韓国のFolder5・女性版NRG・ガールズグループの『T.T.MA』について
『T.T.MA』は、1999年にミュージックファクトリーエンターテインメントからデビューした韓国の女性アイドルグループ。消防車のメンバーだったキム・テヒョンとチョン・ウォングァンがプロデューサーを努め、ボーイズグループNRGの成功に続いて企画した事務所初のガールズグループである。グループ名は「Taste The Maximum=最高の味をください」という意味から名付けられた。主に韓国よりも中華圏で人気を博した。
1997年、ミュージックファクトリーエンターテインメントはSMエンタテインメント所属のH.O.Tの人気に触発されて男性アイドルグループNRGをデビューさせた。NRGが大ブレイクするとキム・テヒョンとチョン・ウォングァンはDRミュージック所属のBaby V.O.Xが中国市場に進出し、現地で大きく成功したのを見て女性アイドルグループを売り出すことにする。ミュージックファクトリーエンターテインメントでガールズオーディションを行い、雑誌モデル出身のカン・セミを筆頭に芸能と英語・中国語が堪能だったソイ、歌が上手かったチェ・ユジン、それぞれラップとビジュアルを引き受けたイ・ジュヘとクィナの5人で結成され、海外進出（中国進出）も考慮された結果だった。ソイは当初、SMエンタテインメントの練習生でS.E.S.のメンバーに選抜されたが、学業との両立が難しいとの理由で脱退した。その後、大学に入学して参加したT.T.MAのメンバーオーディションを受けたという。
1999年5月、1集『 In The Sea』でデビュー。タイトル曲「My Baby」は明るく軽快な楽曲でメンバーたちの美少女のような雰囲気で高い人気を得る。三角関係を描いた独特の歌詞が引き立つ後続曲「Prism」の反応も良く好調なデビューとなった。1集での活動後、イ・ジュヘとクィナが学業専念のため脱退。新メンバーとして元O-24のウニとジンギョンの2人が加入。2000年に2集を発表するが、大きな人気を得られず、2集活動は不振に終わったため、2002年にグループは解散した。
「1990年代後半～2000年代前半に活躍」・「5人組の女性アイドルグループ」・「ユーロビート調の楽曲を発表している」・「国内では大ブレイクできなかった」という点で日本で例えるとFolder5のようなポジションに近いと言える。そしてFolder5もT.T.MAもSPEEDをベンチマークした女性アイドルグループだった。T.T.MAの場合は、消防車の振付師だったキム・ギョンラン（消防車のメンバーであるイ・サンウォンの妻）が安室奈美やSPEEDなどの日本文化を好んでおり、T.T.MAのメンバーたちにも日本のアイドルの歌やダンスを伝授していたという。
韓国内ではB級アイドルポジションでの活動だったが、その一方で中国では大ブレイクした。リーダーだったソイによると当時はBaby V.O.Xが中華圏で有名だったが、中国の空港にT.T.MAを見に来た人がとても多く、現地ではBaby V.O.Xを上回る人気ぶりだったという。代表曲である『Prism』は、2008年に日本の歌手・DJ OZMAによって日本語でカバーされた（3枚目のアルバム『I LOVE PARTY PEOPLE 3』に収録されている）。