タモリ倶楽部 水不足を考える『94水不足に混浴銭湯出現!』について
『タモリ倶楽部』は、テレビ朝日系列で1982年から2023年まで放送されていた深夜バラエティ番組でタモリが司会を務める冠番組、長寿番組だった。1994年7月~8月、渇水により深刻な水不足となり、夜間断水や時間給水が行われた。この影響を受けてタモリ倶楽部では「94水不足に混浴銭湯出現!」という企画が放送された。
1994年の夏を騒がせた水不足。その影響で混浴になった銭湯があるとの情報を得たタモリは現場へ向かった。するとその銭湯にはエキストラとして入浴中の男女が数人いた。ゲストとして赤星昇一郎、今田耕司、東野幸治の3人が参加。エキストラの女性(当時、ギルガメッシュNIGHTなどに出演していた人気AV女優の藤田リナ)をモデルとして「水不足が起きたときペットボトル1ℓで体は洗えるのか?」というテーマに沿って実験がスタートした。
1994年と言えばテレビ番組、主に深夜番組のコンプライアンスが厳しかった時代である。女性視聴者から好評だったテレビ東京の『ギルガメッシュNIGHT』や、30代の成人男女から人気を得ていた日本テレビの『ロバの耳そうじ』、サンテレビ系列のアダルト番組を除けば、深夜のお色気番組の数が減少していた時期である。
フジテレビの『Mars TV』はストリップのコーナーが放送されていたが、お笑い芸人たちのコントをメインとした内容だったため、本来はお笑い番組に分類される。そして『オールナイトフジ リターンズ』や『殿様のフェロモン』も女性の裸体やヌードを売りにした番組ではなく、放送期間も数か月と短かった。ここで当時(1990年代)の自主規制をおさらいしておきましょう。1993年の日本民間放送連盟による地上波の自主規制(コンプライアンス)は以下の通りである。
◇平成5年度(1993年)の日本民間放送連盟による放送基準
・第11章~性表現~
(70)性に関する事柄は、視聴者に困惑・嫌悪の感じを抱かせないように注意する。
(71)性衛生や性病に関する事柄は、医学上、衛生上、教育上必要な場合のほかは取り扱わない。
(72)一般作品はもちろんのこと、たとえ芸術作品でも極度に官能的刺激を与えないように注意する。
(73)性的犯罪・変態性欲・性的倒錯などの取り扱いは特に注意する。
(74)全裸は原則として取り扱わない。肉体の一部を表現する時は、下品・卑わいの感を与えないように特に注意する。
(75)出演者の、言葉・動作・舞踊・姿勢・衣装・色彩・位置などによって、卑わいな感じを与えないように注意する。
〇(74)の「全裸は原則として取り扱わない。」というのは陰部または下半身がモロに見えている状態を指します。その状態で放送することはNGだが、裸の放送を禁止しているという意味ではありません。上半身だけ裸または胸やお尻など一部が露出している、局部だけを隠した状態での裸体の場合は自主規制を守った上で放送すれば問題になりません。
ゲスト出演者たちは、女性モデル(AV女優)に作品のことやアダルト業界に入った理由などを聞きながら進行を進めていました。タモリは「これ完全にAVの企画だな」と言っていましたね。今田耕司と東野幸治は、女性モデルの裸を真近で見ていたため、陰部が反応してしまったという(笑)。最後は赤星昇一郎、今田耕司、東野幸治のゲスト3人も実験に参加して笑いを取っていました。