SMAPの『世界に一つだけの花』について
『世界に一つだけの花』は、2003年に発売された男性アイドルグループSMAPの35枚目のシングルである。作詞・作曲は槇原敬之が手がけ、本来は2002年の14枚目のアルバム『SMAP 015/Drink! Smap!』の収録曲だったが、シングルカットの要望が多数寄せられたため、後にシングルとして発売された。オリコン調べで売り上げは313.7万枚(2021年8月23日付)を記録している。SMAP自身にとってはもちろん、1980年代以降、J-POP・CD・アルバムからのシングルカットされた曲、ジャニーズ事務所所属アーティスト等のジャンルでも歴代1位の記録を持っている。
◆2000年代のSMAP
SMAPは、1990年代後半に全盛期を経験したが、2000年代に入るとメンバーが大人の年齢(20代後半~30代)となり、2000年代前半には既に全盛期も過ぎていた(SMAPの全盛期は1996年~1998年)。2001年に稲垣吾郎が不祥事により芸能活動を自粛し、復帰するまでの間は4人体制で活動していたり、レギュラー番組のSMAP×SMAPも4人で出演、NHK紅白歌合戦の出場も辞退。そして33枚目のシングル『Smac』や2002年発売の34枚目のシングル『freebird』もヒットせず、新曲もあまり出さなくなり、売り上げも低下、全体的に人気が下火となっていた時期だった(危機的な状況)。そこでSMAPのスタッフ陣たちは、SMAPメンバーの年齢が上がったことも考えて、ファンのターゲットを若年層から高年齢層へと変更することにする。高齢者でも真似しやすい、歌いやすい、簡単なメロディーに乗せて歌われるスローテンポの曲調&バラードとメッセージ性のある歌詞などの楽曲を中心に発表していくようになり、音楽面でも変化を見せた。そこで誕生したのが『世界に一つだけの花』であり、若い人はもちろん、お年寄りにも好評を得て、大ヒット曲となった。これを機にSMAPのファン層も変化していき、女性層、成人男性に加え、子供からお年寄りまでファン層が拡大し、国民的アイドルと呼ばれるようになった。以後、同じ路線を狙った『友だちへ〜Say What You Will〜』→『Triangle』→『ありがとう』といった歌も発表した。
◆制作・リリースの経緯
最初にリリースされた音源は、2002年に発売されたアルバム『SMAP 015/Drink! Smap!』に収録されたもので作詞・作曲した槇原敬之によると、依頼を受けて最初に提出した作品が「Wow」という曲でこの歌が最初に提供された際に中居正広が「この曲いいですね!!」と気に入っていたという。しかし、SMAP側の要望にて一旦お蔵入りとなり、最終的にはボツとなってしまった。その後、締め切りが迫る中で新たに書き上げられたのが『世界に一つだけの花』だった。槇原は本曲を作る3年前の1999年に覚醒剤取締法違反(所持)容疑で逮捕されたことが自分を見つめ直す機会になり、その中で彼は仏教と出会い、従来の私小説的な作風とは異なる人生をテーマとする作品を手がけるようになり、その成果が本曲だった。アイルランド民謡のメロディーを主軸にメッセージ性のある歌詞で作り上げた。
後にSMAP×SMAPで槇原敬之とSMAPが共演し、実際に「Wow」と「世界に一つだけの花」を披露した。2002年9月放送の『SMAP×SMAP特別編』内のコーナー「同学年」で木村拓哉が挿入歌として本曲を歌い話題を呼ぶ。 本曲が世間一般に知れ渡ったのは、アルバムリリース翌年の2003年1月〜3月にかけて放送された草彅 剛主演のドラマ『僕の生きる道』の主題歌となったことによる。ドラマ放送開始直後からシングル・カットの要望が多数寄せられたため、メンバーの歌唱パートの入れ替えや制作者である槇原敬之のコーラスの追加などのアレンジを行い、2003年3月5日に「世界に一つだけの花(シングル・ヴァージョン)」としてシングルカットされた。このシングルはSMAP初の200万枚(ダブルミリオン)、ジャニーズ事務所所属のアーティストで初の200万枚以上の売り上げを記録した。
振り付けはKABA.ちゃんが担当した。KABA.ちゃんによると当時、SMAPのコンサートの振り付けをお願いされたことがあって、そのときにSMAPのメンバー(木村拓哉)から「俺たち、お客さんとかファンの子と一緒にやる手振りがないんだよね。よかったら会場のみんなと一緒にできる振りを作ってくれないか?皆が1つになれる様な振り付けを作ってほしい」との要望を受けて、制作したものだったという。