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テレビには1950年代から自主規制があった

よく昔のテレビの話をするときに「今では放送できない」・「昔は規制が緩かった」といった意見が多く挙がりますが、これはあくまで視聴者側の推測に過ぎず、実際には¨規制¨がなかった訳ではありません。テレビ放送における「自主規制(放送基準)」は1958年に民放連によって自主的に策定されました。以降、ドラマ・映画・プロレス中継等の「アクション描写が青少年非行につながるのではないか?」という懸念や「一億総白痴化論」に代表されるような低俗番組批判に放送界全体がさらされるようにもなっていきました。

1950年代~1960年代のテレビ番組 

放送事業者は、放送番組の種別や放送の対象に応じて番組基準を策定し、これに基づいて放送番組を制作しなければならない。

●1958年の地上波の自主規制

昭和33年度  日本民間放送連盟による娯楽番組の放送基準
(5)娯楽番組 - バラエティ
※娯楽番組とは、健全な慰安を提供して、生活内容を豊かにする番組をいう。

1.不快な感じをいだかせるような下品・卑わいな表現や言葉は使わない。

2.方言を使うときには、不快な感じを与えないように注意する。

3.不具・疾病・白病など、肉体的・精神的欠陥に触れなければならないときには同じ欠陥に悩む人々の感情を刺激しないように注意する。

4.犯罪の手口を明示または詳説するときには、故意に犯罪を魅力的に表現したり、模倣の意欲を起させたりするような描写はしない。

5.凶器の使用はなるべく少なくし、模倣の動機を与えないようにつとめる。

6.犯罪容疑者の逮捕、尋問方法及び訴訟の手続きや法廷の描写などは、正しく表現する。

7.殺人・拷問・暴力・私刑などの残虐行為、その他肉体的・精神的苦痛を誇大または刺激的に表現しない。

8.婦人および児童の虐待または人身売買を是認するような表現、またはその詳細な描写を避ける。

9.麻薬及び覚せい剤の使用は、医療および悪癖としての表現以外は避ける。

10.心中・自殺・その他、人命を軽視する言動を是認するような取り扱いはしない。古典または芸術作品についても慎重を期する。

11.性犯罪・変態性欲などの取り扱いは避ける。

12.性心理に関する描写または表現は、性に未成熟な視聴者を考慮して慎重に取り扱う。

13.扇情的な接吻や抱擁 、暗示的な姿態や身振りは、出来るだけ避ける。

14.肉体描写、寝室描写など官能的な素材を取り扱うときには、刺激的な表現を避ける。

15.踊手・俳優その他の出演者の動作・舞踊・姿勢・位置などによって卑わい感を起させないように注意する。

16.全裸はたとえシルエットでも避ける。

17.肢体細部の露出または肢体細部をみだりに強調するようなカメラ角度は避ける。

18.視聴者参加番組については、参加の機会を均等にし、広く視聴者一般に及ぶようにつとめる。

19.視聴者参加番組の審査は、出演者の技能に応じて公正を期する。

20.視聴者参加番組は、単に報酬または賞品によって過度に射幸心を刺激することのないように注意する。

21.視聴者参加番組では、参加者・視聴者に対し、礼を失して不快を感じさせることのないように注意する。


22.視聴者参加番組の出演児童に対しては、著しく児童にふさわしくないことはさせない。

23.以上の各項は放送に先立って、参観者に公開する試演・録音・録像の場合にも適用する。

24.以上の放送基準は映画番組にも適用する。特に児童・少年に対する影響を考慮して、素材の選択、および放送時刻に留意する。

当時は「娯楽番組」と表現されており、現在のバラエティ番組・お笑い番組・音楽番組・スポーツ番組・お色気番組・情報番組などテレビ放送全般に対して上記の項目に記載されているように1950年代はこのような自主規制が制定されていました。

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