていかなきゃな、なんて思いました。

俺たちの歩みの証。
ちょっと格好はつかないけれど、こうやって形に残るってとってもとっても素敵だな、なんて思うのです。

また、スタジアムで。
そしてまた、国立で。

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